平昌冬季五輪のスケートリンクを裏方として支えている日本の職人がいる。リンクの運営・管理を手掛ける「パティネレジャー」(東京)の整氷作業員5人は1日に現地入り。各国の作業員とフィギュアスケートやアイスホッケーの会場整備に携わる。「五輪は人生の大舞台」。1998年長野五輪など日本の大会を支えてきた技術で選手の活躍をサポートする。
フィギュア会場を担当する今村健太さん(34)にとって、海外の技術者と共同で作業するのは初めて。氷の状態や散水量などを海外の作業員と話し合うのは一苦労だが「ジェスチャーや翻訳アプリを使いながら協力している」と話す。
作業員は整氷車に乗り、スケートの刃で傷がついたリンクの表面を薄く削る。その上から50度ほどの温水をまくことで、表面を滑らかにするのが任務だ。
韓国はスケート競技の大規模な大会の開催実績が少ない。韓国内だけでは整氷作業員をまかなえず、72年札幌五輪や98年長野五輪をはじめとする日本の大会でリンクを整備してきた同社が、大会組織委員会から協力を要請された。
整備前に選手がどれだけ滑ったかで、氷の状態は変わってくる。さらに、五輪のような大きな大会では大勢の観客が入るため室温が上がり、氷が解けやすくなる。
氷の硬さや表面の温度が異なると滑りに影響が出てしまう。どの選手も同じ状態で快適に滑ってもらうため、室温や氷の温度をこまめに測り、作業員同士で相談しながら散水の量を決める。
同社にとって海外開催の五輪を担当するのは初めて。代表取締役の佐藤洋二さん(61)は「五輪は選手が人生をかける大舞台。労を惜しまずに最後まで支えたい」と力を込める。