なぜ日本のビッグマックはタイより安いのか

日本のマクドナルドは世界で異常に安い?

今や日本のビッグマックの価格はタイや韓国、パキスタンよりも安い。なぜこんなことになっているのか(撮影:今井康一)

2月13日に日本マクドナルドホールディングスの2017年12月期の通期決算が発表されました。売上高は2536億円と前期比11.9%増、本業の儲けを示す営業利益は189億円となんと同2.7倍。当期純利益は過去最高の240億円となりました。また2018年は店舗数も実に10年ぶりに純増となる計画で、サラ・カサノバ社長の下で2015年から始まった「リカバリープラン」の成果が現れた決算となりました。

売り上げ拡大の要因を見てみると、”平日ランチタイム向けのワンコインメニュー”に消費者の好感が集まったことが大きいようです。たとえば、ビッグマック+ドリンクが400円で提供されています。この価格、皆さんは割高だと思いますか、それとも割安だと思いますか? 今回はマクドナルドの人気メニューであるビッグマックや、それを基につくられた指標である「ビッグマック指数」に注目して、日本経済全体の現状を掘り下げてみたいと思います。ビッグマックを通して、意外な一面がわかると思います。

「ビッグマック指数」って何?

さて、改めてビッグマック指数とは何でしょうか。これは1986年に英国の雑誌『エコノミスト』によって「貨幣の”的確”な価値基準」を測るために発明されました。その名のとおり、各国のビッグマックの価格を比較することによって、適正な為替レートを算出しようとしている指数です。

この指数は、「購買力平価」という理論に基づいています。まず、この「購買力平価」の考え方を、簡単に説明しましょう。

外国為替相場(為替レート)は、「自国の通貨と、外国の通貨の購買力の比率によって決定される」という考え方があり、これを購買力平価説といいます。

では、さまざまな国の通貨の「購買力」は、どのように比較して判断するのが良さそうでしょうか? ここで、1つのものさしであるビッグマック指数が登場します。

ビッグマックは世界中でほぼ統一された品質で提供されています。この価格は、原材料費、人件費、店舗の設備投資など、さまざまな要因を基にして決定されるもので、各国の総合的な購買力を比較するにはとても都合が良いのです。自由な経済活動が行われている世界では、同じ商品であればどこでも同じ値段であるという「一物一価」の考え方も前提になっています。

具体的に指数を計算してみましょう。たとえば、日本でビッグマックが380円で売っていて、アメリカでは4ドルで売っていたとします。計算はとても簡単です。

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  • NO NAMEd265a175530b
    マクドナルドに限らず、日本人がケチなせいで、日本人の労働力は安く買い叩かれているんだよ。
    外国で稼いで日本で消費する外国人観光客にとってはうれしいよね。
    以前日本人が東南アジアあたりに行って、現地でモノやサービスを買い叩いていたのと同じ。
    高品質なサービスを安売りするのが企業努力だとかなんとか言ってるうちに、外国から見て日本
    がそういう国になっていくのは悲しいことだ。
    up16
    down0
    2018/2/18 08:29
  • NO NAME6b2f6a228668
    なぜビッグマックが安いのか?
    安いのはビッグマックだけではなく、すべてが安い

    なぜこれほどまでに、日本中外国人で溢れかえっているのか?

    日本が世界でも稀にみる物価が非常に安い国になっているからです

    かつてのタイのように、物価が安いから長く滞在しているという外国人が多い

    ここまで、日本を叩き売りしていいのですか?

    いっそうの円高が望まれます
    up14
    down4
    2018/2/18 06:27
  • NO NAME7d977b3190ac
    安さの裏には人件費の安さがある。
    up6
    down0
    2018/2/18 08:28
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