酒の席だったので話半分に捉えてはいたのだが、興味あるので調べておきますとお答えした手前もあり、また興味自体はあったので進めていたのだが、先日進捗状況の確認が来た。
そろそろまとめておかないとまずい気がしたので、どういった傾向が出ているのかをそれなりに分析してみたつもりだ。
第18期と第19期だけの比較だとデータとして心もとないので、第16期から第19期までの中央委員552人を対象に広げ、中央委員の年齢構成、成り上がり率を表にまとめた。性別、民族、学歴や大学なども扱いたかったが今回は取り上げない。
まとめてみて色々なことが分かった。例えば。
(1)中央委員の失脚による補選で、候補委員から繰り上げられて正委員となった者は、次期も正委員に選出されれば新任ではなく留任となる
これは、第19期の新任の数がどうやっても5人合わないので、もしやと思い、第18期に補選された面々を1人ずつ調べていくと数字が合ったことで気づいた。
(2)前期で中央委員に繰り上がったとしても、必ず中央委員になれるわけではない。
第18期七中全会では11人が繰り上げされたが、第19期でも中央委員を務めているのは4人。第18期全体では5/19。二週間後に党大会を控えた七中全会を開催するためだけの補選なのだろうか。
(3)エクセルは統計を取るのに向いていない。
使い手の頭が悪いだけなのかもしれないが、もうエクセルではやりたくない。
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江沢民は総書記就任してから、それまでトップを務めていた上海市から次々と部下を中央へ呼び寄せた。上海閥と呼ばれる人たちで、陳良宇の失脚で世継ぎは断絶し、現在はもう一線級には存在していない。
習近平は1985年から2007年まで、福建省、浙江省と沿岸部で経験を積んでいたのが、総書記就任前後から江沢民と同じように中央、地方の要職に当時の子飼いを送り込んでいる。之江新軍と呼ばれる人たちだ。
第19期はヒラからの正委員率が、第17期、第18期に比べて高いことがわかるが、胡錦濤政権の1期目となった第16期は割合で第19期を超えているので、数字上は特に異例とは言えない。一方で、蔡奇や丁薛祥らヒラ党員や候補委員からの政治局入りが5人と4期中トップとなっている。
年齢構成だが、一部の世代が飛び抜けて多いわけでも少ないわけでもない。張慶黎や吉炳轩といった1951年生まれの66歳が中央委員会に留まることも特に珍しいことではなく、2,3人ではあるが毎期存在している。
問題だと思うのは、最年少が二期続けて陸昊という点だ。
黒龍江省長として第18期を乗り切った1967年生まれの陸昊さんが、第19期も最年少となった。第18期は1958年以降の生まれが、陸昊さんを含めて8名だったのが、第19期は63名もいる。
形の上では新陳代謝をしているようにも見えるが、果たしてそうだろうか。仮に最年少の陸昊さんが総書記後継として常務委員に選出されるとして、第20回党大会の2022年には55歳、第21期から総書記に就任するのがさらに5年後の2027年で60歳。
ご存知の通り、陸昊は厚遇されているようには見えず、総書記に就任という大逆転の目はまずない。現在の中央委員から後継者を出すとすれば、最年少でも陸昊のさらに3つ上である1964年生まれになるから、総書記に就任するのは63歳だ。胡錦濤、習近平が59歳で総書記に就任したことを考えると遅いのではないか。
この仮説を元にすれば、現在の中央委員会に習近平の次の総書記はいないということになる。常務委員に新しく選出された5人はいずれも習近平と同年代で後継者にはなり得ない。政治局も老人だらけ。三選はあるかもと予測はしていたが、中央委員の状況を見ると四選もあるかもしれない。
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ラベル:二十大