流行りの「酢コショウ」以外にもおいしい餃子のタレがある
餃子といえば、酢醤油、そしてビール。
ただ最近は、
「塩コショウで食べると世界が変わる」
「味噌ダレで餃子を食べると日本酒に合う」
など、オリジナルのアレンジ餃子を追及している餃子マニアも少なくない。
とはいえ、未だ“究極のアレンジ餃子”にはたどり着けていないようだ。
しかしそんなマニアをしり目に、常識を覆すアレンジ餃子を出す餃子専門店が東京・三軒茶屋に現れた!
それが、「GYOZA SHACK」だ。
▲山小屋をイメージした店内は、餃子屋さんとは思えないイマドキな内装
「ビールと餃子」という定番を打ち砕くべく、ワインソムリエの資格を持つオーナーが“ワインと餃子のマリアージュ”をもとに考案したそうで、一見すると餃子とは思えないようなオリジナルメニューがずらりと並ぶ。
▲餃子にはニラやニンニク、化学調味料は一切使用していない
ワインはもちろん、餃子の具材もすべてオーガニックで、全粒粉の入った特注の厚皮に、独自ルートで仕入れた特殊な豚肉やラム肉を用いたあんをたっぷりと包み込んだビッグサイズ。
しかも、当日仕込みのものだけが提供されるというこだわりようだ。
定番は約10種、シーズンごとに入れ替わる期間限定メニューも2種ほどあり、そのすべてに専用のオイル(タレのこと)が添えられている。
もちろんオイルだって手づくり。
餃子のうま味を引き立てる最高の組み合わせを考えて調合されたオリジナルだ。
ちまたでうわさされる「アレンジ餃子」。どうすればもっとウマくなるのか
これだけこだわり抜いたアレンジ餃子を作り上げるんだから、きっと誰もが驚く秘策をたくさん持っているに違いない!
そこで店長の大塚さんに、餃子マニアを中心にちまたで話題となっている餃子の食べ方へのアドバイスをお願いしてみた。
▲店長の大塚さん
── 餃子マニアのあいだでアレンジが流行っているんですけど、まだ“究極のアレンジ”には到達できていないようなんです。話題のアレンジ法を完成させる押しの一手を教えてもらえませんか?
わかりました。やってみましょう!
ちまたアレンジ① 「塩コショウのみで食べる」と世界が変わる
塩コショウもおいしいですが、僕たちは普段「酢コショウ」で食べてますよ! 料理人には当たり前の組み合わせで、餃子本来の味が伝わりやすいんです。
ちまたアレンジ② あんにラードを混ぜる
脂はうま味なので、100%やったほうがいいですね! つなぎの効果もあるので、あんがまとまりやすいというメリットもあります。ただ、入れすぎるとギトギトになるので分量には気をつけてください……。
ちまたアレンジ③ 味噌ダレと餃子を食べると日本酒に合う?
味噌を穀物酢で伸ばしたタレにすれば香りがよくなり、さらにマッチすると思います。ただ、タレとしてつけるより、あんに練り込んだほうが味噌の風味がまろやかになって、より日本酒に合いますよ。
── どんな味噌が日本酒に合いますか?
ほのかな甘みのある「西京味噌」ですね。あんに対して5分の1くらいの割合で混ぜ込むと、ほどよい味噌感が楽しめます。
ちまたアレンジ④ ごま油で焼くと風味がよくなる?
これはNG! ごま油は香りが強いので、餃子のうま味も風味も消されてしまいます。ごまの香りを求めるなら、あんに「煎りごま」を練り込んだほうが、香ばしさが出ておいしくなります。
──「タレにごま油を入れる」というのもあるのですが、そちらはどうでしょうか?
そのくらいならアリだと思います。でも、ごま油を使うとどれも同じ味になってしまうので、あまりおすすめはしません。それなら「韓国のり」をちぎってあんに混ぜたほうが、ほのかな香りを楽しめるし、ほかの具材の味もいきますよ。
餃子をアレンジするポイントは?
う~ん、さすがプロ!
こうなるともっといろいろ聞きたくなる。せっかくだから、アレンジする際のポイントも聞いてみちゃおう。
── タレでアレンジを楽しむとき、マストの調味料はありますか?
アレンジは自由に楽しんでいいと思うんですけど、「山椒」をベースにするとアレンジの幅が広げやすいと思います。山
── アレンジを思いつきやすい餃子の食べ方とかはありますか?
餃子を2分割して、半分はそのまま、もう半分はタレをつけて食べる。そうすると、餃子本来の味も、タレとの相性もわかります。1つの餃子で2つのおいしさを楽しめるのもポイントですね(笑)。
── なるほど! 「何もつけずに食べる」という発想はありませんでした。
餃子はもともと味がついているので、本来はそのまま食べてもおいしいんですよ。タレはアクセントで、餃子を楽しむスタイルのひとつだと考えれば、あんもタレもアレンジが楽しくなると思います!
「GYOZA SHACK」直伝! 自宅でパリパリ餃子を作る手順
大塚さんのアドバイスのおかげで、アレンジのひらめきが湧いてきそう!?
ただ、筆者にはひとつ気になることが……。
そう、どんなに完璧なアレンジ餃子ができたとしても、焼きで失敗したら元も子もないのである。
ついでだから、「焼き」のポイントも聞いてみることに。
── 家だとパリパリにできないのですが、焼き方のコツとかあるのでしょうか?
家庭用は火力が弱いから、ある程度は仕方がないですよね。でも、それなりにおいしく焼く方法はあります。
① 油は多めに引く
餃子の接地面にも油を塗ると、よりカリカリになる。
② 焼く前にゆでる
餃子をゆでて余計な脂を出すことで、表面はパリパリ、中は肉汁たっぷりでよりジューシーになる。
皮が透きとおるくらいまでしっかりゆでるのがポイント。
③ 強火で焼き色を付ける
焼くときは強火で、焼き色を付ける感じに。
包み方を工夫して2面焼きにすると、両面カリカリが楽しめる。
こうして焼かれた「GYOZA SHACK」のオリジナル餃子が、これだ!!!
▲「SHACK餃子」(421円)
表面はパリッパリなのに皮はもっちりで、ひと口食べると肉汁がじゅわっとあふれてくる。
ぎっしり詰まった粗びきの豚肉もジューシーで、食べ応えたっぷりだ。
特製ソースに自家製のチリオイルなどをブレンドしたオイルは、まろやかな風味が餃子本来のうま味を引き立ててくれる。
▲ニンニクの風味が恋しいときは、テーブル据え置きのニンニクオイルをどうぞ
餃子×ワインのマリアージュに可能性はあるのか
最後は、とっても気になる「ワインとの相性」について。
── ワインに合うアレンジのポイントなどはあるのでしょうか?
ワインの特徴や、食材との相性を大切にすることです。
── ワインには赤、白、ロゼなどありますが、餃子と相性がいいのはどれですか?
ロゼですね。肉のオイリー感を流して後口をスッキリさせる白ワインの効果と、具材と絡まってうま味を引き出す赤ワインの特徴、両方のいいところ取りができるんです。
▲「イェマヌエヴァ ロゼ」(グラス 734円、ボトル 3,888円)
同店のおすすめは、「イェマヌエヴァ ロゼ」というオーガニックワイン。
スッキリとした辛口ながら果実感もあり、どんなアレンジ餃子でもマリアージュを楽しめそうな香り。
── 大塚さん、せっかくだから、ワインとのマリア―ジュがより引立つメニューも教えて下さい!
▲「スパイシーラム餃子~ハニーマスタードソース~」(626円)
スパイス香るラム肉がクセになる「スパイシーラム餃子」。
ラム独特の臭みもなく、しっかりとした味付けは、確かにワインに合う!
オイルは、2種類のマスタードとはちみつを合わせた「ハニーマスタード」です。主張しすぎない辛味がラムの風味を引き立て、ワインとの相性もより高めてくれます。
餃子にワイン、餃子にマスタードなど、驚きのメニューが続々飛び出す「GYOZA SHACK」。
つまるところ、あんにこだわるもよし、タレを追求するもよし、お酒をメインにマリアージュを意識するのだって当然よし! というわけで、餃子のアレンジは無限大ということだ。
餃子の秘めたる可能性を引き出すオリジナル餃子は、きっとアレンジの参考になるはず。
餃子マニアたちよ、ぜひその口で味わってみておくれ。
お店情報
GYOZA SHACK
住所:東京都世田谷区三軒茶屋2-13-10
電話番号:03-6805-4665
営業時間:月曜日~土曜日 17:00~26:00、日曜日・祝日 17:00~24:00
定休日:月1回不定休
※ 一部写真素材:123RF