【平昌五輪】 北朝鮮のフィギュアスケートペア初出場 観客魅了
北朝鮮のフィギュアスケート選手が14日、冬季五輪大会の舞台に初出場し、印象深いプログラムでフリー進出を決めた。
廉太鈺(リョム・テオク)選手(19)と金柱希(キム・ジュシク)選手(25)のペアは声援で迎えられ、ビートルズの「A Day in the Life」のインストルメンタル・カバー曲に合わせて演技を披露した。
リョム選手とキム選手のペアは69.40点を獲得し、ショートプログラムの自己ベストで11位となった。15日のフリーに出場する。
「現時点で現実的には、目標は上位12位以内に入ることだ」。コーチのブルーノ・マルコット氏は滑走前、BBCにこう話していた。「上位10位に入れば、大健闘ということになる」。
実績に基づいて今大会に出場している北朝鮮選手は、両選手のみ。
両選手は、3回転ツイストリフトで演技を開始した。赤と白のトレーニングウェア姿の北朝鮮応援団が、北朝鮮の国旗を振って声援した。
北朝鮮選手団と芸術団の五輪参加には反対もあった。南北融和に対する北朝鮮の真意を疑う声は多く、核問題には何も変化がないという警告の声もある。
Virtual cheers
北朝鮮ペアには、オンラインでも大勢が歓声を送った。
「KaiserRoll」さんは、「この北朝鮮のスケーターたちはまったく電撃的だ」と書いた。
「cris」さんは、「北朝鮮のフィギュア選手の演技はすごくすっきりしていて、実際すごく揺さぶられた」と書いた。
「David Thackham」さんは、「『こんなツイートするわけないと思っていた』ツイートのひとつだ。北朝鮮のフィギュア選手はとても才能がある」と書いた。
ソーシャル・メディアでは韓国人も同様に感銘を受けていた。
「北朝鮮のフィギュアスケート選手がここまでうまいとは思ってもいなかった」と、「ディスコ」さんは驚いていた。「リョムは中学生みたいだけど、技術は最高級だ」。
「2人はびっくりするほど素晴らしかった。行って応援したい。チケットって残ってるのかな?」と、ツイッターでは別のユーザーが尋ねていた。
ソーシャルメディアで話題になったのは、2人の演技だけではない。
インスタグラムでは、韓国のフィギュアスケート代表アレックス・カム・カンチャン選手が先週、北朝鮮のキム選手との自撮りを投稿し、アカウントはコメントで埋め尽くされた。
「北からの兄弟と。やった~、行こうぜ!」と、カム選手はインスタグラムのキャプションに書いた。
人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の主要キャラクターで「北」と関わりの強い「ジョン・スノウ」の名前と共に、「#theyhateuscausetheyaintus (自分らみたいじゃないからあいつらは自分らが憎いんだ)」というハッシュタグも添えていた。
15日午前の時点で1635回「いいね」が押され、大勢が好意的なコメントをつけている。
このやり取りは、北朝鮮と韓国の選手たちの友情が可視化された瞬間の1つだ。両国の選手らは今大会の開会式で統一旗を掲げ、共に行進した。
北朝鮮政府は今年の冬季五輪に、選手22人と、応援団や管弦楽団を含む400人以上の代表団を派遣している。
北朝鮮の核・ミサイル開発による世界的な緊張が昨年1年で高まっていただけに、金正恩・朝鮮労働党委員長が元日に平昌五輪への代表団派遣を提案したのは驚きをもって迎えられた。
(英語記事 North Korea figure skaters delight crowds in Olympic debut)