20年前の女子高生、どんなだったか覚えてますか?

くしゅくしゅのルーズソックスに、短いスカート、だらんと下げたリボン。
“コギャル”が街に現れたのは、今から20年以上も前のことです。
数年後には進化系の“ヤマンバ”も現れ、世間を騒がせました。
このスタイルに大きな影響を与えたのが、安室奈美恵。

「今から20年ほど前、アムラーがコギャル文化を生みます。それが、高校生にかなりの率で感染していくんです」
そう語るのは、大手制服メーカー・株式会社トンボで20年ものあいだ制服の研究にたずさわった佐野勝彦さん。
著書『女子高生 制服路上観察』のなかで、“JKファッション”のこれまでを語っています。
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「それまではセーラー服がメインでしたが、ちょうど安室奈美恵の人気が出ると同時に、ブレザーが定番化します」
セーラー服時代は“スケバン”と呼ばれる変形制服がありましたが、ブレザーは登場したばかりで真っさら状態。
当時はまだ、“イケてる”制服のアレンジがありませんでした。
そこに、安室奈美恵がミニスカート姿で登場します。

膝まで伸びるロングブーツに、短いスカート。
サラサラの髪を振り乱して踊る姿に世間は釘付けになります。
“アムラー”ブームが巻き起こり、女子高生たちもその姿を目指すようになりました。
「ミニスカートの流行自体はその前からあったんですが、安室奈美恵が登場して、トレンドのイメージができたわけです。『これが可愛いんだ!』と女子高生たちは飛びつきました」

「アムラーファッションのボリュームバランスを真似して、スカートを短くし、ブーツ代わりにルーズソックスを履きました。巻き上げたスカートを隠すため、夏場もニットベストを着ていましたね」
1997年のSAMとの結婚会見では、年配向けと思われていたバーバリーチェックを着こなし、大きな注目を集めました。

制服の流行は、大きく変化。

「安室奈美恵を真似したことで、制服のシルエットが逆になりました。長いスカートには短いソックスで、短いスカートには長いソックス。ちゃんとバランスとってるわけですね」
同時に、高校生たちの意識も変化していきます。
「それまでは社会の庇護者と見なされていた高校生が、自分たちの世代感覚を誇らしげに見せつけ、社会に打って出ました」
反抗心の表れだった“ツッパリ”から、トレンドを存分に汲んだ“ファッション”に変化したのです。

いわば、“女子高生ブーム”のはじまりです。
高校生としてのトレンド感覚に自信を持つようになった彼女たち。マーケットにおいても、その存在感は高まっていきました。
「注目されていることは、高校生自身もよくわかっています。期間限定の、非常に大事なものだと自覚している。『パジャマ以外は制服着てたい』って子もいましたよ」

「今はスカートも極端に短いものではなりましたが、それでもやはり、安室奈美恵が女子高生に与えた影響はものすごく大きかったと私は思います」