それよりも「問題」なのは、公務員採用試験の女子受験者への「えこひいき」です。以下は、大阪市の2013年度職員採用試験の結果ですが、男女の合格者比率でこれほどの「偏り」が出るのは、尋常ではありません。受験者数を「男女同数」と見なして、男女の合格者比率を調整すると、その数値(の偏り)は「女子合格者85%、男子合格者15%」と、さらに大きくなります。これは、ほんの一例です。なお、地方公務員採用試験だけでなく、国家公務員採用試験でも、これほどひどくはありませんが、その傾向は見られます。

大阪市2013年度職員採用試験

女子受験者数 335人
女子合格者数 53人    合格率 15.8%  合格者の81.5%
男子受験者数 425人
男子合格者数 12人    合格率  2.8%  合格者の18.5%


 女性の市職員が少ないから? そんな理由で、女子受験者を「えこひいき」して良いのでしょうか? いいえ、良いはずがありません。女子受験者は、まったく差別されていないのに、なぜ優先して合格させる必要があるのでしょうか? 一方、何の落ち度もない男子受験者にとっては、合格点に達しているはずなのに不合格になる人が出てくるわけで、(男性)差別以外の何物でもありません。一生を左右する(公の)就職試験で、こんな「不正」が行なわれていいわけがありません。

 それとも、この結果は「偶然の産物」と言うのでしょうか? あるいは「公正な試験の結果」だと言うのでしょうか? この結果を(大阪市に)問い合わせた人によると、電話に出た市職員は「女子は、男子よりも、コミュニケーション能力(=面接能力)があるからだろう」などと言ったそうです。もし、それが本当だとしても「男女でこんなに隔たりのある結果を生じるような選抜方法自体が極めて差別的」と言えます。「間接差別」の考え方では、「結果的に大きな格差が生じるような方法は、たとえ取り扱いに差がなくても、(不当な)差別と見なされる」のです。

 大学入試でも「女子を優先して合格させる、入学させる」という「女性優遇」が生じつつあります。2010年に問題になった九州大学(理学部数学科)は、結局「女子優遇」を取りやめましたが、昨年には東大の「女子学生だけに家賃補助」というのが問題になりました。しかも、東大は「推薦入学で、女子を優先的に入学させている」という指摘もあります。「私学」と違って、どちらも「国立」ゆえ、「大学の勝手でしょ」というわけにはいきません。