その3

2002.5.18 屋根上・正面連結器の工作


 実に久しぶりに工作を再開。
 めんどくさくて延び延びになっていたパンタ周りのディテールアップを行なった。

 配管はGMクロスポイント製西武6000系アルミ車のキットに入っているエッチングパーツを切り貼りして流用。一部は
無理矢理曲げ直してそれらしくしてある。
 空気配管を中心に実車とは形態が異なるが、雰囲気的にそれらしくなればよい、ということで割り切った(元が「タイ
プ」だし・・・)。

 避雷器台座はt0.13とt0.3プラ板を貼り重ねて表現。避雷器後の動作インジケーター(だったっけな)はt0.5プラ板を1.0
×2.0に切り出して立ててある。
 ヒューズ箱、避雷器はGM西武新2000系キットの余剰品、ヒューズ箱の間にある電磁弁は旧形国電キットの配管カバ
ーを2mmに切ったもの。
 パンタ台はエバーグリーンの1.5mmチャンネル材(品番261)を1.3mm長に切り、中央にφ0.6の穴を開けたもの。これ
をパンタの脚に差し込んである(下写真・ちょっとピンボケですが)。



 当初、20055Fをプロトタイプにするつもりだったが、屋上配管のエッチングパターンの都合上母線が3本に減らせない
ことが判明、この時点で自動的に20051Fがプロトタイプになってしまった(我ながらいい加減だと思います・・・)。

 しかしそのおかげで(?)悩んでいた正面の収納式連結器の作成法は考えなくてよくなったのは朗報であった。
 工作は至って単純で、GM JR205系キットの連結器胴受の上部を削り、正面裾の連結器上の切り欠き部分に嵌まる
ように調整。連結器はジャンク箱に転がっていた妙に出来の良いパーツ(多分京急2000系か1500系のパーツ)の電気
連結器を切り取って使用。せっかくなので、電連取付座を残してみた(下写真右が加工した連結器、左が取付状況)。



 最後にもうひと踏ん張りしてスカートの曲げ加工を行なった。
 実車の写真を見ながらそれらしい形状になるようにした。微妙なカーブを描いているので、整形は少々手がかかっ
た。



 あとはライトのベース板を作る作業が残っているが、来週はいよいよ塗装に入れそうだ。天気がちょっと心配だ
が・・・。

<オマケ>

 スカート、連結器の加工の参考に、実車の写真を数点載せておきます。


クハ20051のスカート周り。2001年2月頃から連結器にカバーが付いている。
乗務員扉のステップがスカートに固定されているのがわかる。


 クハ20051前頭部を真横から見る。
 連結器の張り出し具合やスカートの曲げ形状の参考に。

2003.5.19 ライトベース板の製作


 キットにはヘッド・テールライトのパーツが含まれておらず、のっぺらぼうになってしまう。
 そこでライトのベース板をt0.5プラ板で製作。正面パーツ裏の凹みに嵌まる寸法に切り出し、φ1.2の穴を開けた(写
真右上のパーツ)。
 これに銀河N-081シールドビームレンズを差しこみ(写真右下のパーツ)、これを正面裏のライト部分の凹みに嵌めこ
むようにした。
 組み立て時にはベースを黒に、テールレンズをクリアーレッドに塗ってから組み立てることになる。
 ようやく20000系の顔が出来上がってちょっと嬉しい。

2003.5.21 ラジオアンテナの製作


 クハ20000の屋上に搭載されているラジオアンテナは、エッチング板折り曲げ組み立ての箱をボルトの表現のある台
座を介して屋根に差し込む構成になっており、アンテナ台座と屋根が密着してしまうが、実物は台座が少し屋根から浮
いた状態で(というか、屋根と一体の架台の上に)取り付けられている。
 そこで、台座の裏にt0.3プラ板を7×4mmに切り出して貼り付けてみた。
 車体への取付状況を示したのが下の写真で、これだけの加工でも印象は格段に向上する。あとは接着剤のはみ出
しを丁寧に仕上げて塗装に備えるだけだ。


2003.5.24 波に乗れず・・・

 今日・明日の2日間で吹き付け塗装を済ませるつもりだったが、妙に仕事の疲れが残っていてなかなか気が乗らな
い。
 さらに追い討ちをかけるように塗料が足りないことや、仕上げに貼る車椅子スペース表示ステッカーを買い忘れてい
ることが判明したりしてすっかりやる気が失せてしまい、結局今日は買い出しの日になった。
 帰宅してから、塗装の下準備を行なった。


 せっかくのステンレス素材なので、貫通扉は無塗装で残すことにした。扉をマスキングテープで覆い、裏からも窓をマ
スクして塗料が吹き込まないようにした。


 最近は床上面も塗装するようにしているが、今回は無塗装で残すことにした。
 実車がかなり明るいグレー系の床敷物なので、成型色のままで良いと判断。ウエイトはあとでグレーを筆塗りする。要
は早い話が「手抜き」です(^_^;)。
 動力ユニットの床板は台車取付部をマスキングしておくことが必要。ここを塗装してしまうと、集電板と台車フレームと
のクリアランスが塗膜の厚み分狭くなり、台車の回転が悪くなってしまうので注意!


 ついでなので今回塗装に使おうと思っている新兵器(?)を2つ。
 左は「ソフトビニール用塗料」で、台車のプライマー代わりに使えないかと以前から目をつけていたもの。ちょっと期待
しているのだが、効果はいかに?
 右はこれも長いこと目をつけていたタミヤの「HGエアブラシ」。「スプレーワーク」を13年も使っているとさすがにエアガ
ンにもガタが出始めていて、そろそろ交換時期かな、と考えていた。
 そこで思い切って買ってみたのだが、これまた結果はいかに?
 冷静に考えてみれば、何もこんなに急いでいるときにわざわざ新しいことに手を出さなくても・・・と、自分でも思う(-.-)。

 明日はちゃんと塗装します。

2003.5.25 今日はちゃんと塗装


 昨日とはうって変わって今日はノリノリで塗装が進んだ。
 例によって金属部分にマッハのメタル用シールプライマーを吹いたあと、まず屋根・床下等のグレーから塗装を開始。
その後屋根をマスキングして車体に銀色を吹いた。
 いつもと順序が逆だが、この方がマスキングしやすかったのと、銀色の上に塗料を上塗りしたくなかったのでこのよう
にしてみた。

 キットの車体には実車には無い外付けの雨樋がエッチングされているが、屋根との塗り分け線をどこにするかかなり
迷った。結局雨樋までグレーにしたが、実車の写真と見比べてみるとこれで正解だったようだ。

 上の写真は非常にわかりづらいが、屋根がグレー、車体は銀色に塗装した状態。貫通扉はステンレスの無塗装なの
だが、写真では何がなんだかよくわからないですね・・・(^^ゞ

 なお、使用した塗料はGSIクレオスMr.カラー08銀色と305グレーFS36118。Mr.カラーの銀色はキメが細かくしっとりし
た感じに仕上がるので気に入っている。
 車体の青帯はキット付属のステッカーを利用することにしている。


 塗装で丸1日かかってしまったが、夜中に動力ユニットとトレーラー台車1両分だけ組み立ててみた。車輪にはクロス
ポイントの波打ち車輪パーツを貼り付けた。SS143台車(実物はほとんど同型のSS150A・SS050A)は車輪がよく見える
ので非常に効果的だ。
 動力台車はギアフレームを黒く塗って目立たなくすると見栄えが向上する。油性ペンで塗りつぶすだけで十分。

 今回、台車の塗装の下地にソフトビニール用塗料を使ってみたが、結果は良好。完璧ではないが、塗料の食いつき
はなかなか良い。

 明日からは夜な夜な帯ステッカー貼りの作業が続く・・・。

2003.5.26~5.31 とにかく仕上げを急ぐ・・・

 5/31・6/1の2日間に開催された「西武電車フェスタ・検修場まつり」での展示に間に合わせるべく、仕上げを急いだ。



 正面はプライマーを吹いたあと、GM14灰色9号で下塗り。すると、正面パーツ側面の板の合わせ目の仕上げ漏れが
はっきりと現れ、一瞬ガックリ・・・。
 気を取り直して瞬間接着剤を盛り付け、平滑になるまで何回か仕上げを繰り返した。

 下地ができたらMr.110キャラクターブルーを吹き付け。正面の波板部分と側面に縦に回っている帯をマスキングして
Mr.305グレーFS36118を吹き、さらに正面窓回りを残して全体をマスキングし、GM10黒色を吹いた。
 最後にライトケースの縁を黒く塗れば正面の塗装は完了。
 これで平面的だった正面にようやくメリハリが出てきた。

 正面窓とライトケースに窓セルを入れ、さらに方向幕パーツやライトパーツをゴム系接着剤で固定して正面パーツは
完成。
 テールレンズの尻が車体妻面パーツのビスに当たるので、短くカットしておく必要があった。


 帯はキット付属のステッカーを利用。極薄のビニールテープのような素材で、あらかじめ所定の幅に仕上げられてい
るのは親切。説明書通りに貼っていけば、手間は多少かかるが問題なく仕上がるはず。
 扉部分の段差やドアの合わせ目部分はカッターで切込みを入れ、帯が車体に密着するようにしてやると見た目が非
常に良くなってくれる。

 方向幕は蛍光オレンジ色の台紙に印刷したものが入っているので、両面テープでプラ板に貼り付けてから所定の寸
法に切り出し、少量のゴム系接着剤で車体の裏から貼り付けた。

 2連窓の窓桟はMr.33つや消し黒に塗ってある。

 本来は2連窓の上部には窓サッシがあるのだが、全くと言ってよいほど目立たないので省略してしまった。

 クーラーとベンチレータはステンレスエッチング板を折り曲げて屋根に開けられたスリットに差し込んで表現するが、ク
ーラー本体の取付には少々コツがいる。屋根の塗装を傷めないように気をつける必要があった(作例も何ヵ所か塗装
をはいでしまい、修整している)。


 帯の貼り付けに時間がかかり、最後は徹夜をして5/31の朝4時にようやく一応完成。
 クハ20151(写真左)のオデコに隙間が空いてしまったが、直す時間もなくこのまま展示に持って行かざるを得なかっ
た。

 仕上げに号車番号札(GM営団6000系キット付属のステッカー:色が異なるが)、車椅子スペース表示(クロスポイント
小田急3000形キット付属のステッカー)、優先席表示(GM西武新2000系キット付属のステッカー)、車両ナンバー(キット
付属のシール)を貼り付けた。

 なお、展示当日運転してみたら、クロスポイントの波打車輪パーツによるショートが発生していることがわかった。絶
縁側車輪でパーツが車軸と車輪表面両方に接触することでショートが発生していたのであった。
 パーツを絶縁側に貼り付ける際に、車軸とパーツが接触しないように十分に気をつける必要があった。車軸が通る穴
が小さい場合はヤスリで拡大しておけば大丈夫。
 ちなみに、このトラブルがあったのは28軸中1軸だけだったので、パーツの取り付けに十分注意すれば問題ない。

2003.6.8 最終仕上げ

 時間切れで手が回らなかった部分に手を加えたり、不具合を修整したり、といった最終的な仕上げ作業を行った。

 まず、クハ20151のオデコの隙間だが、いろいろ考えた挙句、一度分解して再調整という手堅い方法で修正を行っ
た。
 モハ20251には「弱冷車」ステッカーを貼った。色が異なるが、GM113・115系キットに付属のステッカーに収録されてい
るものを文字ぎりぎりの幅に切り出すとちょうど良い大きさになる(下写真)。



 実物はパンタ台枠が黄色く塗られて目立つので、模型でも塗装すると良いアクセントになる。
 プライマーを塗ったあと、GM12黄色5号を塗った。はみ出した部分は乾燥後にカッターで簡単にはがすことができる。



 最後に、動力ユニットの微調整を実施。
 走行時、キュルキュルと大きな異音がして気になっていたのだが、原因は台車のギアフレームの車輪軸受け部分に
バリが出ていて、これが車軸をこすっているためだった。
 軸受けにカッターの刃を立ててバリをこそげ取り、きれいに仕上げたら異音は消えた。
 極少量の「ユニクリーンオイル」を差して慣らし運転をしておいた。

 これでようやく本当の「完成」となった。


 昨年製作した三岐105F同様、最後は展示に間に合わせるために徹夜作業になってしまいましたが、幸いにも展示会
場では多くの方々よりお褒めの言葉を頂くことができました。製作の疲れが吹き飛ぶ瞬間でした。
 製作中も皆様より多くの励まし、プレッシャー攻勢(?)を頂戴し、良い発奮材料になりました。本当にありがとうござい
ました。
 実際にこのキットを組もう、という方は少ないと思われ(高価だし、手間はかかるし・・・)ますが、この製作記が皆様の
ご参考になる部分がひとつでもあれば幸いに思います。

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