上田文人氏に聞く,今なお「ワンダと巨像」が世界中で支持されている理由。そして音楽への思い
当日は,大谷 幸氏が手がけた「ワンダと巨像」を彩る名曲の数々を,東京交響楽団(オーケストラ),東響コーラス(コーラス),末永 匡氏(ピアノ)による生演奏でお届けする予定だ。
この公演に向け,PlayStation 2で発売されたオリジナル版「ワンダと巨像」でディレクター,ゲームデザイナー,アートディレクターを務めた上田文人氏へのインタビューを行った。全文は会場で販売予定のパンフレットに掲載予定だが,ここではその一部をお届けしよう。
「ワンダと巨像」公式サイト
「ワンダと巨像」ピアノ&オーケストラコンサート特設ページ
チーム一同が高い志を持って制作していた
「ワンダと巨像」という作品
4Gamer:
「ワンダと巨像」はオリジナルとなるPlayStation 2版のリリースから,12年以上の月日が経ちました。今なお,この作品が世界中の多くのファンから愛されているのはなぜだと考えていますか?
上田氏:
思い返せば,当時の「ワンダと巨像」への注目度はそれほど高くなく,その証拠に同時期に発表や発売されたSCEタイトルの中では,CM数であったりメディアでの扱いであったりは,比較的少なかったと記憶しています。リリースされた2005年だけ見ても「ワンダと巨像」以上に脚光を浴び,「ワンダと巨像」以上に売れたタイトルは多数ありました。
そんな中にあっても,今なお愛されているというのは,チーム一同が,一時的な脚光や販売本数に惑わされず,永く愛されるプロダクトにするべく高い志を持って制作していたからだと思うのです。
そのため,少しオーバースペックであったり,当時のはやりの表現でなかったとしても,できるだけ古くならない表現を選択するように常に意識してきたのは事実です。
ですが,13年近く経った今なおプレイヤー達が忘れずにいてくれていることに対しては,感謝の言葉しかありません。
すべてのプロダクトは,生まれがらに消費に耐えうる総量が決まっていて,それが多ければ多いほど高品質な商品と言えると思うのですが,遅かれ早かれそれが尽きれば,当然,飽きられ,忘れ去られてしまう運命にあります。
また,そうでなくとも消費し切られずに忘れ去られるプロダクトも多々あると思います。
「ワンダと巨像」は,大ヒットとは言えなかったものの,きちんと評価され,またゆっくりと消費されていったことから今があるのだと思います。
4Gamer:
今回,「ワンダと巨像」のコンサートを開催させていただくのですが,このことを知ったときのお気持ちを教えてください。
上田氏:
なぜ今? というのが率直な感想でした。
しかし,一時的な脚光ではなく,永く愛されるタイトルや商品になることを願い制作した作品だけに,時間が経過してからもこのようなイベントを開催していただけることを嬉しく思います。
4Gamer:
「ワンダと巨像」の音楽の中で,思い入れの深い曲があれば,教えてください。
上田氏:
やはり,16体目である最後の巨像を倒してから始まるエンディングカットシーンで流れる一連の曲ですね。
当初,エンディング用の楽曲としては「エピローグ~残されし者たち~」だけが決まっていました。楽曲オーダーが見切り発車だったため,使用箇所の確定しない曲群があふれている状況でした。
そのあふれている曲をヘッドフォンで聴き込んで,楽曲のフレーズ単位で合いそうな映像を思い浮かべ,その情景をメモし,それを元に再構築したのがあのエンディングの一連の楽曲展開です。
楽曲の展開数と使用曲数がエンディングだけ多いのはそのせいで,1人,会社に残って1~2日間でエンディングを含めた「ワンダと巨像」のカットシーンすべての音楽当てを徹夜で行い,翌朝出社したチームスタッフに見てもらって意見を聞いたのは鮮明に憶えています。
実はエンディングの最後に流れる「陽のあたる大地」は当初,ゲーム中には使用しない予定の曲でした。それどころかサントラに入らない可能すらあったと思います。
あの鳥たちの飛び立つシーンでどうしてもあの曲を使ってみたいという思いから急きょ当て込んだもので,それだけに一番思い深い曲です。
4Gamer:
コンサートの来場者に向けてひと言お願いします。
上田氏:
2005年,大量にリリースされたゲームの中の1本でしかない「ワンダと巨像」ですが,発売されてから10年以上経つにもかかわらず,このようなコンサートイベントを開催していただけるというのは,「ワンダと巨像」というゲーム体験を多くのプレイヤー達が記憶の中に留めておいてくれたからだと思います。心から感謝しています。
楽曲制作に関しても,当時のいわゆるゲームミュージックのセオリーからはいろいろ逸脱していたこともあって,多くの関係者がたいへんな苦労をされたと思います。当時このプロジェクトに関わっていただいた皆様が,少しでも報われることを願っています。
“音楽”という表現力にゲームデザイナーとしては嫉妬と尊敬を感じつつ,これからも音楽の力を借りながら物語っていければと思っています。
4Gamer:
ありがとうございました。
Music 4Gamer #2
「ワンダと巨像」
ピアノ&オーケストラコンサート
【日時】
2018年3月9日(金)18:00開場/19:00開演
※18:30頃より開演前トークコーナーを予定(出演:野島健児氏,大谷 幸氏)
※未就学児童入場不可
【会場】
Bunkamura オーチャードホール
〒150-8507 東京都渋谷区道玄坂2-24-1
【指揮】
柴田真郁
【演奏】
東京交響楽団(オーケストラ),東響コーラス(コーラス),末永 匡(ピアノ)
【チケット料金】
SS席(1階席前方ブロック):9000円(税込)
S席(1階席後方ブロック):8000円(税込)
A席(2階席):7000円(税込)
B席(3階席):6000円(税込)
【一般発売】
2017年12月9日(土)10:00~
東京音協オンライン http://t-onkyo.co.jp/
チケットぴあ http://w.pia.jp/t/wander/
0570-02-9999
Pコード:100-793
※セブンイレブン,ファミリーマート,チケットぴあ店舗
ローソンチケット http://l-tike.com/wander/
0570-084-407(10:00~20:00)
0570-084-003
Lコード:35075
※ローソン,ミニストップ店内端末「Loppi」
イープラス http://eplus.jp/wander/
※ファミリーマート店内端末「Famiポート」
楽天チケット http://r-t.jp/wander/
Bunkamuraチケットセンター 03-3477-9999(10:00~17:30)
オンラインチケットMY Bunkamura http://my.bunkamura.co.jp/
※座席選択可能
Bunkamuraチケットカウンター
※Bunkamura 1F(10:00~19:00) ※12月10日以降
東急シアターオーブチケットカウンター
※渋谷ヒカリエ2F(11:00~19:00) ※12月10日以降
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