朝鮮日報

人工皮膚開発を支えた日本政府による破格の支援

【特集】復活・株式会社日本(下)

 株式会社日本の復活は、世界最高水準の基礎科学が企業の絶え間ない技術革新を下支えしたことで実現した。日本は欧州に比べ近代科学の導入が遅れたが、政府の積極的な支援で既に科学分野のノーベル賞の受賞者を22人(日本国籍者は20人)も輩出した。米国、英国、ドイツ、フランスに次いで世界5位だ。

 代表例は富士フイルムだ。この会社は最近、新たな事業分野として、再生医学に参入した。患者の皮膚細胞を特殊な物資で処理し、人体のあらゆる細胞へと分化させることを可能にした人工多能性幹細胞(iPS細胞)だ。これを利用すると、患者自身の細胞で病気の細胞を置き換えることができ、疾病の根本的治療が可能となる。

 iPS細胞は京都大の山中伸弥教授が2006年に世界で初めて開発した。この功績で山中教授は12年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。日本政府は山中教授のノーベル賞受賞以降、10年間で1兆ウォン(約1100億円)を超える研究費を投資すると発表し、実際に製薬・バイオ企業の技術として発展させた。日本政府は幹細胞関連の規制を撤廃し、技術の商用化を後押しした。富士フイルムは既にiPS細胞で人工皮膚を開発。現在は人工臓器を開発している。

 日本は1970年代の高度成長期に「技術自立を果たす」ことを掲げ、研究開発(R&D)投資に力を入れ始めた。90年代のバブル崩壊以降、「失われた20年」と呼ばれる長期不況に直面しても、他は節約しても、研究費用の支援は途絶えなかった。その結果がノーベル賞だ。ノーベル賞を受賞した日本人学者22人のうち17人は長期不況が始まって以降の受賞だ。20人は純粋に国内派の研究者だった。そうして積み上げた基礎科学の研究成果が日本の半導体、ディスプレー、二次電池産業などの発展につながり、日本経済の基礎体力を高めた。ノーベル賞受賞者を2人も輩出した東大の神岡宇宙素粒子研究施設(岐阜県)の中畑雅行施設長は「基礎科学があってこそ、未来の世代が使うことができるアイデアが生まれる。そうした信念から政府と国民は基礎科学に対する投資を積極的に支持する」と指摘した。

李永完(イ・ヨンワン)科学専門記者
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