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「貯金1000万円でも大丈夫」 老後不安にFPが提言

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2018/2/16

写真はイメージ=PIXTA
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 誰もが十分な老後資金を用意できるとは限らない。リストラや病気だってあるかもしれない。だが、『貯金1000万円でも老後は暮らせる』を執筆したフィナンシャルプランナー(FP)の畠中雅子さんは、そこまで心配することはないという。その意図を聞いた。

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多数の著作の他、講演、個人相談、金融機関へのアドバイスも。介護施設の研究や引きこもりの子供のいる家庭へのアドバイスには特に力を入れている

 「老後資金は最低でも夫婦二人で3000万円、病気や介護に備えるなら1億円は必要」といった数字をよく目にします。一般にFPの所へ相談に訪れる人は、ある程度、お金に余裕がある層です。それでも私が相談を受けている人たちの3割前後は老後資金として1000万円も用意できていません。世の中を見渡したら、定年時に3000万円の老後資金を用意できる人はそれほど多くないでしょう。

■1000万円で何とかする

 3000万円という目標金額は、高齢者世帯の平均支出と平均寿命からからはじき出した平均値です。現実には老後資金1000万円でやりくりしている高齢者世帯はたくさんありますし、逆に3000万円以上の老後資金があったとしても、支出が平均以上なら平均寿命までに資金は尽きてしまいます。

 3000万円ないと老後破綻ということもなければ、3000万円あれば安心老後ということもない。3000万円はそれぞれの老後を考える時の参考値で、あまり意味のある数字ではありません。

 老後資金をつくろうと資産運用を考える人もいます。これも時間がある世代なら可能でしょうが、50歳前後の人が6%や7%といった高いリターンを狙って手元資金を運用してもうまくいくものではありません。まして失敗すると取り返しのつかないことになります。

 株式相場は乱高下しており、50歳前後になるまで、ほとんど投資をしてこなかった人が飛び込むには難しい相場でしょう。運用も否定はしませんが、定年までの時間が少ない人は取れるリスクも限られます。老後資金は預貯金でためられる範囲の金額というのが現実的でしょう。

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