★衆院予算委員会でめどが立たない党首討論の代わりなのか。立憲民主党代表・枝野幸男が107分間、首相・安倍晋三、副総理兼財務相で元首相の麻生太郎らを徹底的に質問攻めにした。安倍政権が掲げる働き方改革などの政策や憲法論議の盲点、モリ・カケ問題の追及とテーマは多岐にわたるが、今後の国会論戦の方向を決める示唆に富む質問と、野党第1党である立憲に続けとの野党内アピールも、この質問には含まれていたと解釈した。

 ★ことに圧巻なのは「存立危機事態」について。枝野は「自衛官は防衛出動命令に服従する義務がないことの確認を求める裁判」の資料を持ち出した。「国が、昨年の11月27日、『国難だ』と言って衆議院解散があった後です。北朝鮮情勢が緊張している、今にも北朝鮮からミサイルが飛んでくるかもと危機があおられているド真ん中で、政府が裁判所に提出した準備書面の中には、『現時点で存立危機事態も発生しておらず、また現時点における国際情勢にかんがみても、本件訴訟が継続する当面下において、将来的に上記事態が発生することを、具体的に想定し得る状況にはない』。国側の主張です」。

 ★枝野は続けた。「政府は、一方では、いかにもすぐに存立危機事態が生じるかもしれないといって、安保法制を急いだ。いかにもミサイルが飛んできそうな危険をあおりながら、一方で同じ国が違うところではそんな具体的危険はないと、堂々と国として正式に主張している。こういうのを二枚舌というんじゃないでしょうか」と、国難解散の裏で国が二枚舌を使っていたことを指摘した。枝野や立憲の面々、多くの野党にとって先の衆院選は、人生のターニングポイントになった。その選挙の位置づけについての指摘は、枝野らしい。勝負あった。(K)※敬称略