「車社会が進み、雪による道路の寸断はより深刻になっている」と話す饒村曜さん=9日、東京都杉並区

 福井市で147センチに達した積雪は、三八豪雪(1963年、213センチ)、五六豪雪(81年、196センチ)に次ぐ戦後3番目の記録となった。国道8号で車1400台が立ち往生するなど生活がまひしたが、今回の雪害の特徴をどう見るのか。福井豪雨時(2004年)の福井地方気象台長で、自然災害に詳しい饒村曜(にょうむら・よう)青山学院大非常勤講師(66)=東京都=に聞いた。

 ―三八、五六豪雪と比較して違いはあるか。

 「今は車社会が進展しているのが特徴だ。福井県内の自動車保有台数は三八豪雪時は約3万5千台、五六豪雪時は約32万台、現在は約66万台(国交省まとめ)に増えている。物流は、定時に定量の物が届く便利な環境になっている。冬の間も夏のように快適に行動している。雪で道路が寸断しひとたび物流が止まると、生活への影響は現在の方が深刻だ。三八のときは、雪が積もったらあまり外に出ない生活で、秋に蓄えた食料を食べるなどしていた。今回の積雪記録は3番目だが、物流や経済面を考えると、福井にとって社会的影響は過去以上になるかもしれない。三八、五六は積雪1メートル以上が1カ月以上続いた。今後は雪がなくなるまで、なだれや融雪洪水など二次災害が起きやすい状態が続く。報道が減り、だんだん警戒が薄れていくが、新たな被害に注意してほしい。五六での死者はなだれ、屋根からの転落、雪の下敷き、川や側溝への転落などで15道府県で133人に達している」

 ―物流が滞った県外の例は。

 「2014年2月の関東甲信の大雪では物流が滞り、自動車メーカー各社は、部品が届かないため全国各地で工場の操業を見合わせた。効率的に生産するため、定時に物が届くことを前提に、在庫を抱えなくて済むよう生産計画を立てている。消費者の生活も経済活動も、物流の上に成り立っている。福井も生産シェアが大きな産業ほど、与える影響が大きくなるのではないかと懸念している。建物などが雪で壊れなくても、経済活動が止まれば、結局大きな損失になる」

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