スペイン、ドイツ、あんな国まで?ヨーロッパ各国の魅力的なワイン ~貴腐ワイン、アイスワイン、ラ・ヴェンデミア
前回は、イタリアワインについて紹介しました。イタリアワインは、実は生産量世界一で、かつ、国中で、バラエティ豊かなワインを生産しています。デイリーでおいしく飲めるワインから、格式高い、熟成に耐える赤ワインまで、魅力的なワインがたくさん生産されているのです。
しかし、ワインは、フランス、イタリアだけではありません。ヨーロッパでは、あまり馴染みがない国も、独特のワインを作っています。今回は、そんなヨーロッパワインを、まとめて紹介します。
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ヨーロッパのワイン生産国、多いのはどこ?
まずは、統計的な話から紹介します。ワインの生産量が、多いのはどこなのでしょうか。
- イタリア
- フランス
- スペイン
- アメリカ
- アルゼンチン
- チリ
- オーストラリア
- 南アフリカ
- 中国
- ドイツ
2015年のデータによると、前回も説明したように、1位はイタリア、2位はフランスです。3位はスペインです。スペインワインも、店頭でよく見かけるようになりましたよね。4位以降、アメリカ、アルゼンチン、チリ、オーストラリア、南アフリカと続きます。9位はなんと中国で、10位にヨーロッパのドイツが来ます。
10位以内に、ヨーロッパが4か国入っています。ではまず、トップ10に入った、スペインとドイツワインの魅力を紹介しましょう。
情熱の国スペイン、そのワインの魅力とは?
まずは、スペインのワインから紹介しましょう。スペインも、フランスやイタリアに並ぶ、世界有数のワイン産地です。生産量こそフランス、イタリアに譲るものの、ブドウの栽培面積においては世界一を誇っています。
スペインワインの歴史
スペインワインの歴史は古く、ワインづくりが始まったのは、紀元前1100年から紀元前500年ごろの、古代ギリシャ人やフェニキア人たちによって支配されていた時代からと言われています。すでにローマ帝国の時代には、スペインワインはローマ帝国全土においてとても評価が高かった、と言われています。
そして、大航海時代に、スペインのワインは世界中に広まりました。その後、内戦やブドウの病気など、様々な苦難を経ながらも、今のワイン大国へとなっていったのです。
スペインワインの特徴とブドウ
そんなスペインのワインですが、特徴としては、葡萄が完熟した、フルーティな果実味あふれたワインであることでしょう。
南ヨーロッパのイベリア半島にあるスペインはブドウ栽培に適した土壌に恵まれており、国の東部と南部が地中海性気候、中央部が大陸性気候、北西部と北部が西岸海洋性気候という気候であり、いずれもブドウ栽培に適した環境です。
地場のブドウ品種は豊富で、スペイン全土で400種以上のブドウ品種が栽培されていると言われています。有名なところでは、黒ブドウのテンプラニーリョ種やガルナッチャ種、白ブドウのアルバリーニョ種やアイレン種、スパークリングワインに使われるマカベオ種などがよく知られています。
スペインでは、どういうワインが有名なの?
スペインでも多くのワインが作られています。しかし、やはりお国柄同様、有名なのは赤ワインでしょう。
高級赤ワイン
特に、リオハという地域は、フランスのボルドー地方の醸造技術を取り入れた産地で、地場の黒ブドウのテンプラニーリョが栽培されています。
スペインにおいて唯一最高級の格付けを受けている地域として有名で、そこで作られる高級赤ワインは、ボディがあり、舌触りがシルキーで、かつしっかりとした味わいで飲み応えがあるため、スペイン国内のみならず世界的にも人気が高いです。
他の地域で作られるワインも、比較的熟成させて飲まれるものが多いことも、特徴の1つと言えるでしょう。
技術革新のスーパースパニッシュワイン
こういった、長い間親しまれてきたスペインならではのワインに加えて、最近では、技術革新によって生まれたスーパースパニッシュワイン、またはモダンスパニッシュワインと呼ばれる、フランスのボルドーワインに似たタイプの上質なワインも登場しているのが、最近のスペインワインのトレンドです。世界中の技術を研究してきた生産者により、新しいワインも生まれています。
実はシェリー酒は…
また、スペインといえば、シェリー酒も有名ですが、実はシェリー酒は赤ワインにブランデーを添加した酒精強化ワインなのです。歴史は古く、大航海時代にイギリスに輸出されて、一気に有名になりました。1933年には、原産地呼称統制法により、スペインでできたもの以外はシェリー酒を名乗ることができなくなっています。
スパークリングワインのカヴァ
また、最近では、カヴァと呼ばれるスパークリングワインも人気です。カヴァはスペインのカタルーニャ地方を中心に造られるスパークリングワインであり、スペインのカタルーニャ語で「洞窟」を意味します。
カヴァを作る際に、年間を通して一定の温度と湿度が保たれる洞窟を使っていたことから、その名が付けられました。シャンパンと同じく、瓶内二次発酵で作られており、その他にも、瓶内熟成期間は9カ月以上など、スペインのワイン法によって厳格な規定が設けられています。
土着品種であるマカベオや、チャレッロ、パレリャーダなどのブドウが使われることが多いですが、最近ではシャルドネやピノノワールを使用して造られるタイプもあり、多種多様なカヴァが生まれています。醸造方法が改良されたり新しいブドウ品種が採用されたりするなど、カヴァにおいても新しい生産者が様々な取り組みを見せています。
また、フランスのシャンパンでは、ドサージュと呼ばれる補糖を行うこともありますが、カヴァはドサージュを行わず、果実の味わいをそのまま楽しめることも大きな特徴です。温暖な気候で成熟するブドウからできるカヴァは、果実味豊かで爽やかな味わいが大きな魅力と言えるでしょう。
スペインワインにも格付けはある?
スペインワインも、フランスやイタリア同様、格付けがあることで知られています。今の格付けは、2009年に、EUワイン法が出来たことに伴い制定されたものですが、スペインでは1970年代から「ブドウ畑・ワインおよびアルコールに関する法律」がありました。
今の制度は、原産地呼称制度と呼ばれます。原産地呼称制度は、ブドウ栽培面積や、地域の境界限定、栽培ブドウ品種、植樹密度など、ブドウ畑の条件のみならず、ワインの生産量や醸造法、アルコール度数、総亜硫酸量などの、ワインについての条件も厳しく定められています。現在は、6つのカテゴリに分けられています。
- ビノ・デ・バゴ
- デノミナシオン・デ・オリヘン・カリフィカーダ
- デノミナシオン・デ・オリヘン
- ビノ・デ・カリダ・コン・インディカシオン・ヘオグラフィカ
- ビノ・デ・ラ・ティエラ
- ビノ・デ・メサ
ビノ・デ・バゴ
ビノ・デ・パゴは、単一ブドウ畑限定高級ワインであり、畑単位で設定されている、最も厳しい基準をクリアしたワインになります。地域による限定ではなく、ワインづくりに必要な気候や地形、地質、土壌などのテロワールが特に優れている畑のみに認められており、スペイン全土でもビノ・デ・バゴになっている畑は多くありません。
デノミナシオン・デ・オリヘン・カリフィカーダ
デノミナシオン・デ・オリヘン・カリフィカーダは、特選原産地呼称ワインと呼ばれ、原産地の中でも、特に厳しい基準で昇格が認められた高品質なワインのことを指します。 実は、2009年時点では、特選原産地呼称ワインとして認められているのは、リオハとプリオラートの2つしかありません。
デノミナシオン・デ・オリヘン
デノミナシオン・デ・オリヘンは、原産地呼称ワインとも呼ばれています。原産地呼称統制委員会によって、限定原産地が定められ、その地域内で栽培されて、さらに委員会の認可を受けたブドウ品種でつくられた上質なワインのことを指します。
ビノ・デ・カリダ・コン・インディカシオン・ヘオグラフィカ
ビノ・デ・カリダ・コン・インディカシオン・ヘオグラフィカは、地域名称付き高級ワインとも呼ばれます。特定の地域、地区、村落などにおいて収穫されたブドウを原料として醸造、熟成されたワインのことを指し、地域性が表現されたワインになります。この格付けで5年以上の実績を作れば、上記のデノミナシオン・デ・オリヘンへの昇格を申請することができます。ここまでが、スペインにおける格付けワインと呼ばれるものになります。
ビノ・デ・ラ・ティエラ
ビノ・デ・ラ・ティエラは、地方の名称がついたワインになります。格付け名称のあとに町や郡や地方名が併記されたもので、地域名を冠したテーブルワイン的な存在であるともいえます。ビノ・デ・ラ・ティエラの中には、安価な輸入ワインと区別するために作られた、ビニェードス・デ・エスパーニャと呼ばれるカテゴリや、保護原産地呼称と呼ばれるデノミナシオン・デ・オリヘン・プロテヒーダと呼ばれるカテゴリに分けられています。
ビノ・デ・メサ
ビノ・デ・メサは、テーブルワインのことです。特に規制されていないワインを総称して呼ばれることが多いです。スペインのワイン生産の75%を占めています。
スペインワイン、おすすめの3本!
では実際に、おすすめのスペインワインを紹介しましょう。
ラ・ヴェンデミア リオハ
ラ・ヴェンデミアは、リオハの中でも、特に優れたワインを生み出す、プリオラートのワイナリーで作られたワインです。オーナーのパラシオス氏は、フランスのペトリュスで修行した経験を持ち、スペインワイン界ではその名を知らぬものはいないと言われています。ロバート・パーカー氏から5つ星の評価を受けたことでも知られています。土着品種にこだわる一方で、オーガニック農法の実施や、低収量の徹底など、新しいことも取り入れながらワイン作りを進めています。
ラ・ヴェンデミアは「収穫」という意味のワインで、地場品種のガルナッチャとテンプラニーリョをほぼ半分ずつブレンドして作られています。それぞれの品種の特徴を最大限に生かした、豊かな果実味とどっしりした味わいが魅力の1つです。
シェリー ペドロ・ヒメネス ヒメノス・スピノラ
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ヒメノス・スピノラは、1919年に設立された、ボデガ(ワイナリーのこと)で、スペイン王室や各国のセレブが顧客にいます。ペドロ・ヒメネスという、高級甘口タイプのシェリーのみを作っているボデガになります。
100%ブドウを手摘みし、また、100%天日干しをすることで、非常に質の高いシェリーを作っています。しかし、手がかかる作業を選んでいるため、生産量は非常に少なく年間10,000本程度しか生産されない時もあるそうです。
そのボデガで、1918年の設立以来作られているシェリーが、シェリー ペドロ・ヒメネス ヒメノス・スピノラです。最高の品質の証として、すべてのボトルにシリアルナンバーを記載されています。濃縮な果実のフレーバーが、複雑に重なり合い、スミレなどのドライフラワーのニュアンスも感じ取れます。濃厚ではあるものの、口の中でべたつきはなく、非常に上品な甘さを感じることが出来ます。
ジュヴェ・カンプス グランド・ブリュット
ジュヴェ・カンプスは、1921年に設立された家族経営のカヴァワイナリーです。ブドウに無理な圧力をかけずに抽出されたフリーランジュースのみを使用しているのが特徴です。また、熟成には最低24ヶ月から60ヶ月を費やし、質の高いカヴァを作っています。収穫や動瓶等、商品の最終製造工程に至る迄、手間暇惜しまず全て手作業により生産を行っています。そんなジュヴェ・カンプスのカヴァはスペイン王室でも愛飲されており、国内外で高い評価を受けています。
グランド・ブリュットは、ジュヴェ・カンプスのプレステージラインとして知られています。自社畑のぶどうのみ使用し、また出来のよい年にしか生産されない商品です。瓶内で熟成を経た後に、エレガントな香りと、そして爽やかな果実感がありながらも、バランスのとれた味わいが特徴です。
ドイツワインの魅力に迫る!
次に、ドイツワインについて見てみましょう。ドイツワインは、生産量はヨーロッパ4位、世界でも10位に位置します。しかし、日本への輸出はもともと多く、30年ほど前までは、日本で飲まれている輸入ワインで最も多かったのは、ドイツのワインでした。そんなドイツのワインの魅力を紹介します。
ドイツワインの歴史を紹介!
ドイツでワインが作られたのは、紀元前200年ごろと言われています。ローマ人達が北方へ進出し、ドイツの地を征服したことで、ブドウの栽培が開始されたそうです。この時、ローマからもたらされたブドウの品種がエルブリング種だとされており、現在でも栽培が続けられている品種になります。
その後、1~3世紀ごろまで栄えていたブドウ栽培は、ゲルマン民族大移動により、一時全くと言っていいほどされていなかったそうです。しかし、フランク帝国の時代に、再度ブドウの栽培が始まり再びワイン造りが発展し、品質も向上していったそうです。
18世紀には、ドイツのワインは質への転換を進めており、ブドウの栽培に適した条件のもとでワインの醸造が行われていきました。ブドウの品種改良や、より美味しいワインを作るための醸造方法などが研究されました。その後、伝染病等がありながらも、現代にいたるまで、品質の良いワインが作られています。
ドイツワインの特徴は?
ドイツワインの特徴は、なんといっても白ワインでしょう。世界で生産されているワインは、多くが赤ワインです。しかし、ドイツで生産されるワインは、圧倒的に白が多くなっています。世界的に見ても、ドイツは最高峰の白ワインを生み出しているのです。
ドイツはさまざまなぶどう品種が栽培されているにもかかわらず、ドイツワインは、ほとんどが単一品種のワインです。ドイツワインの特徴は、フルーティで繊細な味わい、豊かな酸と甘味の絶妙なバランスであると言えるでしょう。冷涼な気候の影響でぶどう果実は比較的ゆっくり成熟し、果実の酸がゆっくり分解されるため、ワインに独特の酸味が残されるのが特徴です。
また、他の国とは異なり、ドイツでは、甘口の白ワインの種類が多いことでも有名です。特に、貴腐ワインとアイスワインは、世界でも最高峰のワインを作っています。
甘い貴腐ワイン
貴腐ワインとは、特定の菌にブドウを感染させることで、腐敗したかのように見える干しぶどう状態の、貴腐ぶどうを使用して作られるワインです。貴腐菌をつけることで、ブドウの糖度が高くなるため、貴腐ぶどうを使用した貴腐ワインは、最高級の甘口ワインとなるのです。複雑な風味と濃厚な甘みが一番の特徴であり、その高貴な味わいは他のワインには存在しない、いわば贅沢なスイーツともいえるでしょう。
デザートワインで人気のアイスワイン
一方、アイスワインも、貴腐ワイン同様、デザートワインとして人気が高くなっています。アイスワインは、気温がマイナス7度を下回っている時にブドウを収穫します。低温時に収穫することで、果実に含まれる水分が凍結し、糖分やその他のミネラルが凝縮されるのです。それにより一般的なブドウに比べ、濃縮した果汁がとれるため、高い糖度環境でも活動できる特殊な酵母を加えて長時間の発酵させることで、甘いワインを作っています。
アイスワインは一般的なワインと比較すると非常に甘いのが特徴です。とはいっても強い甘さと酸味のバランスが良く、貴腐ワインに比べても、甘味と酸味のバランスがとれたものが多いことが特徴です。アイスワインには、主にリースリングと呼ばれる品種が使われます。
ドイツのワイン産地とブドウの種類は?
ドイツの緯度は北海道より高く、ドイツはぶどう栽培の北限、といわれています。ワイン生産地として、有名なのは13か所です。そのほとんどは、国土の南部・南西部のライン川本流と支流域に集中しています。
モーゼル
ドイツで最も有名な産地は、モーゼルと呼ばれる地域です。モーゼル川に沿って、550kmの流域に渡り、ブドウが栽培されています。リースリングが有名で、グリーンのガラスを用いた、首の長いスマートなボトルに入れられているのも、モーゼル地域のワインの特徴と言えるでしょう。
ラインガウ
ラインガウも、モーゼル同様、リースリングで有名な地域です。古くから、ドイツ最高峰のワインが作られており、ブラウンのガラスを用いた、首の長いスマートなボトルに入れられているのが特徴です。
ラインヘッセン
また、ラインヘッセンと呼ばれる地域がドイツ最大のワイン生産地であり、口あたりの良いワインが多く生産されています。ラインヘッセン地域は大きく、ライン川流域のラインフロントと、その背後に展開するヒューゲルラントに分けられます。もともと、シルヴァーナ種というブドウを使ったワインで有名でしたが、近年では、リースリングや、ミュラートゥルガウ、バフースなど、さまざまな品種のワインが生み出されています。
その他の有名な産地
他にも、数々の古城で有名なミッテルライン、力強いワインを作るフランケン、多彩なワインが特徴のナーエ、ドイツではめずらしい赤ワインの産地でアール、同じく赤ワインが有名なヴュルテンベルグ、温暖な気候と果実感あふれるワインが魅力のファルツ、南北に渡り長いことで、ワインの種類も豊富なバーデン、「ドイツの春の園」と呼ばれるヘシッシェ・ベルクストラーセ、世界最北端のワイン産地であるザクセン、ドイツ統一以降注目を浴びているザーレ・ウンストールが、ドイツでは有名な産地になります。
ドイツの代表的ブドウ:リースリング
ドイツで最も多く栽培されているブドウは、なんといってもリースリングです。ドイツは世界最大のリースリング栽培面積を誇り、2位の米国、3位のオーストラリアを大きく引き離しています。甘口から辛口まで味わいの幅が広いので、いろんな人が楽しむことができます。
リースリングの最大の特徴は、その酸味でしょう。冷涼な気候で造られたワインの味わいは涼やかで、非常にエレガントな酸味があるワインになります。その酸味と同時に感じることができる、爽やかな甘みも、リースリングの特徴といってよいでしょう。また、リースリングは、他の品種に比べるとアルコール度数がやや低めにつくられているものが多く、アルコール度数飲み口が優しく飲み疲れせずに杯を進められます。特に、夏に飲む白ワインとして取り上げられてからは、世界中にリースリングのファンが増えています。
他にも、白ブドウでは、ミュラートロガウや、シルヴァーナ、グラウブルグンダー、ケルナーあたりが、黒ブドウでは、ピノノワールと同じ品種であるシュペートブルグンダーや、
ドルンフェルダー、ポルトギーザーと呼ばれる地場のブドウがよく栽培されています。
ドイツワインのおすすめワインは?
では、実際に、ドイツワインのおすすめを紹介します。
世界三大貴腐ワインの1つ、トロッケンベーレンアウスレーゼ
トロッケンベーレンアウスレーゼとは、ドイツワインの品質分類である、ブレディカーツヴァインで分けられている品質区分であり、6つの甘口ワインの中でも、もっとも糖度が強く、ドイツワインの中で最高級とされている区分となります。
トロッケンは「乾燥」を意味するドイツ語であり、この場合は「貴腐ぶどう」を意味しています。また、ベーレンは「ブドウの粒」を意味しアウスはドイツ語で「選ぶ」を意味しレーゼは「収穫」を意味します。すべてつなげると「粒よりの貴腐ブドウ」という意味になります。
生産量もすくなく高価なものもありますが、フランスのソーテルヌらと並んで、世界三大貴腐ワインの1つとされています。
ラインガウ・リースリング・クーベーアー・トロッケン
ドイツ5大畑の名を冠する、リースリングに特化した歴史あるワイナリーである、シュロス・フォルラーツで作られるリースリングです。
一つ一つの作業を丁寧に行うことで有名で、大粒で熟した実が成るように、ブドウの房の下部を剪定や、厳しい収穫量の調整、低い圧力での圧搾、自然酵母を独自で培養したオリジナルの5つの酵母を使用するなど、随所に拘りを見せているワインです。その味わいは爽やかで果実感を強く、リースリングが持つ特有の果実味、香り、ミネラル感が最大限に引き出されているのが特徴です。
ハンガリーのワインの特徴は?
東欧のワインは、最近注目を浴びつつあります。中でも、ハンガリーは、東欧の革命児とも呼ばれるなど、注目されている地域です。そんなハンガリーワインの特徴を紹介します。
ハンガリーは大陸性気候に準じており、夏は乾燥期を迎えて暑く、冬は厳しい寒さに包まれます。ハンガリーの有名なワイン産地としては、西部にある、東ヨーロッパ最大の淡水湖バラトン湖の北岸一帯と、東北部の温暖な盆地トカイ地方、そして首都ブダペストとトカイの中間に位置するエゲル地方があります。
ハンガリーで最も有名なワインが、世界三大貴腐ワインの最後の1つである、トカイ地方のトカイ・アスー・エッセンシアです。アスーとは「糖蜜のような」という意味で、トカイ地方で作られる甘いワイン全般をトカイ・アスーと呼びます。その中でも、トカイ・アスー・エッセンシアは、最高級の貴腐ワインとされています。また、世界最古の貴腐ワインとしても知られています。
ポルトガルのワインの特徴は?
今、最も注目されるワイン産地と呼ばれるのが、ポルトガルです。かつては半鎖国状態であり、そのワインが国外に出回ることはほとんどありませんでしたが、EUに加入後は、その躍進が目覚ましいです。ポルトガルは世界で初めて原産地呼称管理法を制定した国であり、国土のほとんど全ての場所でブドウが栽培されていました。
個性あふれるワインを生産しているポルトガルに、最新の醸造技術を学んだ新世代の造り手達が、次々と革新的なワインを生み出すに至りました。この状況はワイン消費国にも知れるようになり、最初は安くて美味しいワインの生産国として知られ、2000年以降は質の高いワインを生み出す産地として知られるようになりました。
ギリシャワインの特徴は?
ギリシャも、ポルトガル同様、近年に入り、新しい技術が入ってきたことから、注目を高めているワイン産地になります。
ギリシャは、もともとブドウ栽培に適した気候を持っています。ギリシャを形づくる半島と一連の島々は、地中海性気候で冬は暖かく、夏は乾燥した亜熱帯性気候になります。メルテミと呼ばれる海より吹きつける風の強弱がブドウ栽培に影響を及ぼし、地域ごとのブドウの特徴を決めます。日照時間は年平均3,000時間と極めて豊富であり、果実味の強いブドウがとれるのが特徴です。
地場のブドウも豊富で、300種類以上あると言われており、古くから栽培されている品種も多くあります。太陽を受けて育ったブドウが強く、ワインもそのブドウの質を生かした、フレッシュなワインと、甘味の強いワインを作り出しています。
まとめ
この外にも、東欧のブルガリアやルーマニア、オーストリアなど、様々な地域でワインは生産されています。そして、ワインといえど、貴腐ワインや、アイスワイン、酒精強化ワインまで、幅広いワインがあることが理解できたのではないでしょうか。
ヨーロッパでは、今日も様々なワインが作られています。こうした様々な種類のワインを、気軽に飲むことができるのがワインの素晴らしいところです。ぜひ、お気に入りの一本を見つけてみてくださいね。
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