【フロリダ高校乱射】 「プロの学校銃撃犯」になる予告 FBI把握

Left to right: Aaron Feis, Alyssa Alhadeff, Gina Montalto, Joaquin Oliver
Image caption フロリダ州の高校乱射事件で17人が犠牲になった。(左から)アーロン・フェイスさん、アリッサ・アルハデフさん、ジーナ・モンタルトさん、ホアキン・オリバーさん

米フロリダ州の高校乱射事件について連邦捜査局(FBI)は15日、容疑者について事前に把握していた警告をどう扱ったか、見直す方針を示した。

同州南部ブロワード郡パークランドのマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で14日午後2時半、元生徒のニコラス・クルーズ容疑者(19)は銃を乱射し、17人を殺害し、14人を負傷させた疑い。逮捕され地元裁判所に出廷した同容疑者は、計画的殺人の疑いで訴追された。

クルーズ容疑者は取り調べに対して、乱射の実行犯は自分だと認め、バックパックには大量の銃弾が入っていることも認めたという。

調べによると、同容疑者は昨年YouTubeに、自分は「プロの学校銃撃犯」になると投稿していた。それを見たユーザーが当局に通報していたと、FBIは認めた。

容疑者の書き込みを見たベン・ベナイト氏は、FBIに通報し、FBI関係者と約20分ほど話をしたと明らかにした。ベナイト氏によると、高校乱射事件の後、FBIから再び接触があった。

FBIは昨年に通報を受けた時点でYouTubeへのこの書き込みを捜査したものの、投稿者の特定に至らなかったと説明している。

米報道によると、クルーズ容疑者について学校の教師たちも警告を受けていた。容疑者はバックパックを背負っての登校が認められていなかったという。

Florida shooting suspect appears in court Image copyright Getty Images
Image caption 出廷した高校乱射事件のクルーズ容疑者(中央)。右は公設弁護人のメリッサ・マクニール氏

「銃に夢中」

同校の数学教師、ジム・ガード氏は地元紙マイアミ・ヘラルドに対して、高校が昨年、教員たちにクルーズ容疑者についてメールを送っていたことを明らかにした。

「彼がバックパックを背負って校内に入るのは禁止だと言われた。他の生徒を脅すなどの問題が昨年あり、キャンパスを出るよう言われたんだと思う」とガード氏は話している。ガード氏はさらに、同じ高校の女子生徒に夢中になった容疑者は、「ストーカー寸前だった」と話した。

容疑者が退学処分になった理由ははっきりしないが、元同級生のジョシュア・チャロ氏は、バックパックに銃弾を入れていたのが見つかったのだと話す。

チャロ氏は「ショックだったとは言えない」と乱射事件について話した。「こういうことをしそうな奴だった」。

元同級生のエディー・ボニラ氏は地元メディアに「誰かが学校で乱射するとしたら彼だと、冗談としてみんなで言っていた。それが予言だったことになってしまった」と話した。

チャド・ウィリアムズ氏(18)はロイター通信に、クルーズ容疑者が「銃に夢中」で、学校の火災警報器を頻繁に作動させていたと話した。さらに、退学処分の原因はけんかだったと話した。

お使いの端末ではメディアプレイバックはご利用になれません
Enable it in your browser or download Flash Player here.
Sorry, you need Flash to play this.
【フロリダ高校乱射】 「同じクラスの子が5人撃たれた」 2人の話

<関連記事>


Students hugging and crying Image copyright AFP/ GETTY IMAGES
Image caption 事件は1日の授業が終わる少し前に起きた

半自動小銃を合法的に購入か

米メディアは、フロリダ州の白人至上主義団体「フロリダ共和国(ROF)」の代表の話として、クルス容疑者がROFの訓練に参加したことがあると伝えた。ジョーダン・ジェレブ代表は、学校乱射を指示したり望んだことはないと話しているという。

一方で、地元紙タラハシー・デモクラットは、地元捜査当局が容疑者とROFのつながりを確認できなかったと伝えた。

犯行に使われたのは半自動小銃「AR-15」で、容疑者はこれを合法的に購入したとみられる。

ブロワード郡のスコット・イスラエル保安官は容疑者について、「(容疑者の)ウエブサイトやソーシャルメディアへの投稿内容を分析し始めている。中には……非常に、非常に気がかりなものもある」と述べた。

容疑者は武器を手にした自分の写真をインスタグラムに多数投稿していたもょう。アカウントはすでに削除されている。

銃弾の箱やライフル銃、ナイフなどの写真が投稿されていたほか、顔を覆った男性が大きいナイフを手にしている写真も複数あった。

米CBSニュースによると、ドナルド・トランプ米大統領の支持者が好む「アメリカをまた偉大に」と書かれた赤い野球帽をかぶって顔を、赤・白・青のバンダナで覆った容疑者の写真もあったという。

高校の生徒2人は米ニュースサイト「デイリー・ビースト」に、容疑者が「アメリカをまた偉大に」をかぶって登校したこともあると話した。

容疑者の近所に住んだことのあるシェルビー・スペーノ氏は地元紙オーランド・センティネルに、容疑者は問題児として有名で、鶏を撃ったり子供をかんだり、他人の郵便物を捨てたり、車に卵を投げつけたりしたと話した。反社会的な行動のため、警察が呼ばれたことも何度もあると、スペーノ氏は話している。

ブロワード郡のビーム・ファー郡長はCNNに、クルーズ容疑者が1年以上前に精神医療施設で治療を受けたことがあると明らかにした。

お使いの端末ではメディアプレイバックはご利用になれません
Enable it in your browser or download Flash Player here.
Sorry, you need Flash to play this.
犠牲者が増える一方の米銃乱射事件 最近の共通点

クルーズ容疑者は幼い頃に孤児となり、里親夫妻に育てられた。養父は数年前に、養母は昨年11月に死亡しており、きょうだいと親族の家でしばらく過ごした後、同窓生の家族のもとで暮らすようになった。

容疑者が身を寄せていた家族の弁護士、ジム・ルイス氏はテレビ局WPTVに対して、容疑者がAR-15銃を所持していたと確認した。家族は、棚にしまって鍵をかけるよう容疑者に求めていたが、鍵は容疑者が取り出せる場所にあったという。

ルイス弁護士は米紙ワシントン・ポストに対して、この家族の協力で容疑者は地元の1ドルショップで働いたと述べ、容疑者について「落ち込んでいて、ちょっと変わったところがあったかもしれない」と話した。

生徒たちをかばい犠牲に

死亡した17人について、詳細が次第に明らかになってきている。

高校アメフト部のアシスタント・コーチだったアーロン・フェイス氏は、生徒たちの前に跳び出してかばい、搬送先の病院で死亡した。アメフト・チームは、「フットボール家族はアーロン・フェイスの死去を知り、悲しみにくれている。彼は私たちのアシスタント・コーチ、そして警備員だった。自分を顧みず、銃撃犯から生徒たちをかばって撃たれた。英雄として亡くなり、私たちの心と思い出のなかで永遠に生き続ける」とツイートした。

White line 2 pixels

地元メディアによると、学校の体育主任だったクリス・ヒクソン氏(49)も死亡が確認された。ヒクソン氏は2007年に、米海軍予備役兵としてイラクに派遣された。

生徒の1人、ケルシー・フレンドさんは米ABC番組に対して、スコット・ビーゲル教諭が生徒たちを教室にかくまい、ドアに鍵をかけようとしているところで撃たれて死亡したと話した。

犠牲になった生徒のうち、これまでに12人の氏名が明らかにされている。

  • アライナ・ペティーさん(14)
  • アレックス・シャクターさん(14)
  • マーティン・ドゥークさん(14)
  • ジーナ・モンタルトさん(14)
  • ジェイミー・グッテンバーグさん(17)
  • カラ・ロウランさん
  • ルーク・ホイヤーさん(15)
  • アリッサ・アルハデフさん(15)
  • カーメン・シェントラップさん(16)
  • ホアキン・オリバーさん(17)
  • ニコラス・ドウォレットさん(18)
  • メドウ・ポラックさん(18)
Map showing location of the attack and arrest of the gunman
Image caption 乱射事件のあった校舎。生徒と教師は左右の出口から避難した。容疑者は校舎から約4キロ離れた地点で逮捕された

大統領「精神医療の問題に取り組む」

ドナルド・トランプ米大統領は、同校を訪れる意向を示している。

大統領はホワイトハウスで演説し、「傷ついている全ての親、教師、子供」に対して、「決して独りではないと知って欲しい」と強調した。「アメリカの学校で子供が危険な目に遭うなど、あってはならない」と述べ、「皆さんの苦しみを和らげるため、(政府は)できる限りのことをする」と話した。

トランプ氏はさらに、「精神医療という大変な問題に取り組むため、地元リーダーたちと協力していく」と述べた。

演説に先立ち、トランプ氏はツイッターで、「フロリダの銃撃犯は精神的な問題を抱えていたという兆候が、実にたくさんあった。常軌を逸した問題行動が原因で学校から退学されたくらい。近所の人や同級生たちは、彼が大問題だと知っていた。そういう場合は必ず、何度も何度も、当局に通報しなくては!」と書いていた。

フロリダ州選出のマーコ・ルビオ上院議員(共和党)は、「最大限の人命損失を意図して計画・実行された攻撃なのは明らかだ」とツイートした。

ただしルビオ議員は、銃規制法の強化が事件の予防につながったかどうかを議論するのは、まだ時期尚早だと話した。フォックス・ニュースに対して議員は、「どういう法律があれば防げたはずだと勢いこんで主張する前に、事件の事実関係を知る必要がある」と述べた。

フロリダ州のリック・スコット知事(共和党)は、乱射事件は「悪そのものだ」と述べながら、銃規制議論に踏み込むのを避けた。

「法律の執行で市民の安全をどう確保するかについての会話を続けるのは、それにふさわしい時がある」と知事は話した。

一方で、同州選出のビル・ネルソン上院議員(民主党)は、「もうたくさんだとなる」には、これ以上何が必要なのかと、銃規制強化に消極的な共和党関係者を批判した。

ブロワード郡の今回の事件は、2012年12月に東部コネチカット州で小学校が襲われた事件以来、最悪とみられる。

コネチカット州ニュータウンのサンディ・フック小学校では、銃撃犯が6歳と7歳の子供20人と職員6人を射殺した後、自殺した。

コネチカット州選出のクリス・マーフィー上院議員(民主党)は、上院本会議場で発言中、「こんなことよそでは起きない」、「アメリカ合衆国だけだ」と非難し、それは自分たち議員の責任だと強い調子で糾弾した。

お使いの端末ではメディアプレイバックはご利用になれません
Enable it in your browser or download Flash Player here.
Sorry, you need Flash to play this.
こんなことはアメリカだけ 高校乱射で米上院議員

(英語記事 Florida shooting: FBI and teachers warned about Nikolas Cruz / Nikolas Cruz: Depressed loner 'crazy about guns'

この話題についてさらに読む