今日はひとつインタビューがあったので、帰ってきてそれを原稿にしてみる。まずは録音を聞かず、残っている記憶と書き散らしたメモを元にさらっと書いてみる。明日起きたら音源を聞きながら言葉をプラスし、インタビュイーの言葉のニュアンスを調整すればいいかなと思っている。いま目の前にある原稿は取材相手の魅力を10分の1も伝えられていない。
今日は久しぶりに都心に行った気がした。妻が「バレンタインデー」と言って突然プレゼントしてくれた靴下を履いているおれは、取材時刻よりだいぶ早めに表参道に着く(早めに着くなんてこと、大学生までのおれにはまったくできなかったので、成長はしている)。国連大学のすぐ近くの地下に埋まっているマクドナルドでポテトを食べながらインタビューの準備をしていたら、スマホに大森靖子さんからのツイート通知が来る(通知オンにしている)。以前からライブで弾き語っていた楽曲「東京と今日」のMV(?)がYouTubeで公開されたとのこと。
すぐに聞く、涙をこらえる。今月は小沢健二の「アルペジオ (きっと魔法のトンネルの先)」があり、大森靖子の「東京と今日」があった1ヶ月だった、そう結論してしまいたくなる決定的な一曲だった。ライブで聞くよりもコントロールされた歌唱と歌詞字幕によって、はじめて言葉を知る。
《東京都 今日と今日 東京 今日はひとつ夢が叶ったのに 東京都 今日と今日 東京 君に会うとまた夢がひとつ増えてしまう》、《僕はもう大人だから 願いごとは僕で始末をつけるのさ》という歌詞が個人的に刺さったが、《閃きは溢れて 新しい都市となる》に、「Tokyo Black Hole」の《はたらくおっさんで 僕の世界がキラキラ》を思い出し、大森さんにとっての東京は人々の営みなんだな、と改めて知る。
道ゆく人たちみんなに閃きがあること、はたらきがあることにうんざりしている最近の自分を情けなく感じる。みんな生きていることを肯定できない自分が呪わしい。
マクドナルドを出て、外苑前に向かって歩く、ピエール・エルメでマツコ・デラックスがロケしてるのに遭遇する。久しぶりに来た表参道で「東京と今日」を聞き、マツコ・デラックスを見かけた、これは吉兆だと思った。マツコさんは7センチくらいのヒール履いてた。えらいな、と思った。
媒体の人と合流して最終打ち合わせを終え、インタビュー現場に向かう。
今日はまるまるプロモーション日だったにも関わらず、20時ごろでも彼はとても気さくに率直に真剣に丁寧に優しくユーモアと毒も交えてひとつひとつの質問に答えてくれた、助けられた。すごい人はすごい。
帰り道で「東京と今日」と「アルペジオ」を聞く。宮益坂上で「アルペジオ」をリピート再生し始めたら、スクランブル交差点までの間に2回聞けた。2アルペジオ。
自宅からいちばん近いコンビニまでと同じだ。ちなみに自宅から最寄り駅までは4アルペジオある。
東京と今日、アルペジオ、どれだけ重ねれば、夢は叶い、ほんとうのことを手にできるのだろう。ねむる。