44歳で「発達障害」診断された主婦の苦悩人生

買い物依存も症状の一つ、大人は支援がない

倉田さんは44歳でADHDだと診断された(筆者撮影)
独特なこだわりを持っていたりコミュニケーションに問題があったりするASD(自閉症スペクトラム障害/アスペルガー症候群)、多動で落ち着きのないADHD(注意欠陥・多動性障害)、知的な遅れがないのに読み書きや計算が困難なLD(学習障害)、これらを発達障害と呼ぶ。
今までは単なる「ちょっと変わった人」と思われてきた発達障害だが、前頭葉からの指令がうまくいかない、脳の特性であることが少しずつ認知され始めた。子どもの頃に親が気づいて病院を受診させるケースもあるが、最近では大人になって発達障害であることに気づく人も多い。
そんな発達障害により生きづらさを抱えている人のリアルに迫る本連載。第8回はADHDを抱える倉田美智子さん(仮名・45歳・主婦)。1対1の会話なら問題ないが、女子が数人集まってのいわゆるガールズトークが苦手で中高時代は不登校を経験。社会に出てからも職を転々としている。若い頃はまだ発達障害という言葉自体がなかったため、ただの困った人扱いをされて苦しんだ。この連載で初となる40代の倉田さんは、どんな生きづらさを抱えてきたのか話を聞いた。

買い物の衝動をコントロールできない

約束時間ちょうどに倉田さんは現れた。手には買い物袋を抱えている。「ちょっと買い物をしてしまい、ギリギリになっちゃいました」。そう言いながらバタバタとカフェの席に着いた。

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倉田さんは衝動性の症状があるため、買い物依存症に。一時期はリボ払いギリギリの額まで買い物をしてカードの返済に苦労したという。買い物依存症というと、無駄なものや高価なブランド物を次々に買い漁るイメージがあるが、倉田さんにとってそうではない。

「売り場で何かを見つけた際、必要なものと不要なものの判断ができないんです。インテリアとか、自分が目についたものはそのときの衝動で買ってしまいます。今はビーズでアクセサリーなどを作るハンドメイドが趣味なので、その材料を買うことが多いです。『必要なものだけ買いなさい』と言われても、私には全部必要なものに思えるんです。優先順位があいまいなんでしょうね」(倉田さん)

買い物の衝動をコントロールできないことに困ったのが、自分が発達障害ではないか疑ったきっかけだという。「23歳、『発達障害』の彼が抱える生きづらさ」(2017年11月22日配信)にも記載したが、ADHDの人はその衝動性からニコチンやアルコール、ギャンブルや性といった依存症に陥る確率が正常な人の2倍という研究結果が出ている。

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  • NO NAME5b9707dcedb4
    医学の進歩で新しい病気が次々と出て来る。そのうち真面目に仕事する病とか、責任感ありすぎ病とかも治療する日が来るかもしれない。

    しかし、どんなに病気という概念の領域を医師が拡大できたとしても、治療予算の拡大は難しい。

    今後、医療をささえる保険料を収める人が少なくなった時、新しい病気が病気のままか、それとも昔に戻って、ただの教育不足とか不真面目とか空気読めない人に戻るのか。

    みんな少しづつ違うのは当たり前だが、病気の領域が拡大できるのは、予算があるからにすぎないと思う。
    up21
    down5
    2018/2/18 09:15
  • NO NAME9517d5b4ec89
    鬱病や発達障がいなら、生活保護よりまず障害年金がもらえるのでは?
    そのへん全く触れてないのだけどどうしたのかな?
    up10
    down2
    2018/2/18 11:01
  • NO NAME4fbde0c5a89d
    人と違う少数派が「障害」ならば、LGBTも障害者ということになるだろうけど、そうではないだろう。
    up23
    down15
    2018/2/18 09:52
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