全国11都道府県12劇場で一般試写を行い、いよいよ2018年2月24日(土)より公開となる劇場アニメ『さよならの朝に約束の花をかざろう』(『さよ朝』)の完成披露イベントが2月13日(火)に新宿バルト9で実施されました。『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(『あの花』)『心が叫びたがってるんだ。』(『ここさけ』)で脚本を務めた岡田麿里さんの初監督作品である本作。今回のイベントには岡田さんに加え、制作スタジオ“P.A.WORKS”代表の堀川憲司さん。そして、本作で初めて主役を演じる石見舞菜香さん(マキア役)が登壇し、作品へ賭ける意気込みを語りました。
岡田さん自ら願い出た監督という大役
MCはニッポン放送アナウンサーの吉田尚記さんが担当。その紹介で3名が登場すると、まずは本作の制作の経緯を堀川さんと岡田さんに伺っていくことに。企画の始動から5年、制作に3年を費やしたという本作ですが、堀川さんによる「いつか岡田麿里の100%をさらけ出した作品を見てみたい」という言葉から始まったそう。
その言葉を受けた岡田さんは、堀川さんに勢い勇んで監督をやらせてほしいと頼み込んだのだとか。その際の岡田さんを振り返った堀川さんは、端から見ても緊張していることがわかるような様子で「監督をやらせてください」と言われたことを明かしました。
そんな覚悟を受けて監督となった岡田さんは、今回の作品をファンタジーにした理由を、過去に自分が見てワクワクした作品がファンタジーであったこと。そして、普段よりも型にはまらない地続きの感情を描きたかったと話します。
堀川さんはどんな作品が来ても歓迎するつもりだったそうですが、ここで吉田さんから挟まれたのが『花咲くいろは』が元々温泉旅館の物語ではなかったという衝撃の事実。堀川さんは作品を作るにあたってはテーマしか提示をしないそうで、世界観やどういうキャラクターが活躍するのかのアイディア出しは別なのだそう。
『さよ朝』の世界では10代で外見の成長が止まる長命な種族が登場しますが、これは『凪のあすから』や『あの花』のように「みんなの時間の進み方が違うことで起こる感情の物語」を意図していたこと。そして岡田さんはオリジナル作品かつ監督作でもあるので、自分の好きなところを掘り下げたことを明かしました。
石見さんの声を聴いて“みつけた”と記す
そんな本作で映画初主演となる石見さんにオーディションのことを聞いていくと、キャラクターの絵がわからないままに設定とセリフだけで演じなければならなかったことを話しました。当時はオーディション自体に慣れていなかったそうですが、一生懸命に向き合ったことが結果に繋がったのだとか。
石見さんがマキアとなる決め手を岡田さんは、オーディション用の資料に「みつけた」と書き記していたほどだったそう。それを聞いた石見さんは、泣きそうになりながらも本作のオーディション当日の日記を振り返っていました。
読み合わせでの話題のなかで、堀川さんは本読みの際に映像を観ずにキャストに読んでもらったものを録音していたことを語ります。これは後々参考にして絵を描くためのものだったそう。
また、岡田さんによると脚本制作にあたってのシナリオ打ち合わせで最初から肯定されるような状況だったとのこと。それで逆に不安になったそうで、何度も書き直すことになったようです。
声にキャラクターの表情を近づけるための作業があったことや、完成した作品の感想を伺っていくと、最後の追い上げ期間でさらなるクオリティアップがあったことがわかりました。
そんな本作の公開まで残りわずか! 『true tears』『花咲くいろは』『凪のあすから』に続くP.A.WORKSと岡田麿里さんによる劇場アニメ『さよならの朝に約束の花をかざろう』。2月24日はぜひとも劇場へ訪れて、この物語の世界に浸ってみてはいかがでしょうか?
[取材・文・撮影/胃の上心臓]
『さよならの朝に約束の花をかざろう』作品情報
2018年2月24日(土)ロードショー
【ストーリー】
縦糸は流れ行く月日。横糸は人のなりわい。
人里離れた土地に住み、ヒビオルと呼ばれる布に日々の出来事を織り込みながら静かに暮らすイオルフの民。10代半ばで外見の成長が止まり数百年の寿命を持つ彼らは、“別れの一族”と呼ばれ、生ける伝説とされていた。
両親のいないイオルフの少女マキアは、仲間に囲まれた穏やかな日々を過ごしながらも、どこかで“ひとりぼっち”を感じていた。そんな彼らの日々は、一瞬で崩れ去る。
イオルフの長寿の血を求め、レナトと呼ばれる古の獣に跨りメザーテ軍が攻め込んできたのだ。絶望と混乱の中、イオルフ一番の美女レイリアはメザーテに連れさられ、マキアが密かに想いを寄せる少年クリムは行方不明に。
マキアはなんとか逃げ出したが、仲間も帰る場所も失ってしまう…。虚ろな心で暗い森をさまようマキア。そこで呼び寄せられるように出会ったのは、親を亡くしたばかりの“ひとりぼっち”の赤ん坊だった。
少年へ成長していくエリアル。時が経っても少女のままのマキア。同じ季節に、異なる時の流れ。変化する時代の中で、色合いを変えていく二人の絆―。ひとりぼっちがひとりぼっちと出会い紡ぎ出される、かけがえのない時間の物語。
【スタッフ】
監督・脚本:岡田麿里
副監督:篠原俊哉
キャラクター原案:吉田明彦
キャラクターデザイン・総作画監督:石井百合子
メインアニメーター:井上俊之
コア・ディレクター:平松禎史
美術監督:東地和生
美術設定・コンセプトデザイン:岡田有章
音楽:川井憲次
音響監督:若林和弘
アニメーション制作:P.A.WORKS
製作:バンダイビジュアル/博報堂 DY ミュージック&ピクチャーズ/ランティス/P.A.WORKS/Cygames
配給:ショウゲート
主題歌:rionos「ウィアートル」(ランティス)作詞:riya 作曲・編曲:rionos
【キャスト】
マキア:石見舞菜香
エリアル:入野自由
レイリア:茅野愛衣
クリム:梶裕貴
ラシーヌ:沢城みゆき
ラング:細谷佳正
ミド:佐藤利奈
ディタ:日笠陽子
メドメル:久野美咲
イゾル:杉田智和
バロウ:平田広明
『さよならの朝に約束の花をかざろう』公式ホームページ
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