サイボウズの日本橋本社で行われた、衆議院議員の小泉進次郎さんと青野社長の対談。
前編では、「働き方改革は地方の中小企業に響いていない」「2年半休めなかったコンビニ店長」「24時間型社会を見つめ直そう」といったテーマについて、活発な意見交換がされました。
後編では、「働き方改革が進まない理由」「状況を変えるために具体的にどうすればいいか」など、さらに議論が深まります。
2018年2月8日 国家の目的は「便利な国をつくること」ではありません──小泉進次郎×サイボウズ青野、働き方改革と正しい社会のあり方
働き方改革が進まない理由は、日本人が現状に満足しているから
小泉さんは、なぜ日本で働き方改革がうまく進んでいないと思いますか?
改革へのモチベーションが足りないからです。
当事者たちが「働き方を変えたい!」と思っていない、と。
はい。なぜモチベーションがないかというと、現状に満足しているんですね。内閣府の調査(※)で、国民が戦後過去最高に生活に「満足」していることがわかっています。アベノミクス効果で景気がいいですしね。
※2017年8月に公表された「国民生活に関する世論調査」では、現在の生活に「満足」とした人は、過去最高の73.9%。
小泉進次郎(こいずみ・しんじろう)さん。自民党筆頭副幹事長、衆議院議員。米国戦略国際問題研究所研究員、衆議院議員秘書を経て、2009年に初当選、現在4期目。内閣府大臣政務官、復興大臣政務官、党農林部会長、党人生100年時代戦略本部事務局長などを歴任。1981年生まれ、神奈川県横須賀市出身
多くの人が生活に満足しているのは、すごくいいことでもあるけれども、同時に私はこの状況に強い危機感を持っています。
現状に満足している中からは、「何かを変えたい」という機運は生まれてきませんからね。
そう、日本は新しく何かを始める力が弱くなっているんです。今は景気もいいし、生活に満足しているからと。でも、果たして本当にずっとこのままでいいんでしょうか、ということです。
よくないですよね。
どんどん人口が少なくなる日本で、すでに人手不足を肌身で感じる話題をたくさん耳にします。
ファミレスが定休日を設けるようになった、物流業界が値上げした。長時間労働、ブラックのイメージがついているところほど人が集まりにくくなっていますよね。
昨年のクリスマスに、コンビニの外でチキンやケーキを売るアルバイトは、時給2,000円出さないと集まらなかった、なんていう話も聞きました。人口減少による人手不足が、想像していた以上のスピードで現実になりつつあります。
日本人には負けグセ、あきらめグセがついている? 「何も変わらないから」と声を上げなくなっている人たち
でも、本当に全員が心から満足していて、働き方改革が進まないというわけでもないと私は思っていて。
実は理不尽に虐げられているのに、「何も変わらないから」と声を上げなくなっている人が大勢いると思います。負けグセがついてしまっているというか。
なるほど。
「どうせうちの会社の働き方は変わらないでしょ」っていう“あきらめ感”が先に漂ってしまっているんですよね。
かつて小林一三(こばやしいちぞう。阪急電鉄・宝塚歌劇団・阪急百貨店の創設者)がいいことを言っていますよ。「人間を動かすのは我欲」。
働き方改革では「もっとこうしてほしい、ここに不満があるんだ」と、困っている人たちに、もっと大きな声をあげてほしいです。
そして、推進する側はもっと一人ひとりの声を、ちゃんと聞いてほしい。現場の声を聞かない限り、働き方改革は絶対に成功しませんから。
青野慶久(あおの・よしひさ)。1971年生まれ。愛媛県今治市出身。大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現パナソニック)を経て、1997年8月愛媛県松山市でサイボウズを設立した。2005年4月には代表取締役社長に就任(現任)。社内のワークスタイル変革を推進し、離職率を6分の1に低減するとともに、3児の父として3度の育児休暇を取得している。2011年からは、事業のクラウド化を推進。厚生労働省「働き方の未来 2035」懇談会メンバーやCSAJ(一般社団法人コンピュータソフトウェア協会)の副会長を務める。著書に『ちょいデキ!』(文春新書)、『チームのことだけ、考えた。』(ダイヤモンド社)
不思議な話ですが、政治の世界を見ていると誰も反対しないような改革は実現しないんですよね。
そういうものかもしれませんね。
「人口減少、人手不足だから働き方改革で生産性を上げましょう」だと、きれいな論理で、誰も反対はしない。でも、改革も進まない。
現場はもっと声を上げなくちゃいけないんでしょうね。仕事量もやり方も変わらず「とにかく帰れ」という無茶を組織が現場に押しつけるなら、現場はもっと反対しないと、働き方改革は進んでいかない。