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【群馬】

朝鮮人追悼碑訴訟判決 「権力と闘い 歴史的勝利」

判決後に会見する原告側弁護団。(左)が下山事務局長、左から2人目が角田弁護団長=前橋市で

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 「(市民団体と弁護団が)権力と闘ったことを裁判所が認めてくれた。歴史的な勝利だ」-。高崎市の県立公園「群馬の森」にある朝鮮人強制連行犠牲者追悼碑の前で碑を管理する市民団体が開いた慰霊行事で、設置条件に反する政治的発言があったとして県が更新を不許可とし、市民団体が処分の取り消しなどを求めた訴訟。前橋地裁が十四日、処分を取り消す判決を出したことに、前橋市内で記者会見した市民団体側の角田義一弁護団長は、こう声を張り上げた。 (菅原洋、原田晋也)

 市民団体は「記憶 反省 そして友好」の追悼碑を守る会(前橋市)。

 角田団長は「全面勝訴ではないのが残念だが、県の処分に違法性があって取り消すという判決を高く評価したい。県の処分は社会通念上に反して違法と判断した」と評価した。

 弁護団の下山順事務局長は「県の処分を取り消したことに重要な意味がある。碑の価値も正面から認めた判決だ」と解説した。

 ただ、判決では、ともに主要な争点となった、政治的行事を規制した設置条件と、不許可の処分がそれぞれ「表現の自由を侵害している」という市民団体側の主張について、いずれも認めなかった。

 角田団長は「表現の自由への大上段からの判断は難しいと思っていたが、考え抜いた判決」と指摘。下山事務局長は「判決が政治的行事を規制した設置条件などを認定したのは納得がいかず、不当だ」と訴えた。

 下山事務局長は記者会見後の集会で「『強制連行との言葉を使うと特定の主義主張になってしまう』と認めた判決だ、と指摘され、それが独り歩きするとしたら非常によくない。一般的な話と認識するべきではない」と懸念も示した。

 一方、県が処分を出した当時の担当課長だった中島聡・県土整備部長が県庁で記者会見し、「判決で設置条件の合憲性は認められ、(守る会の慰霊行事が)許可条件違反の政治的行事に該当すると一部の主張は認められた。ただ、最終的には処分は認められず、大変残念」と述べた。

◆違反あったのに残念

<大沢正明知事のコメント> 許可条件違反があったにもかかわらず、更新申請に対する県の不許可処分が取り消されたことはたいへん残念である。判決文を詳細に検討し、今後の対応を考えたい。

 

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