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「著名ブロガー」を招致した豊洲市場PR施策、その効果はいかほどに??全投稿を分析してみた

このブロガー陣の選定理由も、改めて確認しなければなりませんね。予算の制約があったのかな…?

2018年02月15日 10時08分 JST | 更新 15時間前
東京都中央卸売市場/Twitter

こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

昨日、著名ブロガー20名を招致して、豊洲市場の魅力を伝えるキャンペーンが東京都主導で行われました。

ブロガー発信力に期待=豊洲移転で小池都知事

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018021301151&g=pol

ブログではなく各種SNSで発信しているので、正確には「ブロガー」ではなく「インフルエンサー」を招いて実施したものですね。

これは口コミなどを人為的に作り出す「インフルエンサー・マーケティング」と言われる手法で、まずもってこうした新たな施策で豊洲市場のPRを行おうとしたことは「ナイストライ」ではあったと思います。

ただ税金を投じて行なわれる以上は勿論、しっかりとその妥当性と効果は検証されなければなりません。

というわけで、ブロガーを自称しながら残念ながら本施策に呼ばれなかった私が、どこよりも早く徹底分析を行ってみました。

まず初めにこの施策は、広告代理店である「電通」に外注して行なわれています。実際に参加するブロガー(インフルエンサー)の選定は、電通がすべて行ったようです。

「食」などの情報発信に長けている方や、女性・主婦層にリーチする発信力を持つ方を中心に選定したとのこと。

なおこの費用は2月~3月にかけて行われているPR展示会などの施策の中に一緒に盛り込まれており、総額では約5,000万円ほど。

その中からこのブロガー施策単独でいくら使われているかは、今のところ公表されていません。

そしてこうしたインフルエンサー・マーケティングでは、発信者に対して対価が支払われるのが一般的です。

発信者は「PR」などの表記を入れて、これは「有償広告・宣伝行為」であるという旨を伝えなければいけないのですね。

この表記がないと、いわゆるステルスマーケティングという脱法行為になります。

今回、著名ブロガーたちが「#toyosumarket1011」で発信している内容には、TwitterでもInstagramでも厳格にハッシュタグで「PR」または「promotion」と記載されており、これが有償広告・宣伝行為であることが伺えます。

では、広告代理店が(おそらく)報酬を出して依頼したインフルエンサーたちにどれだけの発信力があったのか。現時点(14日21:00~22:00)までで確認できたものを分析してみました。

見たところInstagramによる発信が最も多く、こちらが発信の核となっていることが伺えます。

まずはそのInstagramから表にまとめますと、以下の通り。

17人が発信し、最小フォロワー数は263名、最大フォロワー数は37,464名、平均するとフォロワー数は10,746名でした。

総投稿数は25で、獲得した「いいね」総数が3,904で1投稿あたりの平均は156、コメント総数は57となっています。

続いてTwitterがコチラ。こちらはかなり悲惨な有様でして...

7名が発信し、最小フォロワー数は736名、最大フォロワー数は3,604名、平均するとフォロワー数は1,949名です。

総投稿数16に対して、RT総数が47で平均すると2.9、「いいね」の獲得総数もわずか116に留まっています。

この数値をどう分析するかは難しいところですが、Twitterについては厳しい評価を下さざるを得ないでしょう。

私くらいの発信力でもフォロワー数は38,000人を超えていますから、「インフルエンサー」と呼べるレベルに達している人たちによって、効果的な発信ができているとは言い難いところです。

一方のInstagramは、フォロワー数2万~3万人超えのアカウントも散見されます。どれくらいの影響力から「インフルエンサー」と呼ぶかに明確な定義はないものの、

スポンサード投稿を行っているインスタグラマーの平均フォロワー数は、2016年7-9月におよそ8万人だったのに対し、2016年10-12月期においては、およそ6.5万人へと減少傾向にあります。
(「2015年から2016年にかけてInstagram上のスポンサード投稿が急増!市場規模は2.4億円以上に。」より)

少し古いデータになりますが、こちらにマーケティングサイトによると、スポンサード投稿(PR投稿)を行っているインスタグラマーの平均フォロワー数は6万5千人というデータが出ています。

加えて獲得した「いいね」の平均数が156に留まっていることを考えると、こちらもやはり物足りない結果に終わっていると言えるのではないでしょうか。

「PR」表記がついた投稿は有償広告・宣伝であることがすでに広く知れ渡っているため拡散しづらく、

「提灯記事だ」

「ヤラセの投稿だろう」

という批判が起こり、逆効果になるリスクもあります。

またネットによる情報発信は初速でだいたい広がり方が決まるため、ここから大きく情報が拡散されることは考えづらいでしょう。

ただ一方で、「ブロガーを招致してPRイベントを行う」ということ自体が地上波ニュースや新聞記事になったこともあり、そうした宣伝広告効果もあったと考えることはできます。

そして前述の通り、この施策単独でどれだけの予算が投資されたかは現時点で公表されておりませんが、

インスタグラマーにスポンサード投稿を依頼する際の費用は、そのフォロワー数に依存するのが一般的です。インスタグラマーの起用相場は、インスタグラマーが持つフォロワーの数を基準にして、1フォロワーあたり3.5-6.5円*とされます。
つまり10万フォロワーを持つインスタグラマーの場合、35万円-65万円がひとつの金額感イメージです。
引用元

という情報などが参考になりそうです。

今後はネット上だけではなく、このPR施策で実際にどのような影響・変化があったか豊洲地域住民の方々や市場関係者に聞き取りし、可能な限りの情報開示を求めながら、引き続き本施策の効果検証をしていきたいと思います。

このブロガー陣の選定理由も、改めて確認しなければなりませんね。予算の制約があったのかな...?

皆さまは都政史上(たぶん)初の「インフルエンサー・マーケティング」、どのように評価をされたでしょうか。

様々なご意見をお聞かせいただければ幸いです。

それでは、また明日。

(2018年2月14日おときた駿ブログより転載)

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