一昨年に出した単行本があまり売れなかったことを反省して、小学生に戻ったくらいのつもりで改めて漫画の描き方を勉強しようと思って色々と本を読むことにした。
確かにセンスや才能のある人は描けば描くほど上達するのかもしれないけれど、私はセンスも才能もないけれど描くことが好きなだけなので、面白いってなんだろう?どうやったら読者の方が楽しんでくれるんだろう?共感?って結局どういうこと?自分が描いたものに共感してもらうにはどうすれば?と考えたけど考えるだけじゃわからないから本を色々読むことにした。
行き詰まったら筆を置いて本を読む。
本を読んでみて思ったことは、漫画の描き方というか、面白いと思ってもらえるストーリーの作り方を知らないということは、料理をするのに包丁で野菜や肉を切ることができてもその後のレシピや手順を知らないようなものだということでした。
包丁で野菜や肉を切ったものをなんとなくごちゃっと皿に盛って「はいどうぞ!」と出しても、よっぽど新鮮で色鮮やかでもない限り誰も美味しそうだとは思ってくれない。
漫画もペンでコマを割ってなんとなく描いただけのものをwebにアップして「はいどうぞ!」と出しても、よっぽど絵が美しくない限り誰も面白そうだとは思ってくれない。
料理はレシピ本に書いてある通りに作れば誰でもおいしくつくれる。
じゃあもしかして漫画もそうなんじゃなかろうか…と思って様々な漫画やストーリー制作の指南書を読むと、ヒット作の映画や小説、ドラマ、アニメ、漫画はなぜ面白いのか?がよくわかるようになってきました。
また、ストーリー・キャラ・世界観どれをとっても面白そうで絵もめちゃくちゃうまいのに、いまいちつまらないと感じてしまう作品と面白い作品との差は一体何なのかもわかるようになりました。
今話題のポプテピピックのアニメもこれらの本を読むと、なぜ意味不明そうに見えるのにこれだけ話題になり面白いと思われているのかがよくわかります。一言で言えば「次に何が起きるのか?」という期待感があるのかなって。次に何が起きるのかもうぜんぜんわからないから、次回がまた見たくなってしまう。どんな声優が登場するのか期待してしまう。ボブネミミッミが何をやらかしてくれるのか楽しみでたまらなくなる。そういう期待感の強さがポプテピピックが人気になった要因なのかなと思いました。
ただわかったことを自分の作品に反映できるかどうかというと、そこは料理よりずーっと難しいと感じるのだけれど…
それでは、読んでいて参考になった本、わかりやすかった本、自分の知らなかったことを知れた本をまとめます。
面白いマンガを描きたくて読んだ指南書7冊
鳥山明のヘタッピマンガ研究所 あなたも 漫画家になれる!かもしれないの巻 (ジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者: 鳥山明,さくまあきら
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2016/04/01
- メディア: Kindle版
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小学生の頃からのバイブルであり原点。
子供向けに描かれているので、わかりやすい。つい最近まで私の漫画に関する知識はこの本のみでした。
荒木先生がジャンプに持ち込みして連載を獲得しヒット作を生み出すまで取り組んだ工夫が書かれています。
編集者が感激してページをめくらせるスタンド能力が身につく。かもしれない。
少年漫画志望者向けの指南書だと思います。
私にとって、「面白い漫画は何故面白いのか?」というものが言語化された瞬間でした。
自分にはまだ取り組める工夫がたくさんあると希望が持てた一冊。
漫画に限らず小説家を目指す人も必読の一冊だと思います。
大ヒットした漫画を思い浮かべながら読むと、ここに載っているテクニックのほとんどが当てはまることに気づきました。ヒット作の漫画家が意図してそうしているのかはわかりませんが、読者に楽しんでもらうためには妥協のない工夫が必要であることを痛感しました。
シュタインズゲートをはじめ志倉千代丸さんの作品が好きな方はこの本を読んでからアニメやゲームをするとわかりやすいかもしれません。
物語の命題 6つのテーマでつくるストーリー講座 (アスキー新書)
- 作者: 大塚英志
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2010/11/10
- メディア: 新書
- 購入: 7人 クリック: 59回
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鉄腕アトムのアトムをはじめ名作漫画のテーマを取り出し、それをもとにストーリーを作るワークがあるのでストーリー作りの練習が結構楽しいです。
ただ取り上げられている作品が少し古いので、若い方にはちょっとわかりにくいかもしれません。
ちなみにこれを読んで「君の名は。」が何故ヒットしたのかよくわかり、同じテーマの作品を作ってみたいという気持ちになりました。同じテーマで話題になった漫画だと「兎が二匹 1 (BUNCH COMICS)」という作品がおすすめです。
マンガ脳の鍛えかた 週刊少年ジャンプ40周年記念出版 (愛蔵版コミックス)
- 作者: 門倉紫麻
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/03/19
- メディア: 単行本
- 購入: 8人 クリック: 229回
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ジャンプ作家の方々が普段何を考えてどんな場所で漫画を描いているのか取材を受けた内容をまとめたもの。
一流漫画家の先生方の工夫とこだわりを知ることができます。
ゼロからわかるマンガの作り方 挫折せずに完成させるストーリー&キャラクター講座
- 作者: 田中裕久
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2017/04/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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2Pからはじめ32Pのマンガを完成する基礎がまとめられています。
アイデアは思いついてもなかなか思うようにネームがすすまない…という時は、この本がおすすめです。
本を読んで気づいたひとつのこと
これらの本を読んでようやく「共感」について腑に落ちました。
ストーリー制作における「共感」とは、物語の中で起きている出来事に対して主人公が感じている気持ちを読者の方に共感してもらうこと。主人公の親友がしんだら主人公と同様に読者も胸を痛め、主人公が勝利したら読者もともに喜び、時に涙を流すような体験をしてもらうこと。
ドラゴンボールで有名な「クリリンのことかー!!」というセリフも、悟空にとってクリリンが大事な存在だというのが読者に伝わっていたからみんなの心に残っているんじゃないだろうか。
これまでは共感とはキャラクターたちが演じる何かについて読者の方が「あるある」と思ってくれることだと思っていました…。
共感のないストーリーとは、主人公が泣くほど悲しんでいても、なぜ悲しんでいるのかが読者にまったく伝わっておらず読者は「なんでこいつこんなに泣いてるの?」と感じて白けてしまう。それがつまらないということ。
私の漫画にありがちなのは、漫画の中でキャラクター達が笑ったり泣いたり怒ったりしても、それがどうしてなのか全く読者の方に伝わっていないということでした。読者がキャラクターの気持ちがわからない。だからつまらない。読んでいて退屈になる。
アラフォーだけど、こんな風に本を読むことでまだまだ今の自分にもできることたくさん見つけられると希望を持ててモチベーションに繋がります。
マンガを描くことに行き詰まったら、上のおすすめの本を読んでもらえたらと思いました。
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