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【悲報】ハッキングされた仮想通貨NEMが今でもダークウェブで購入できる状態に!?

初めに申し上げますが、本投稿内容については犯罪を助長、幇助する趣旨は一切ありません。仮想通貨を単なる金儲けの投資としてしか理解されていない入門者に警鐘を鳴らす意味合いで投稿しております。

コインチェック取引所からハッキングされた580億円相当のNEMですが、ダークウェブで安く売られていることは、ネット情報の収集が得意な皆様は既にご存知かと思います。以下のスクリーンキャプチャーは、一部切り取り修正をしておりますが、件のNEMが売られているダークウェブサイトになります。

Torブラウザを使ってしかダークウェブは開けません。ダークウェブのリンクを開き、受け取り先のNEMアドレスを記載し、Generator Walletを押すと、指定されたアドレスにビットコインかアルトコインを送れとの指示が表示されます。

ここで生成されたアドレスに、ビットコインやアルトコインを送るとハッキングされたNEMが送られて来る仕組みです。これはNEMハッキング犯が、ダークウェブ上に作成した簡易的な仮想通貨取引所だと言えばわかりやすいかと思います。

NEMハッカーは10%ほど安くNEMを売っている

具体的なレートですが、NEMハッカーのレートとコインチェックのレート画面を同時に開いて検証してみます。時刻は20時になろうとしています。

ダークウェブでのネム価格とコインエクスチェンジのネム価格の画面

NEMハッカーの取引所では1BTCを支払うと、18768.62356424XEMを購入することができます。そしてこのNEMをすぐさまコインチェック取引所に送った場合の売値が1.112BTCになります。つまり1BTCで10%のアービトラージができてしまう状況が作られているのです。

無論、現在はコインチェック取引所にNEMを送信して他の仮想通貨にすることはできませんが、世界を見渡せばNEMを送って他の仮想通貨に交換できる取引所が多く存在します。そしてその取引所に送ったNEMを匿名性の高い仮想通貨にエクスチェンジすることでハッキングしたNEMの洗浄が完了してしまうのです。

NEMにはスマートフォンのウォレットアプリもあり、熱りが冷めるまで保管もできてしまいます。

ネムハッキング犯人の意図として

安くNEMを買って転売すれば多額の利益が生まれることから、安易に手を出してしまう人もいるかと思います。NEMハッカーの狙いはそこにあります。

資金洗浄をするに当たり、このように餌を撒くことで、一般人を巻き込み、捜査対象を広げて撹乱しようとする意図があるのは言うまでもありません。

1BTCで、0.1BTCも儲かるのであれば、10BTCで現在のレートだと100万円近い利益が生まれてしまうことになります。それを10回でも行えば、1日で1000万円ほどのビットコインが手に入ってしまう状況です。

良識のある大人であれば、ハッキングされたNEM欲しさにダークウェブで安くNEMを買い取って他の取引所で売ろうとは考えませんが、拝金主義の人間だと構わずに金の亡者になってしまうかもしれません。

冒頭で申し上げた仮想通貨を単なる金儲けの投資としてしか理解されていない方は、喉から手が出るほど欲しくなるかもしれませんが、我慢して堪えてください。

これらの行為を大丈夫だろうと思って平気で行ってしまうと、我が日本国の法律だと盗品等関与罪、あるいは共犯関係を疑われかねません。絶対に手を出してはいけません。

盗品等関与罪(とうひんとうかんよざい)とは?

刑法第39章「盗品等に関する罪」に規定されている犯罪の総称をいう。盗品罪(とうひんざい)とも呼ばれる。盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物(以下「盗品等」と呼ぶ)の譲受け、運搬、保管、有償処分のあっせん行為が処罰の対象となる(盗品であることを知りつつ買い取った場合や、盗品の売買契約をあっせんした場合など)。(出典:ウィキペディア

具体的には刑法第256条に抵触する可能性が高いです。

刑法第256条

  1. 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
  2. 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。

第1項が盗品等無償譲受罪、第2項が盗品等運搬罪盗品等保管罪盗品等有償譲受罪盗品等有償処分あっせん罪について定めています。

現時点では、ハッキングされたNEMを交換をしたとして日本人男性が警視庁から聴取を受けている状態です。愚蒙としか言う他なく、仮想通貨を扱う世界から見ると日本の恥でしかありません。

仮想通貨「NEM」交換の日本人男性を聴取
仮想通貨交換会社「コインチェック」から580億円相当の仮想通貨「NEM」が流出した事件で、日本人の男性が、流出したNEMの一部を他の仮想通貨と交換していたことが分かりました。

この事件は先月26日、「コインチェック」から仮想通貨「NEM」580億円相当が流出したものです。これまでに、5億円相当のNEMが匿名性の高いインターネット空間「ダークウェブ」のサイトを介して、他の仮想通貨に交換された疑いがあることが分かっていますが、警視庁へのその後の取材で、このうちの一部を日本人の男性が交換していたことが分かりました 。

男性が交換したのはごく少額のNEMだということですが、警視庁はこの男性からすでに事情を聴いているということです。警視庁は他にも交換に応じた人物がいるとみて、流出したNEMの動きを注視していく方針です。(TBSNEWS

ダークウェブとはそもそもどういったものか?

インターネットの空間は氷山に例えられます。水面の上に出ている氷山の一角が、グーグルやヤフーなどの検索エンジンで表示されるニュースサイトやブログなどのページです。「サーフェイスウェブ(Surface Web)」と呼ばれます。

それ以外の水面下にあるものは「ディープウェブ(Deep Web)」。SNSで非公開にしていたり、ログインが必要だったりするページなど、検索で引っかからない領域です。

サーフェイスウェブはネット全体の1%にも満たないという海外の報告もあり、ネット空間の大部分は簡単にはたどりつけないディープウェブです。その中でも匿名化ソフトを使わないとアクセスできない空間が「ダークウェブ(Dark Web)」になります。

ダークウェブのイメージ=スプラウト提供

ダークウェブのイメージ=スプラウト提供

「ダークウェブ」の特徴は、非常に高い匿名性と秘匿性です。代表的な匿名化ソフトの「Tor(トーア)」は、複数の外国のサーバーを経由することで、発信元を特定されにくくしています。Torは1990年代にアメリカ海軍の研究機関が開発したもので、その後はオープンソースのプロジェクトとして、通信のプライバシーを守るために進化してきました。シリアのような独裁政権下にいる活動家たちが検閲を逃れて情報をやり取りする手段にもなっています。Torは、タマネギの皮のように暗号を幾重にもかけるという意味を持つ「The onion router」の略称です。ページにもタマネギのイラストがあります。(出典:withnews

ダークウェブで違法品売買決済に使われていたビットコイン

ダークウェブでは拳銃や、違法薬物、クレジットカード情報などが売られています。それらの決済に使われていたのがビットコインです。もともとビットコインなどの仮想通貨は匿名性が高いことから、ダークウェブで決済に使われていた過去があるのです。元の鞘に戻ると言うべきか、出身地にビットコインが帰ったようです。

多種類の違法薬物が出品されている闇サイト。決済はビットコインで行われている

多種類の違法薬物が出品されている闇サイト。決済はビットコインで行われている。(画像引用:withnews)

ハッキングされたNEMを洗浄するには?

ハッキングされたNEMの洗浄手順の考察として、本人確認がされなくても2BTCまでの仮想通貨を動かすことができるバイナンス取引所などが標的にさてしまう可能性があります。先般、バイナンスはサーバーの長期メンテナンスがありました。

あくまでこれは仮説ですが、犯人はまずダークウェブでNEMを一般ユーザーに買い取ってもらいビットコインを手にします。そのビットコインをバイナンスなどに送信。バイナンスで匿名性の高いダッシュやモネロに交換し、それをまた違う取引所に送信してフィアット通貨へと換金している可能性があるのです。

また、ハッキングされたNEMを買った側の一般人も、海外の取引所でNEMを匿名性の高い通貨に交換し、他の取引所に移すことを繰り返せば、Torのように複数のサーバーを経由しているような構図ができあがります。捜査は難航することでしょう。

特に匿名性が高い仮想通貨はZcashです。

ZCASHの特徴
ZCASHの特徴は、ゼロ知識証明を用いてブロックチェーン内の 通貨の取引を暗号化する「高い匿名性」 です。

匿名性のメリットは、 資産のやり取りを第3者に明かすことなく行える こと。

ZCASHは、ゼロ知識証明を使った初めての 本格的な仮想通貨 として期待されています。

ZCASHとビットコインの違い
誰が誰にいくら送ったかを 第三者に明かさなくても 、送金トランザクションの 正当性が証明できる ことがZCASHとビットコインとの大きな違いです。正当性を証明するために、ゼロ知識証明が採用されています。

ビットコインで採用されているブロックチェーンは、 高い匿名性と信頼性を実現したシステム です。

しかし、ビットコインは仮名性で取引を追跡できることから、完全な匿名性とは言えません。

ZCASHは、 取引を追跡できない完全な匿名性を実現 した仮想通貨です。

ブロックチェーンに加え、各取引の 仮想通貨の量、送信者、受信者を非公開 にした状態で送金処理が可能になりました。

ブロックチェーンシステムを利用する仮想通貨の取引では、仮想通貨の所有という事実を証明する秘密鍵情報を使用し取引が行われます。

ZCASHはゼロ知識証明を採用し、取引する仮想通貨の量を非公開の状態で決済を可能にし、 取引の追跡を不可能にする仕組み です。(引用:コインチェック

編集後記

今回のハッキングの件については、我が国の法律でも問題となる部分が多くあります。盗品であることを知りつつ買い取った場合や、盗品の売買契約をあっせんした場合は罪に問えますが、そうではなかった場合についてです。このダークウェブで売られているNEMを、ハッキングされたものだと知らずに買ってしまった場合は罪に問えるのかどうかです。

さらに、このハッキング事件を窃盗罪とするならば、当該罪状には公訴時効があります。公訴時効とは、検察官の公訴する権限を消滅させる時効のことです。公訴時効が成立すれば、検察官は事件を起訴することができなくなります。窃盗罪の公訴時効は7年です。公訴時効は犯罪行為が終わった時から進行します。窃盗罪が終わった時から7年が経過した後は、検察官は窃盗事件を起訴することができないということになります。

窃盗罪の時効には刑事の時効と民事の時効に分けることができます

例えば、宝石店から10カラットのダイヤの指輪が盗まれたとします。盗んだ泥棒は和田と言う名前でした。和田はダイヤの指輪をしてパーティーに行き、あちこちで私のものだと言いふらして豪遊をしていました。和田はダイヤの指輪を時効取得することはできるでしょうか?

  1. ダイヤの指輪を10年占有すれば、時効取得できる。
  2. ダイヤの指輪を20年占有すれば、時効取得できる。
  3. 和田は、ダイヤの指輪を時効取得することできない。

正解は2です。民法162条では所有権の取得時効を規定しています。

では、盗んだダイヤの指輪を時効取得するかどうか和田が迷っていたところ、金回りが悪くなって取得時効が成立する20年を待てなくなり転売したとします。

和田はダイヤの指輪を所有者から盗んだ後、貴金属を扱っているダークウェブと言う業者に1年足らずで売り払いました。そして盗品であることを知らずに、ダイヤの指輪をその業者から大塚と言う人が購入しました。ところが、盗まれたダイヤの指輪を探していた本当の所有者が、大塚がダイヤの指輪をつけているのを見つけて、「自分の指輪だから、返してくれ」と言いいました。

大塚はダイヤの指輪を返さなくてはならないのでしょうか?

  1. 大塚はダイヤの指輪を返す必要はない
  2. 大塚はダイヤの指輪を返さないといけないが、支払った代金を請求できる
  3. 大塚はダイヤの指輪を返さないといけないし、指輪の代金も請求できない

正解は2です。まず、泥棒和田は指輪の所有者ではないので、指輪を売り払う権限はありません。したがって、本当なら、大塚は指輪の所有権を取得していないはずです。しかし、民法は取引の安全をはかるため、192条で目的物が盗品であるとは知らずに購入して占有している人は、その物の所有権を取得すると規定しているのです。

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