◆青葉のキセキ−次代を歩む人たちへ− 第2部傷を抱えて まぁ〜ちゃん寛容さ求め(下)

LGBTへの理解を深め、違いを認め合う社会を目指すまぁ〜ちゃん(中央)。らむ(右)とらんの3人で活動を続けている=1月19日、沖縄市のFMコザ

 「自分より年下の世代に同じようなつらく、悲しい思いはさせたくない」

 高校時代、自らの性をカミングアウトしたのを機に、まぁ〜ちゃん(27)=本名・城間勝、嘉手納町=は異質な存在を差別し、排除する社会を変えたいと動きだした。性の違いで受けたいじめ体験から、特にLGBT(性的少数者)への理解を促す活動に取り組んだ。

 大学時代は中高生らに体験を語り、人と違うことは悪くないと訴えた。「自分にも当てはまるかもしれない。カミングアウトしたい」と言う生徒も現れた。「性の違いによるいじめや自らの性を打ち明けられず苦しんでいる子たちを励ましたい」。その思いは少しずつ届いていると感じた。

 2014年。まぁ〜ちゃんと同じく、男でも女でもないセクシュアリティー(性の在り方)の双子「らむ」と「らん」に出会った。2人も多様な性を知ってもらい、違いを認め合える社会にしたいと願っていた。意気投合した3人は「おねぇカラーズ」を結成。新たな同志とともに活動の幅を広げ、決意は揺るぎないものになった。

 まぁ〜ちゃんは現在、沖縄市男女共同参画センターの嘱託職員として、LGBTの相談業務にも携わる。

 昨年12月には西原南小学校の6年生を対象に、体と心の性について講演。自身のいじめ体験や、クラスに1人か2人はLGBTが存在するという統計データを紹介し、身近な存在であることを伝えた。

 「みんなと性が違う人に出会うかも知れないし、当事者になるかもしれない。その時、自分は何ができるかを考えてほしい」と語り掛け、こう続けた。

 「人と違うことで傷つき、苦しんでいる人の声に耳を傾けて。『無理しなくていいんだよ。よく死なないでいてくれたね』。そう言ってあげて」

 講演後、児童が「話を聞けてうれしかった」と声を掛けてきた。自然な事として受け入れる子どもたちの姿に、社会が変わりつつあると実感した。

 一方で、現状を変えていく厳しさも理解している。最近も、沖縄本島内の中学校で性同一性障がいの生徒を教師が差別的な言葉で傷つけたという話を耳にした。「異質なものへの偏見をなくすのは難しい」

 それでも、まぁ〜ちゃんは諦めない。「社会全体で理解を深め、いつの日かLGBTという言葉そのものをなくしたい」

 その目標に少しでも近づけるよう、出会う人々に満面の笑みで語り掛ける。「まぁ〜ちゃんと呼んでください」=敬称略(社会部・西里大輝)

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