「不便になる」「公共交通の使命を果たしてほしい」。JR九州が16日に発表した3月17日からの新ダイヤで、県内は日豊、久大、豊肥の3線で1日計38本が廃止されることが正式に決まった。なぜ利用者の声を聞いてくれないのか―。列車を暮らしの足にする県民は嘆き、憤った。 大分市の大分駅。豊後大野市三重町の男性(83)はこの日、廃止対象になった午後1時23分発の豊肥線上り列車に乗り込んだ。 通院で月2回、大分市中心部に通う。受診を終え、帰途に就くのは午後1時すぎ。この便がなくなれば次は同3時台しかない。「長く待つのはきつい」 ホームでは大分市永興の無職田口次郎さん(84)が時刻表を見ていた。「JRは公共交通なのに、客の利便性を二の次にしている」。口調は厳しかった。 通学への影響も避けられそうにない。津久見市の津久見駅は普通・特急合わせて6本がなくなる。中でも、多くの津久見高校生が下校時に乗る午後5時前の上り列車の廃止は深刻だ。16日も100人近くが到着を待っていた。 「ただでさえ1時間に1本ほどしかなく、これ以上減ると本当に困る。利用者が多い夕方の便をなくすのは理解できない」と大分市内から通う2年の井上穂風(ほのか)さん(16)。 同学年の藤本真澄さん(17)は「登下校が不便になる時間帯の減便は知らされていなかった。もっと利用者のことを考えて」と注文した。 JR九州が大幅減便を打ち出したのは昨年12月だった。沿線自治体などの猛反発で青柳俊彦社長は一部見直しを示唆したが、16日の会見で兵藤公顕大分支社長は「(利用者に)著しい影響を及ぼすようなものはなかった」と強調。再検討の結果、県内は減便数を修正しなかったと説明した。 新ダイヤの適用は1カ月後。再考を訴え続ける川野幸男津久見市長は「減便は容認できないが、JRは企業として最終判断したのだろう。増便に向けて他自治体や県と連携し、JRとも協力しながら利用者増を図りたい」と語った。 微修正に終わった減便計画 駅の無人化にも不満の声 敷戸と大分大学前駅 無人化今秋にも 廃止される列車の一覧表