どうも、かずきちです。
何やらエンジニア界隈ではいつの間にか有名人になっているようで。
今回は「フリーランス」について、今一度「何が得なのか?」を考えたいと思います。
ここでは、法務観点も入れながら、法的にどうなのよ?っていうのも話していきます。
なんで、フリーランスになったの?
まず、人それぞれフリーランスになった理由は色々でしょう。
「お給料がいい」
とか。
(フリーランスになった時点で「お給料」という名目ではないけども)
「会社での上下関係など人間関係のしがらみがない」
とか。
「色々な会社、業態を知れる」
とか。
「腕(スキル)だけで判断してくれる」
とか。
「会社の歯車でいたくない。自分で経営をしたい」
とか。
まぁ、色々あるでしょう。
ですが、それは私から言わせると
「付随したメリットでしかない」
ということです。
3種類の契約形態
なぜ、そうなのか?というのは『契約』という観点で見ると色々と見えて来ます。
詳しくはうちの「ウェブカツ」というサービスでも解説していることですが、
会社ないし、個人事業が人を入れる場合、大きく3つの契約をして人を入れることができます。
それは、
1.労働契約
2.準委任契約
3.請負契約
この3つです。
さらに「1.労働契約」の場合には、
みなさんもご存知の
「正社員」
「契約社員」
「派遣社員(正しくは、派遣労働者)」
「アルバイト(正しくは、パートタイム労働者)」
といった契約形態がありますね。
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudouseisaku/chushoukigyou/koyoukeitai.html
ちなみに「雇用契約」という言葉もありますが、法律上は異なるものです。
詳しくこういうのをググってみてください。
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-15381/
とどのつまり、人の一生に一度しかない人生の時間(=労力)を金で買う契約のことを「雇用契約」といい、
その中でも、「労働基準法」で守られている(ある程度しか実際は守られないけど)契約形態を「労働契約」といいます。
人材派遣などは「現代版の人身売買」と呼ばれるのも、そういったところからです。
訴訟と法律のお話
ちなみに「民法」というベースの法律で定められているのが「雇用契約」で、その中でも「労働基準法」で定められた契約のことを「労働契約」といいます。
法律では、「民法」という私たちの生活のベース
として取り決められている法律があり、その法律ではカバーしきれなかったり、アバウトすぎて細かく取り決めを決めている各種法律(商法、労働基準法、宅建業法などなど様々ある)があります。
なので、もし「訴訟」になった場合、その専門の法律(例えば労働基準法)で取り決めがされていないかが争点になり、取り決めがなければ「民法」を元にして争われることになります。
ちなみに僕は競売屋時代に何度も訴訟を扱っていますが、ホントに重箱の隅突くように契約書の「言い方」「言い間違い」を探し出して、「こう書いてあるってことは、こうも解釈できますよね?」って争い方をします。
フリーランスの契約形態は2つのみ!
で、話を戻して、
IT業界でフリーランスとしてやる場合、ほとんどの契約形態は大きく3つのうちの2と3だけです。
2.準委任契約
3.請負契約
この2つですね。
まず、この2つの場合、「1.労働契約」と大きく違う法律上の性質があります。
それは、
「労働基準法に守られない」
ということです。
労働基準法に守られているのであれば、
「何時間以上労働する場合は、昼休みは必ず取らせる必要がある」
とか
「解雇する場合は〜」
とか
色々な「決まり」があります。
それを雇用主(雇用する側)が守らなかった場合、訴訟すればほぼ勝てます。
また、労働基準監督署にチクれば、監査に入られたり、今後も目をつけられることになるので、雇用主側にとっては痛いわけです。
また、大手ともなれば、「訴訟を起こされた」という事実自体をとても嫌がります。
風評被害になるからです。
ちなみに最後の方で話しますが、超大手人材会社もめちゃくちゃ違法なことをしていて、エンジニアを搾取しているので要注意です。
まぁ、IT業界自体が実際は違法な事が結構横行していますが。
(ベテランのフリーランスはそういった現場は搾取されるだけでデメリットしかないので入りませんし、逆に法的にアウトな事を逆手にとって企業側と交渉して(というか、ほぼ「脅し」だけど)単金を吊り上げたり、自由に仕事してたりしてます)
準委任と請負の違い
あなたがフリーランスをやっている場合、この2つの契約の違いを説明できますか?
できなければ、プロとしてそもそも失格です。
なぜなら、「法律」はビジネスをする上での「ルール」だからです。
野球選手がルールを知らずにプレーしてるくらい「アホ」なことだと自覚してください。
(といっても、結構そういうエンジニアは多いですが、、、フリーランスといっても実態はただの会社員から抜け出せていないエンジニアが多いのが現状なので、私みたいな人たちが稼げるわけです)
フリーランスになった時点で「事業」です。
あなたがフリーランスの場合、「事業」として考え、動いていくのが絶対です。
(なのに「会社員」の考え方、動きしかできていないフリーランスはかなり多い)
ちなみに「業務委託(いわゆる、SESという契約)」という言葉は、法律上ありません。
結構勘違いしてるエンジニア多いんですが。。
業務委託契約も法律上は「準委任」か「請負」かのどっちかになります。
では、何が違うのかというとこんなところが違います。
準委任契約
成果物:求められない
対価:時間(労働力)
損害賠償:善管注意義務のみ
瑕疵担保:なし
報告義務:あり
請負契約
成果物:求められる
対価:仕事の完成
損害賠償:善管注意義務以外にも、成果物が納品されなかった場合などでも損害賠償。
瑕疵担保:あり
報告義務:なし
準委任契約
成果物、対価
まず、準委任契約は、「成果物」を求められません。
あくまで、法律上は「時間」を対価として支払います。
なので、「アルバイト」に近いです。(でも、労働基準法に守られない)
何時〜何時まで現場で働いている人は「準委任契約」の可能性が高いです。
8時間働けば、その分「必ず」金がもらえます。客から払われなければ訴訟してください。必ず勝てます。
準委任契約は、あくまで「労力」という時間を提供して対価をもらう契約です。
なので、変な話、あなたが開発しているものを完成させなくても金はもらえるんです。(といっても、そんなことばっかしてたら次から契約切られますが)
損害賠償
そして、もしあなたが開発を途中までしか完成させられなかったり、期限までに仕上げられなかったりしても、あなたに責はありません。
あくまで、雇った側の責任です。
(結構、エンジニアでも自分責める人いるんですけど責任ありませんから開き直ってくださいね)
なので、そこに対して損害賠償を請求されることはありません。
ただし、法律用語でよく出てきますが、「善管注意義務」といって、基本的に「普通は気をつけるよね??それ?」っていう部分を怠っていた場合は、損害賠償されても文句はいえません。
例えば、「めっちゃ休みまくってる」とかはアウトです。(といっても、訴訟になった場合、「休み過ぎ」とはどの程度なのか?が争点になるので、一般の他の現場やエンジニアなどに照らし合わせて判断されます)
瑕疵担保責任
瑕疵担保責任というのは、エンジニアでいえば「バグ」があった場合に「改修しなければいけない」という責任のことです。
準委任契約の場合は、瑕疵担保責任はありません。
なので、バグが見つかっても夜中遅くまで残って作業する必要もありません。
鼻くそほじりながら「知らねーっす」って言ってさっさと帰ってください。
報告義務
準委任契約は、色々な責任がない分、「報告」が求められます。
なので、客から求められたら進捗を報告する義務があります。
請負契約
成果物、対価
請負契約の場合、「成果物」が求められます。
開発をきちんと完了しなければ金はもらえない。という契約です。
建築など家を建てる業務を任せる場合や大きなプロジェクトを任せる場合はこういった契約がほとんどです。
損害賠償
請負は損害賠償もきついです。
仕事をきちんと完成させなければ、損害賠償されても文句はいえません。
といっても、仕様変更があって見積もりの期限に間に合わない。とか相手のせいの場合は別です。
なので、相手から当初の依頼から変更要望があった場合は、期限に間に合わせるために遅くまで頑張るのではなく、
期限を伸ばしてもらう。
その分金をもらう。
のがビジネスとして当たり前です。
瑕疵担保責任
請負は仕事の完成に責任をもつ契約です。
なので、バグが出た場合は速やかに対応する必要があります。
対応しなければ損害賠償請求されても文句いえません。
報告義務
請負は報告義務はありません。
仕事の完成を提供して対価を得る契約なので、ぶっちゃけ「その間のこと」はどうでもいいんです。
自由です。
ちゃんと納期に開発を終わらせれば、現場に来る必要もなければ、進捗を報告する必要もありません。
よく請負契約なのに「お前会社員かよ」っていうくらい、毎日出社して朝会で進捗報告している奴がいますが、僕から言わせれば「アホ」です。
そういうフリーランスは事業として絶対に発展(売り上げ拡大)できません。
随時更新してきますので、乞うご期待。
フリーランスになっても会社員から抜け出せない問題、とても同感です!
僕はフリーランスになってまだ半年ですが、仲介業者の提示する契約書に形式的にサインして「頑張ります!」じゃ絶対に稼げるようにならないだろうなー、と感じています。
以前会社員だったころ、これくらい知っておかなきゃヤバい!と思って以下の記事を書いたことがあります。
自社開発メインの会社に新卒で入ってしまった人のための業務委託に関する基礎知識まとめ
民法に対して契約書が持つ効力についても書いていますので、追加情報としてこの記事を読む方の役に立てればと思います。