優先席の劣悪マナーは看過できないレベルだ
若者も中高年も外国人も席を譲らない
まだ夕方のラッシュには時間がある、ある日の京王線明大前駅。京王八王子行き準特急はラッシュ前といえほぼ満員の状態、初老の夫婦が優先席のある「おもいやりぞーん」近くのドアから乗り込むも、優先席はスマホに夢中の若者ばかりだ。
夫婦の女性は障害者で杖をついている。夫がドアに一番近いスマホの若者に「すみません、長い時間立っていられない身なのです、譲っていただけませんか?」と申し訳なさそうに言った。するとスマホ男は「オレだって疲れてんだ!」と大声を上げた。周りの乗客が一斉に注目したから、それほどの大声でけんか腰だった。それでもスマホ男はガンとして席を譲ろうとはしない。他の優先席のスマホに夢中の「健常者」もしかりである。
優先席のモラルはまだまだ低い
実はこの出来事は、わが家族のことである。妻は脳梗塞の後遺症で左手と腰にマヒが残り、歩けるのだが長時間立っていることはできない。身体障害者手帳も所持している。スマホ男は周りの視線を気にしながら千歳烏山で席を立った。私の家内はその後に座り、黙って下を向いたままだった。冷たい世の中というより、ひどい世の中になったものだと思った。
以来、私は各鉄道会社の「優先席」というものを取材して、その現状を自分なりに把握した。以下は私の実体験によるもので、すべてがそうであるとは言い切れない。だが、私が見たところ、「優先席」を必要としている「交通弱者」に対しては、またまだ社会的なマナー、モラルが低いと言わざるをえないとの結論に至った。