越路吹雪物語 #27[解][字] 2018.02.13
多少僕も受け継いでるのかもわかんないですけどね。
そうでしょうきっとね。
どうもありがとうございました。
楽しいお話どうも。
今日はお二方においでいただきました。
(拍手)
(河野美保子)お時さん!森ちゃんに召集令状が来たって。
えっ…。
(加治信子)遅い遅い!
(中川慶子)順番でやってるからちょっと待ってね。
うん。
(森山淑子)私まだ刺してない人いるか探してくるね。
待って私も行く。
(ドアの開閉音)あれ?肝心の森ちゃんは?ちょっと風に当たってくるって。
中庭だと思う。
女だらけで恥ずかしくなっちゃったみたいですよ。
『歌劇』の編集部員のくせに?ねえお時さんちょっと呼んできてよ。
そろそろ稽古に行かなきゃなんない子もいるしさ。
私?うん。
ちゃんと顔見せろって。
うんそりゃそうだ。
今まで散々取材に協力してあげたんだもんね。
それに森ちゃんもいい記事書いてくれたし。
そうそう。
無愛想だけど記事に愛があるんですよね。
わかった。
おっ私も私も。
ありがとう。
(信子)ねえねえねえねえ。
森ちゃんってさお時さんの事好きなんじゃないかな。
はっ?だって森ちゃんお時さんが来てからちょっと変わったじゃない?丸くなったっていうか。
(松尾セツ)私もそれは思ってた!でしょ?お時さんもまんざらじゃなかったりして。
ないない。
なんでわかるんですか?お時さん見てればわかるよ。
どうだか。
コーちゃん人の恋には鈍そうだからな〜。
何よそれ。
ほい。
森さん。
たばこ吸われるんですね。
知らなかった。
今日はなんとなくね。
みんな待ってますよ森さんの事。
今も…この先も。
それ吸い終わったら戻ってきてくださいね。
でないと私が怒られます。
小さい頃からずっと…体が弱かった。
(森)子供の頃は自分で勝手に大人になれば普通になると思ってた。
でも大人になってわかったのは僕の心臓はポンコツだって事だった。
(岩谷秋子の声)僕の心臓ポンコツになっちゃったみたいだって。
今まで悪かったな。
いろいろ嫌な事を言って。
駄目な人間ほど誰かを見下したくなる。
それが僕だ。
そんな事ありません。
確かに森さんの言う事に腹が立った事もあります。
それでも森さんの事を駄目だとかポンコツだとか思った事ありません。
だって森さんの心臓頑張って動いてるじゃないですか。
森さんだって頑張って生きてるじゃないですか。
お時さんと森ちゃんはさなんかもっと…違うと思う。
違うって?うん…。
恋とかじゃなくて人と人っていうか…。
第一お時さんに恋をしてドキドキワクワクしてるようなそんな感じ全然ないもん!そんなの恋じゃない!お前とコーちゃんが仲いいのよくわかる。
…えっ?全く逆の性格のようで実は似てる。
私とコーちゃんが?そんな事ありませんよ。
だって私あんなにチャーミングじゃないですし。
まあ自分ではわからないものなのかもな。
この戦争もうまずいかもしれない。
えっ?こんな体で一度は徴兵からはじかれた僕までも出征させられるんだ。
そこまで日本軍は切羽詰まってるって事なんだと思う。
戦争が続いても…いつか終わるとしても…この先日本はどうなるんだろうな…。
さあ戻るか。
うるさくやいのやいの言われるのがちょっと憂鬱だけど千人針のお礼はちゃんとしとかないとな。
待ってますから。
森さんが宝塚に…編集部に帰って来るのちゃんと雑誌守って待ってますから。
もしお前がその時編集長なんかになっていたらすぐに他の仕事を探す。
女の下でこき使われるなんてごめんだからな。
だったら私は編集長権限として絶対に辞めさせません!優秀な編集部員は必要ですから!
それから時子も千人針を心を込めて刺し森の武運長久を祈りました
森はその祈りの布を大事そうに抱え宝塚をあとにしたのでした
体の弱さ故にお国のために戦場で戦えない事があれほど悔しかったのが嘘のように今はえも言われぬ不安を胸に抱きながら
満州の愛し君は元気ですか?うん。
2人目の子供がおなかにいるって。
えー!コーちゃんさんと同い年なんですよね?この八重ちゃんって。
年は同じでもいろんな人生があるもんだなあ〜。
本当。
でもさちょっと残念。
何がですか?前はねきれいな絵葉書で送ってくれてたんだけど最近は普通の色気もなんにもない葉書なんだもん。
満州もこっちと同じように物がないんですかね。
まあたまたまかもしれないけどね。
でも満州には空襲ないんですよね?それはうらやましいよなあ〜。
うん…。
(信子)コーちゃん!劇場で公演出来る事になったって!えっ!!大劇場返してもらえたの?あっ…それは無理。
でも宝塚映画劇場で定期公演してもいいって許可が下りたって!定期公演!
(信子)そう!大劇場でやってた演目が出来るって事ですか?そう!!やったー!!宝塚の舞台に立てる!!
(3人)やったー!!
こうして宝塚歌劇団は映画館の舞台で公演を打つ事になりました
それは大劇場とはあまりにも舞台の規模が違う細々としたものでしたがそれでもコーちゃんたちにとっては夢のような出来事だったのです
しかし米軍による市街地を狙った空襲が勢いを増して度重なり宝塚歌劇団の映画館での公演も中止を繰り返す事になりました
空が真っ赤…。
こっちにも来るかな。
空襲警報鳴ってないから大丈夫よ。
ねえあの噂って本当かな?噂?この前の大阪の空襲のあと帰っていくB29が上空からビラまいたって。
ああ…歌劇団があるから宝塚には爆弾落としませんよっていう?うん…。
美しいお嬢さんたち心配しなくていいですっていうあれ。
本当かな?どうだろう?私はそんなビラ見た事ないし。
でももし本当だったら私たちずるしてるみたいに思われちゃうのかな。
そんな事…。
だってきっと…あの下ではたくさんの人が…。
生きている事戦争の中を生き延びている事がずるいなんてそんなわけない
そう言いたい時子でしたが戦争でいとも簡単に多くの命が奪われていく現実を前にそれを口にする事はどこかためらわれるのでした
6月23日沖縄戦が終結
日本本土への空襲が繰り返され各地の都市が焼け野原と化していきそして8月6日…
広島に原子爆弾が投下され続く9日長崎にも原子爆弾投下
そして8月15日
日中戦争からの8年にわたった戦争が終わりました
(風鈴の音)そうなんだ…。
あれは負けたって言ってたんだ。
時ちゃんわかった?うんなんとなくね。
もう空襲はないって事だよね?ええ。
もう誰も兵隊に行かなくていいって事だよね?そうね。
外地に兵隊に行った人は帰ってくるって事だよね?うんそうね。
じゃあ満州にいた人も帰ってくるよね?八重ちゃん帰ってくるよね?八重ちゃんって?新潟の頃の幼なじみ。
結婚して満州に行ったんだけど…あれ?満州国って戦争終わってどうなるの?まあいいや。
とにかく戦争は終わったんだもんね。
うん。
八重ちゃんにも会える。
日本の海軍に接収されていた宝塚大劇場は敗戦によって今度は米軍に接収されてしまいました
開けなさい!開けなさい!どうしたのだハーミア。
バラ色のほほが色あせている。
我慢が出来ないのです。
身分が違うというだけでまことの恋が引き裂かれる!
(信子)あの人が行ってしまう!
それでも宝塚歌劇団はその灯を消す事なく宝塚映画劇場や大阪の劇場での公演を続けていました
演目は戦前の華やかさを取り戻しそれに加えて戦時中は敵性音楽として禁じられていた海外の楽曲も使えるようになるとジャズを中心とした新しい音楽があふれる舞台も誕生し確実にその活気を取り戻していました
「私のジャーニーよ」
とはいえ全てがうまくいっていたわけではなく…
もう駄目だ…。
おなかがすきすぎてめまいがする…。
田舎のある子はいいよなあ…。
お米や野菜や干物を送ってもらえて…。
はあ…実家が東京の街中じゃなんにもないもんねえ…。
コーちゃんさんなんかマダムからの差し入れとかないですか?ここにもいましたよ東京組が。
お昼もすいとんちょっとだけだったでしょ?もうおなかすいちゃって…。
どうしたんですか?なんか匂う…。
そう?魚焼いてる匂いだ!ああ!そういえばさっきセッちゃんがチコさんの部屋に七輪抱えて入っていったの見ました!それだ!チコさんの実家って確か海のそば!よし!魚をすくいに行くよ!
(悠子)えっ!?
(焼ける音)
(美保子・慶子・淑子・悠子)「アラエッサッサァー」寄ってらっしゃい見てらっしゃい!お代の魚は見てのお帰りに!いよっ!
戦後日本の食糧難は戦時中にも増して厳しいものとなっていました
それでもコーちゃんたちはたくましく笑ってそれを乗り越えていくのでした
あともう少し辛抱すればまたあの大劇場の舞台に戻れると信じて
(内田信人)こっちにも載ってるぞ!「越路吹雪はショー・ストッパーである」
(平山文章)おっそっちもですか。
(内田)いい響きだなあショー・ストッパー!あの…ショー・ストッパーってなんですか?歌手が一曲歌い終わったあと客の拍手が鳴りやまなく次の曲にいけずにショーがストップしてしまう。
それほどの歌を歌う歌手の事だよ。
コーちゃんがそうっていう事ですか?ああ。
耳が肥えている進駐軍の米兵たちがそう認めてるんだからたいしたもんだ。
こりゃ将来が楽しみだなあ。
へえ…コーちゃんが。
そして翌1946年昭和21年の4月宝塚大劇場がついに歌劇団の元へと返ってきました
ここから戦後の宝塚歌劇団の黄金時代が始まりそれはまた越路吹雪の輝かしい時代の始まりでもありました
しかし光には常に影がつきまとうもので…コーちゃんがそれを知るのはもう少し先のお話
(4人)よろしくお願い致します。
私のどこが不良なのよ!コーちゃんさん私…。
嘘でしょ?2018/02/13(火) 12:30〜12:50
ABCテレビ1
越路吹雪物語 #27[解][字]
名曲「愛の讃歌」を世に送り出した戦後の大スター・越路吹雪と作詞家で越路吹雪の生涯のマネージャー・岩谷時子。昭和の時代を背景に偉大な2人の友情と波乱の人生を描く。
詳細情報
◇番組内容
脚本家・庄司義男(駿河太郎)から突然プロポーズされ驚いた美保子(瀧本美織)は、時子(木南晴夏)に相談する。1945年8月、戦争が終わり宝塚大劇場が歌劇団に返還された。それを境に越路吹雪の人気はうなぎのぼりに。一方、時子も『歌劇』が復刊し忙しい日々を送る。美保子は後輩の中川慶子(花乃まりあ)、同期の加治信子(咲妃みゆ)から宝塚を卒業すると告げられ、がく然とする。そして美保子にも“ある思い”が芽生え…
◇出演者
瀧本美織、木南晴夏
原日出子
咲妃みゆ、中川知香、花乃まりあ、七木奏音、田中珠里
河西健司、飯田基祐、崎本大海
◇ナレーション
真矢ミキ
◇脚本
龍居由佳里
◇演出
藤田明二(テレビ朝日)
◇主題歌
大地真央『誰もいない海』(ユニバーサル ミュージック)
◇スタッフ
【チーフプロデューサー】五十嵐文郎(テレビ朝日)
【プロデューサー】藤本一彦(テレビ朝日)、布施等(MMJ)
◇おしらせ
☆番組HP
http://www.tv-asahi.co.jp/koshiji/
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語(解説)
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