兼松信之(差別ネットワーク代表)
私、「ドクター差別」は週に1回か2回、仲間と一緒に、あるいは単独で「女性専用車」に乗車します。「1回か2回」と言っても、その日の早朝から「設定時間」の終了(=午前9時半)まで、いくつもの路線に乗車します。最近は「東急パス」や「メトロパス」などの1日乗車券を購入して行ったり来たり、終了後も移動のために乗車するので、十分元が取れています。
なんで、わざわざ「女性専用車」に乗車するのか? 確かに「たまたま」ではなく、私らは「わざわざ」乗車しています。通勤ではない、まして通学でもない、ただ「乗車」が目的で乗っているわけです。用事もないのにわざわざ乗る、ある意味鉄道会社の「お得意さん」です。
「動機」は単純です。鉄道会社が「乗れる」と言っているからです。ですから、何かトラブル等が起こって、鉄道係員に説明が必要な場合には「もし、鉄道会社が『男性は乗れない』と言うのなら、乗らない」と申し上げています。「わざわざ」乗っていますが、「無理矢理」乗っているわけではありません。ただし、「男性は乗れない」なんてのは到底受け入れられない話ですので、その場合は別の手段を用いて「抗議」いたします(注:「女性専用車があるなら、男性専用車をつくるべき」という意見もあるが、つくったとしても「(男性も乗れる)女性専用車」と同様、「(女性も乗れる)男性専用車」でしかない)。
一方、「女性専用車」に乗車するのは、「抗議」が目的ではありません。電車内で抗議(活動)なんぞしたら、鉄道係員に降車させられても文句は言えません。ですので、基本的には「ただ粛々と乗車しているだけ」です。と言っても、乗車形態としては「その通り」ですが、その目的は、やや難しく言うと、「任意性が担保されているかどうかを確認するため」です(注:これを、私らは「任意確認乗車」と呼んでいる)。
裁判所も、国交省も、そして各鉄道会社も「女性専用車には男性も乗れる(=あくまで「任意の協力」で成り立っている)」という見解で一致しています。法解釈としても、運送契約としても「どの車両に乗ろうが、その人の自由(=任意)」なわけです。とは言え、ホームや車体には、「女性専用車」「Women Only」などの文言が書かれたステッカーがベタベタと貼ってあります。まあ、どっちが「本当」かは分かっていますが、実際乗車してみないと「真実」は分かりません。