日本企業の海外進出が多い国ランキング

掲載日:2018年02月13日

今回は「日本企業の海外進出が多い国ランキング」と題して、海外に進出している日本企業の総数(拠点数)とその推移について解説します。

結論から言いますと、日本企業の海外進出は年を追うごとに加速しています。2016年10月時点で日本企業の海外拠点数は71,820。2006年の総数32,495と比較すると、この10年間で海外進出を果たした日本企業の数は2倍以上となっています。

1. 地域別・日本企業進出ランキング&推移

2016年10月の時点で過去最高の71,820拠点数を記録

2016年10月の時点で、海外に進出している日本企業の総数(拠点数)は、71,820拠点。前年と比較して691拠点の増加(約1%)となっており、過去最多の拠点数となりました。
(※ 外務省が在外公館などを通じて実施した「海外在留邦人数調査統計」「海外進出企業実体調査」による)

その内訳としては、「現地法人化された日本企業」(現地法人企業)が約50%の35,831拠点、「現地法人化されていない日本企業」(本邦企業)が約7.1%の5,121拠点、「現地法人化されているか否かが不明な日本企業」(区分不明)が約43%の3,868拠点という結果に。

先述のように、 前年比増減率では約1.0%の増加、過去5年間で約18%アップ(11,032拠点)という、まさに右肩上がりの状況となっています。

日系企業の拠点数_01

出典:外務省ホームページ 「海外在留邦人数調査統計」 平成29年要約版

アジア・北米・西欧の3地域で、全体の9割を占める結果に

前述の外務省のデータを元に、ここからは各地域別に見ていきましょう。

地域別では、2005年以降一貫してトップをキープしている「アジア」への進出が日系進出企業全体の69.2%を占めており、49,673拠点。次いで「北米」が全体比12.8%の9,225拠点、「西欧」が全体比8.1%の5,810拠点となっており、アジア・北米・西欧の3地域で、全体の9割を占める結果となっています。

さらに前年比では、「中米」が160拠点の増加(前年比+14.16%)、「中東」が95拠点の増加(前年比+12.57%)、「北米」が576拠点の増加(前年比+6.66%)、「東欧・旧ソ連」が86拠点の増加(前年比+5.90%)と、それぞれの地域の拠点数が軒並み増大。その一方で拠点数が減少したのが、「大洋州」と「アジア」で、「大洋州」が28拠点の減少(前年比-2.13%)、「アジア」が310拠点の減少(前年比-0.62%)という推移になっています。

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出典:外務省ホームページ 「海外在留邦人数調査統計」 平成29年要約版

2. 国別 日本企業進出ランキング&推移

二大国である中国・アメリカに続く東南アジア諸国

ここからは、いよいよ進出国別のランキングに移ります。

1位は「中国」で日系企業全体の約45%となる32,313拠点。続く2位が「米国」で約12%の8,422拠点。想定内ではありますが、この両国で進出日系企業の半数以上を占める結果となりました。

3位以降は「インド」が約6.4%の4,590拠点。4位の「ドイツ」が約2.5%の1,811拠点。5位の「インドネシア」が約2.5%の1,810拠点。6位の「タイ」が約2.5%の1,783拠点。7位の「ベトナム」が約2.4%の1,678拠点。8位の「フィリピ ン」が約2.0%の1,440拠点。9位の「マレーシア」が約1.9%で1,362拠点。10位の「台湾」が約1.6%で1,152拠点。11位の「シンガポール」が約1.6%で1,141拠点。12位の「メキシコ」が約1.6%で1,111拠点。

以上の12ヵ国で全体の8割を占めています。

日系企業の拠点数_03

出典:外務省ホームページ 「海外在留邦人数調査統計」 平成29年要約版

前年比ではカンボジア・メキシコ・ミャンマーの3カ国がトップに

さらに別の表データを元に、前年比の順位に着目して見ていきましょう。下記は、先述の上位12ヵ国を含む、国別の日本企業進出ランキング1位〜50位のデータになります。

日系企業の拠点数_04
日系企業の拠点数_05
出典:外務省ホームページ 「海外在留邦人数調査統計」 平成29年要約版

日系企業が増加した前年比率の順で述べていくと、28位の「カンボジア」が前年比+20.5%で46拠点の増加。12位の「メキシコ」が前年比+16.1%で54拠点の増加。20位の「ミャンマー」が前年比+14.7%で51拠点の増加。29位の「バングラデシュ」が前年比+11.1%で27拠点の増加。2位の「米国」が前年比+7.3%で573拠点の増加。7位の「ベトナム」が前年比+6.9% で109拠点の増加。5位の「インドネシア」が前年比+6.7%で113拠点の増加。3位の「インド」が前年比+6.4%で275拠点の増加。6位の「タイ」が前年比+3.4%で58拠点の増加となっています。

その一方で、前年比率を基準とした日系企業数が減少したトップ3は、16位の「オーストラリア」が前年比−3.7%で27拠点の減少でトップ。1位の「中国」が前年比−3.2%で1,077拠点の減少で次点。15位の「フランス」が前年比-3.3%で24拠点の減少で3番手という結果となりました。

ちなみに12位の「メキシコ」は、2008年以降から日系企業の拠点数が大幅に増加(2013年は+24.6%、2014年は+19.9%、2015年は+17.6%)、今回の調査にて、長年のライバルだった(?)13位の「英国」を抜く結果となりました。

また、20位の「ミャンマー」は、2016年は+14.5%でしたが、2015年の+33.6%という驚異の前年比率からも分かるように、2011年の民政移管による経済改革の後押しもあり、まさに「アジア最後のフロンティア」の名にふさわしい増加率を見せています。

3. 日本企業が海外に進出する2つの理由

日系企業の進出拠点が多い国&進出が加速している国とは?

では改めて、海外進出を果たした日本企業の拠点数についてまとめましょう。

・日系企業の進出拠点が多い国は…1位中国・2位アメリカ・3位インド

・日系企業の進出が促進されている国は…1位カンボジア・2位メキシコ・3位ミャンマー

そもそも日系企業が海外進出する理由を大きく分けると、「自社の商品およびサービスを開発・販売する市場として進出する」のと、「自社の商品およびサービスの生産代替先を移転する為に進出する」という2つのケースが考えられます。

前者は…さらなる販売マーケットを求めての進出、後者は…安価な労働力を求めての進出と言い換えることができるでしょう。今回のランキングだと、アメリカやドイツといった国が前者に、インドネシアやタイやベトナムやフィリピンといった国々が後者に当てはまります。

中国について

日系企業の進出拠点数トップの中国の場合だと、13億人強という世界第1位の人口からなる、豊富かつ安価な労働力をベースとした、かつての「世界の工場」という位置づけ。さらに、世界第2位のGDP(39兆7,983億円)によって支えられている「世界最大の市場」という、ふたつの側面を持っています。つまり日系企業にとっては、「自社商品の市場」および「自社商品の生産代替先」の双方に当てはまる、非常に魅力的な進出国と言えるのです。

アメリカについて

また、2位のアメリカには、トヨタやホンダなどの自動車メーカー、パナソニックやソニーなどの家電メーカーを筆頭に、様々な業種業態の日系企業が、「自社商品・サービスの市場」として、さらには「現地ユーザーを対象とした生産拠点」として現地に進出を果たしています。

中国・インドに続く世界で3番目となる3億2,000万人の人口を擁するアメリカは、IMFが予測している2020年の名目GDPランキングではトップ、購買力平価GDPの順位では、2014年に中国にぬかれたものの、2020年の予測では2位をキープ。つまり、日系企業にとって同国の存在は、いまだ成長を続ける世界最大のグローバルマーケットであり、圧倒的な購買力を持つ巨大市場であることは言うまでもありません。

インドについて

そして、3位のインドは、2016年の前年比率こそ+6.4%という数字でしたが、2015年には+11.2%、2014年には+54.6%という、驚異的な増加率を誇っています。国内市場の縮小に直面している日本企業にとって、成長著しいインド市場は、今後もさらに魅力的なものになっていくことは間違いないでしょう。

また、その人口も現在の約13億人から、2030年には15億人に到達、さらに2050年には17億人に達するとの見方もあります。2040年まで続く人口ボーナス期に裏打ちされた豊富な若年層労働力を背景に、世界有数の〝IT大国〟としての側面も持ち、事業に関する人件費においても、日本国内と比べて約8割節減できるとも言われています。

カンボジア・メキシコ・ミャンマーについて

2016年の前年比+20.5%となったカンボジアには、スズキやヤマハによる自動二輪車の生産拠点のほかにも、イオンによるショッピングモールや飲食店の進出も活性化しています。数多くの日系企業が進出するタイとベトナムの間に位置し、両国よりも安い人件費から、「タイ・プラスワン」「ベトナム・プラスワン」としての注目も高まっています。

2008年以降から日系企業の拠点数が大幅に増加したメキシコは、日系企業にとっての「巨大な国外市場」であるアメリカへの輸出拠点としての役割をになっています。2021年には、トヨタとマツダが共同で稼働させる年産30万台規模の新工場の設立も予定されています。

2015年の+33.6%という驚異の前年比率を見せたミャンマーは、先述のとおり「アジア最後のフロンティア」として知られています。日本の官民も開発に参画したミャンマーのティラワ工業団地は、着工より3年で外国から約1,000億円もの直接投資を獲得。そのスピード感は東南アジアの工業団地でも類を見ない例として注目されています。

まとめ

先述のように、海外に進出している日本企業の総数(拠点数)は、71,820拠点(2016年10月現在)となり、過去最高となりました。国内市場の縮小化が危ぶまれる中、多くの日本企業にとって、自社事業のグローバル化は、喫緊な課題であることは言うまでもありません。

しかしそれ以上に、「海外進出」という選択肢が、より大きな可能性に満ちた新たなビジョンとして捉えられているのも事実なのです。「グローバル市場で成功する日本企業を10,000社作る」というミッションを持つ、海外ビジネス支援プラットフォーム「Digima~出島~」にも、毎月200件以上の海外進出相談が寄せられています。海外進出に関することでしたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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