(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年2月12日付)
2016年に英国で起きたことが、今、ドイツで起きている。
投票が政治システムに完全な混乱をもたらしているのだ。ドイツの場合は国民投票ではなく、中道左派のドイツ社会民主党(SPD)に所属する46万4000人の党員の間で行われる投票だ。
もしSPDが党員投票で、アンゲラ・メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)との大連立を否決すれば、ドイツ首脳としてのメルケル氏の政治生命が唐突な終わりを迎える可能性がある。
あるいは、総選挙の再実施で、場合によってはメルケル氏抜きでの新たな過半数が確保されるまで、短い間、続投することになるかもしれない。
SPDの党員投票の結果は3月4日に判明する。この日はイタリアでも選挙が行われるため、欧州にとって重要な1日となる。
先週、CDUとバイエルン州の姉妹政党であるキリスト教社会同盟(CSU)、それにSPDの3党は、現在の大連立を継続することに同意した。
しかし、SPDの戦略家とベルリンの政治評論家は、ずっと続く大連立にうんざりしているSPDの草の根党員の間で進行している反乱をあまりに過小評価していた。
こうした党員は筆者と同じように、半永久的な大連立は長期的に中道を弱体化させ、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」のような急進的な小政党を強めることになると主張してきた。