腎臓・副腎システムの反応

チェルノブイリ事故後に、ベラルーシで認められた低線量被曝症状についての対処法が、「ベラルーシの部屋」と言うブログに載っていました。

「環境不適応症候群」と呼ばれているそうで、ロシア語の本を和訳された情報を、そのブログに載せておられます。 私は、その和訳を、更に英訳して、ネイマン先生に伝えたところ、アーユルヴェーダの視点からの見解でエッセイを書かれたのですが、有益な内容であるというので、翻訳しました。

「ベラルーシの部屋」からの転載

ベラルーシにおける環境不適応症候群の症例。
「不快な症状」(無気力。意気消沈。疲労度が高い。頭痛。腹痛が繰り返し起こる。)
「緊張感が続く」「脱力感が続く」「その両方が交互に訪れる」
「低血圧」
「不整脈」
「ノイローゼ」
「気管支炎の病気」「呼吸疾患によくかかる」
「神経系統の病気」
「アレルギーの症状」
「消化器官の炎症」(胆管部分の不快感。胃腸炎。)


ネイマン先生のエッセイの翻訳

ベラルーシでの、低線量被曝症状である、環境不適応症候群の対処法についての見解です。 勧められている事の一つに、粘滑剤(この場合、リンゴのペクチン)と、リンパ系をきれいにするティーと利尿剤を一緒に使用すると言うのがあるようです。 ついさっき、パリからのメールで、リンゴのペクチンがどこに行っても売り切れている、と知らされました。 このことは、今夏、多数の人がジャムを作る事を考えたか、それとも被曝対策法が、まるでウイルスのように広まっているかの、どちらかであると言えるでしょう。

被曝症状のほとんどは、重金属中毒と似ており、それはアーユルヴェーダのヴァータ疾患とも似ています。 聞こえはややこしいかも知れませんが、もう少し簡潔に説明すると、症状の中には、起こったり消えたりするものがあると言う事です。 しかし、身体表現性障害であるとか、もちろん気のせいだとかと言う事ではありません。 ヴァータ疾患は、基本的に、支離滅裂で矛盾しているものなのです。 医学的な症状が支離滅裂で有り得ると理解したら、医者が症状を診断できなくて困った顔をしていても、そんなに心配する必要は無くて済みます。 また、ヴァータ疾患は、支離滅裂な上、動きを促進する風の要素に敏感なため、動き回ります。 もしも風の要素がなければ、何も動きません。 そうすると色々な事を研究するには便利でしょうが、物事をやり易くするために現実を見ないのは洗練されているとは、言えないので、その方向には行かない事にしましょう。

まず、副腎から始めましょう。 最初に心に留めておかなければいけないのは、副腎は、識閾下で働くため、精神力が肉体に勝るなどと言う説教は、意味を持たないということです。 副腎は、本能と記憶に左右されます。 それは原始的なものかもしれないし、また、前世や、話せるようになる前の幼少時代や、思い出せる記憶からかもしれません。 本能の由来や、本能に起因するパターンが理解できないから、それが無意味だと言うわけではありません。ちょっと考えてみましょう。 どうして、特定の色を好むのか、どうして鳥や蛇が怖いのか、特定の声色を聞くと筋肉が緊張するのか、泳いだりハイキングをしたりするのが嫌いなのか、それについて考えた事はありますか? もし無知のままでいたいなら、好奇心のドアを閉じて、本能というのは不合理で、個人特有であり、根拠がないと片付けてしまう事もできるでしょう。 しかし、本能を重んじる事を選ぶなら、アレルギー反応を避け、緊急時にすばやく反応できる能力を有難く思い、表面化に潜んでいる事を探究して、今までの人生の中での出来事のいくつかを、ついに理解することに成功する可能性を、考慮する事さえできます。しかし、現実的には、現在の状況では、どちらの選択肢も、それ自体は重要ではありません。 なぜかと言うと、先ほど述べたように、副腎は、理由が何であれ、反応する事に反応します。 そして、具体的にどうなるかというと、腎臓が震え、血液内に、色々なプロセスを起こす(そして緊急時に必要ではないプロセスを抑制する)緊急時のホルモンがたくさん放出されます。


腎臓が震えると、大抵の人はちょっと失礼してトイレへ行く事になります。 これがあまり頻繁に起こると、脱水症状を起こし、ミネラル不足になります。 さらにその上、水による絶縁がなくなると、神経同士が近づき始め、段々と落ち着いた気持ちでいる事が難しくなります。 ほとんどの人は、大なり小なりこういう状況に陥った事があると思います。そればかりか、人生のほとんどをこの状況で過ごす人もいます。 そのうち、腎臓が震えによって弱ってしまい、効率的な反応ができなくなります。 そうすると、水分の排泄がうまく行かなくなり、からだがむくみます。 これは、痩せた人がずっと痩せた状態を保たない理由のひとつです。

そして、たとえ、腎臓から水分を排泄するのが解毒過程で重要な事だとしても、利尿剤を使用するのは良くないです。 もしも利尿剤を使用したら、体液の損失がイオンバランスを崩し、様々な二次的な問題が起こり得ます。 体の「反応」との対処の仕方には、もっと良い方法があります。 それは、まず最初に、問題を認識して対処する事です。 放射能が怖いのであれば、安全な場所に移動するか、そのうち慢性の病気になるかもしれない、または、愛する人がそういう病気で、死んで行くと言う運命に身を任せる事です。 これが完全に「不可能」であるなら、放射能被曝の影響を軽減する策を施す事です。 そして、もしもこれが、心気症の人がするような大げさな事だと思うなら、せめて副腎をサポートするものを摂取して、対処の余地を改善してみてはどうでしょうか。 実際、これは、ストレスに対処する能力を改善する事により、腎臓が、大体か、ほぼ普通に、正常に機能し得るため、他の選択肢を考えるまでもなく、良い選択と言えます。 この作戦をサポートする薬草ハーブは、腎臓・副腎システムに滋養を与えるものです。 こういう薬草ハーブは、中国医学では、強さに加える(腎陽のアプローチ)のではなく、弱さを強化する事によって回復力をつけるのを助けるので、腎陰と呼びます。 私達には個人としての限界点があるので、これに、伸縮性を加えて考えたいと思います。 その限界点を「ストレスに対処できる側」へもう少し動かしたいのですが、それには強さと柔軟性の両方が必要ですので、 非常に強い根のハーブや野菜に加え、組織の消耗を減らす、上質の油と粘滑剤が必要になります。

私は長年、そして特に最近、意識を鈍らせるのではなく、できるだけ微細な方法でスタミナをサポートするハーブについて書いて来ました。 数日前のエッセイでは、ほとんどの社会的革命のイデオロギーの基盤は風の要素であり、平等主義のシステムがうまくいくためには、風と言うのは、情報と情報交換に依存していると書きました。 情報ルートが、恐怖や不安を引き起こす陳腐な言葉で溢れた瞬間、2つの事が起こります。 まず最初に、けたたましく鳴り響く陳腐な言葉は、私達の才知を鈍らせます。 そして2つめに、恐怖を引き起こします。 しっかりと地に足をつけるためには、理性を保たなければなりませんが、これはすなわち、事実は真実の歪曲であってはならず、真実は、私達の精神と心を鎖でがんじがらめにして、体中の筋肉を硬直させるのではなく、私たちを自由にしなければいけないと言う事です。 先日、読者の1人が、陰謀とは、真実を覆す全ての試みであると定義されるべきだ、とメールをしてきました。 実際には、陰謀というのは、話の中で公認の解釈から逸脱している事ではなく、むしろ、実際そうではない事になりすましている事全てなのです。

ロディオラ・ロゼア (イワベンケイ)

とにかく、風と言うのは、動きまわって、情報と、考えや興味を交換するという刺激が大好きなので、しっかりと地に足のついた食べ物やハーブで、動きがとれない状態に陥りたくないのです。 要するに、気ままに、ありのままを好むのですが、そこに、分別のあるやり方を用いれば、生活の不安定さを減らせます。 これが、私が、にんにくやアサフォエティダ(アギ)でなく、むしろ、ソロモンズ・シールやロディオラなど、他のもっと優雅に地に足をつけるハーブを強調して来た理由です。 とは言え、アンデスのマカ、インドのシャタバリやアシュワガンダ、中国のジオウ属(地黄属)や朝鮮五味子、西洋のマシュマロやフェンネル。 そして一次作用だけではなく、処方内の他の成分に対してのアレルギー反応を減らす作用のために、たくさんの処方に含まれているリコリス(甘草)。このような、伝統的な民族植物学上、主要なハーブを軽視することは出来ません。 しかしながら、中でも私が一番気に入っているのは、ジャトバです。その理由は、体が危機に陥った時、真菌性のコロニーが確立するリスクが高くなるのですが、ジャトバは、エネルギーレベルのサポートと、抗真菌作用を組み合わせているからです。

私が、ここでしている事は、問題を直接攻撃する前に、体の中で一番弱くて傷つきやすいシステムを強化するという事に、一役買って出ているのです。つまり、例えば、すぐに攻撃的な処置として利尿剤を使うことは、緊急時のために取って置き、それよりも、腎臓・副腎システムが、スムーズに機能を果たせるようなサポートをするハーブを使って、問題を解決しようと言う事です。 それには、私の特製の調合であるCleavers teaとViolet teaを含み、リンパの流れを良くするティーの使用は、是非ともお勧めします。 これらのティーは、穏やかに弱っているところを、刺激をしつつ、全体的には落ち着かせる作用があり、風が狂っていて、システム障害のリスクがある場合には、ちょうど必要な物になります。 しかし、これら全ての方法は、じつは、上質な油によって大いにサポートされます。 現在、流通している食用油の90%以上は、化学的なダメージを受けているか、原材料の栽培方法や油の搾取法や瓶詰め法の理由から、質が損なわれているため、ほとんどの人が、スーパーマーケットで上質な油を見つける事ができません。 念を押しておきますと、食用油は、低温搾取法で作られ、光を通さない瓶に詰められていなくてはいけません。 大抵、この光を通さない瓶と言うのは、茶色か黒色の、化学的に安定したプラスチックのものです。 透明なガラス瓶は、全く適切ではありません。 また、放射線被曝を受けた人達は、食用油ではない、サプリメントとして摂取する、ブラックシードオイルや、他のオイルを摂る事を考慮するべきだと思います。 さらに、薬用ギーや、ハーブを浸したオイルの作り方を学ぶべきでもあると思います。

ここまでの提案は、ベラルーシでの対処法の2つの要素に対して挙げたまでに過ぎず、まだ十分に完全とは言えません。 またいずれ、そのうち、南半球で休暇を取って、海につかる価値を含めた、他の提案も別のエッセイで、ご提供するかもしれません。

© by Dr. Yuri Hiranuma 2011

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