信頼できて行動力を持った仲間

行動力を持っていて、僕に取って信頼できる人であるところのおやかた@技術書典4(当選) (@oyakata2438)さんがこんな発言をしていた。

最近、口に出したことがいろいろ実現したり、具体化に向け相談中、なんてことが続いている。
信頼できる人たちには、やりたいこと、あったらいいな、をとりあえず伝えておくと、絶対損しないw飲み会とかでもいいのでw
— おやかた@技術書典4(当選) (@oyakata2438) February 13, 2018

これ、ちょっと条件があって、人として信頼できる人達でも行動力の無い人たちなら実現しないし、行動力があっても人として信頼できない人たちだったら困った事になりがち。僕はそういう意味では、技術書典をきっかけに、親方さんを含めた信頼できて行動力がある人達と去年出会えたのがとても大きい。

年末に書いた通り、一昨年から去年にかけてかなり重度の人間不信に陥る事態に遭遇していたのだけど、技術書典、もくもく執筆会、著者仲間をきっかけに大分「人間としての尊厳」が回復したのだ。

思いつきを語って実現する時としない時

良いアイデアがあってモチベーションもあるのに何故か実現しない、というのは往々にしてある。僕の狭い経験ではあるが、いくつかの失敗事例と成功事例を比較してみたい。

失敗例: 大型コミュニティに相談をした事例

大型コミュニティ、不特定多数の集まる雑談系のSlackや(社員数の多い)会社のSlack、あるいはTwitterのような、思惑の異なる人達の集まりに相談をした場合は大体ポシャる。無責任な人の無意味なアドバイスや、善意で武装された無自覚な悪意にさらされることもあるし、方向性が定まらない事もあるし、「いいねー」だけで終わることもある。

技術者・ビジネス界隈の言葉に「相談をするな、やってから謝罪をしろ」という格言がある。相談をすると何かしら無責任な人達からつぶされるから、実際にやって、問題が生じた時に始めて対応しろというものだ。これは理由として簡単で「やってみないとわからないこと」が多いからだ。日本人はついつい事前にあれこれ想定したくなるのだけど、そのやり方だと新しい事にチャレンジができない。もちろん動き始めた後に出た問題や想定される問題に対してどう対処していくのかは別の話だ(コインチェックのようなパターンもあるだろうから)。

OSSなんかでも、よっぽど強い人達の合議制か、優しい独裁者による強いリーダーシップを持っている、作者自身がモチベーションが強い、などがなければ中々プロジェクトとしては存続しづらい。合議制は強い会社が集まって利害関係が衝突してるとかならともかく、多くの場合は決断に時間がかかる、責任を持てる人が出づらい、forkしやすいなどになりがちに見える(僕の観測範囲として)。

結局手を動かす人、お金を出す人が偉いのであって、無責任な言葉を投げつける人は無意味か、あるいは害になることがままある。もちろん有益なアドバイスもあるのだけど、大型コミュニティだと見極めのコストが高すぎるため、意味がなくなる。議論が目的なのではなく、問題を解決することが目的なのだ。

誰の言葉や行動を優先したらいいのかをはっきりさせないといけない。

失敗例: 小型のチームだけど、役割がはっきりしない事例

これもわりとありがちで、人数少なめで「○○やりたいねー」というときに、意識の共有、特に誰が何をするのか、問題が何であるか、マイルストーンなどがはっきりしてない時に、たびたび「誰がボール持ってるの?」になりがちだ。

僕が実際に遭遇した事例ではAさんが「こういうゲーム作りたいんだよね」と言ってたのだけど、僕や他のメンバーBから見たら「ふわっとしててアイデア段階だなー」という印象で、Cさんが「ブレストしようぜ」と言って、別のエンジニアDさんを含めて集まった。ところが僕たちが普通に想像するブレストではなく、ただのAさんのふわっとしたプレゼンが行われただけで終わった。まずBさんが「ブレストって言ってたのに??????」というところで不信感を持ってメンバーを抜けた。

僕はアイデアだけでマイルストーンも何も無く誰もボール握ってない状態だなーと思ったのでちょっとした実験コードを書いてみたりしていた。Dさんはいい感じにくみ取ってゲームを作っていた (が、僕が苦手な言語で書かれていて手を出せなかったので、DさんとAさんが主体でやればいいのかなーと思っていた)。そうこうしてるうちに誰がボールを持ってるのかがはっきりしないまま時間が経過して、色々あってうやむやになって僕も抜けた。その後どうなったのかは知らない。

情報の共有不足、課題の認識・共有不足、モチベーションのズレ、認識のズレ、ボールをハンドリングする人の不在などが重なった時に失敗する。

まぁこの事例は、実のところ会社でもよく見られる光景ではないだろうか?「なるはやで」と言いつつ「誰がボール持ってるの?」が続いて、期限が近づいてから「これ○○さんがやってると思ってた」みたいな感じになる。project managerが機能してない状態とも言える。

失敗例: 飲み会で出た話

飲み会で「こういうの面白いよねー」「いいねー」って盛り上がってもその多くは実現しない。人によって「え?それ本当にやるつもりだったの」みたいに認識するタイプの人が一定数いるからだ。「その場限りの冗談だと思ってた」などなど。

これも認識のズレが引き起こす悲劇(喜劇かもしれない)だ。

失敗例: やりたいだけで手を動かさない人

タイトルだけでわかるのではないかと思うけど、実際に手を動かさない人がいる、多いとポシャる。これもそこかしこで見かけられる光景ではないだろうか?

成功例: 飲み会で出た話

「こういう合同誌作りたいんだけど」「あー、僕もちょうど自分のノウハウを何らかの形にまとめたいと思ってたわー」という飲み会のあと、寝る前にリポジトリとCIのセットアップをして「作っておいたよー」と投げたやつは大成功した。ワンストップ!技術同人誌を書こう — oyakata — BOOTH(同人誌通販・ダウンロード)だ。

僕は数々の失敗例に遭遇してるので、初動が絶対に重要であると確信してたため、徹底的に初期の交通整理を、意図的に急いで行った。

まぁ集まったメンバーが全員一冊以上の本を書き上げているサークル主の強い人達だったというのもあって、途中からは問題も発生せずに、プロジェクトマネージメントなしで、さっくり原稿が仕上がってるという(他の人達だとまず難しい)奇跡的なできあがりになっていた。スタンドプレイから生じるチームワークという standalone complex の事例になった。

たぶん成功する例: 飲み会で出た話

「こういう合同誌作りたいんだけど」「あー、僕もそれ記事書きたい」という飲み会のあと、寝る前にリポジトリとCIのセットアップをして「作っておいたよー」と投げた。今度技術書典4で出展する錬金術MeetUpの合同誌だ。当選したし、記事も書かれ始めていて、うまくいきそうである。というかワンストップ本の時同様にサークル主が集まってるので、記事執筆能力はみんな高いので問題があまりなさそうなのだ。

たぶん成功する例: 飲み会で出た○○欲しいよね話

「○○欲しいよねー」「めっちゃ欲しい」「こういう物件あるよね」「乗り気な人集めればこれ普通に実現するんじゃね?」「あれ?これこうやればこういけそうやね!」という感じで飲み会3時間だか4時間だかで大体の事が決まって、その後別のメンバーと共有して合流。相談が捗って、来月くらいには実運用開始してそうな勢いになっている。

これの成功できると確信できる要素として、あるジャンルに詳しい人がいる、行動力の高い人がめっちゃ多い、相談をうまくまとめて情報整理している、マイルストーンが見えている、そのあとの展望もあるといったところだ。

たぶん成功する例: こういうLT会やりたいよねー話

今後、告知する予定だけどいくつかLT会やもうすこし大きな会を開催する予定がいくつかあります。会場の手配の段階です。

たぶん成功する例: JavaScriptメタプログラミング勉強会@さくらインターネット

JavaScript メタプログラミング勉強会@さくらインターネット metapro.esというイベントが今度2/20に開催されるが、既に募集30人LT3人集まっていて、補欠が12人という盛況っぷりである。

これの立役者は@potato4d さんだ。ちょうど秋のイベントのあとで何かイベントやりませんか?と声を掛けてくれていて、(僕自身アレコレあって忙しかっため) 今年になって、あかめ@アルバイト.js @akameco さんと一緒にやりたいと言ったところキックオフや会場の手配をしていただいてとても助かった。彼の行動力が無ければ実現出来ていなかったのではないだろうか。

ちなみにたぶん成功、と言ってるのは僕のプレゼンがまだ完全にはできあがってない点だ…。勉強会駆動プレゼン作成を頑張らねば…。

成功するために必要なこと

  • 信頼できて行動力のある人間が集まること
  • just idea な状態なら、モチベーションが同じ方向を向きそうで、信頼できて行動力ある人と相談するとめっちゃ捗る
  • 初動がとても重要
  • メンバーの性質に応じて交通整理が必要になる
  • マイルストーンがきっちり定まる
  • 問題の見極めと誰が問題を解決するか、誰がどういう役割をこなすかを認識している
  • 行動する段階になたとき、実際に行動するメンバーのモチベーションのベクトルが合うこと(最低限、かち合わないこと)

などが大切なところかなーと思うのです。

まぁでも一番重要なのは「信頼できて行動力のある人間」と出会えることと、自分がそうなれること。これに尽きる。そしてそれは中々得がたく尊いのである。