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世界最大手のクラウドサービス3社の競争が激化している。米アマゾン ウェブ サービスの「Amazon Web Services(AWS)」、米マイクロソフトの「Microsoft Azure」、米グーグルの「Google Cloud Platform(GCP)」である。三つのクラウドサービスの拡充が急ピッチで進んでいる現状は、利用する企業にとって朗報だ。
一方、悩ましい問題も出てきた。三つのサービスの内容や機能、サポートなどを比べることが難しく、どれを選んだらいいかで迷う企業が増えているのだ。そこで本誌は世界3大クラウドを38項目について徹底比較した。クラウドサービスの現状を白日の下にさらす。
大手クラウドサービスの競争が激しさを増している。米アマゾン ウェブ サービスの「Amazon Web Services(AWS)」、米マイクロソフトの「Microsoft Azure」、米グーグル(Google)の「Google Cloud Platform(GCP)」という3強だ。米調査会社ガートナーによるIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)の市場分析を見ても、3社がずぬけている。AWSでは2018年に「大阪ローカルリージョン」を、GCPは2019年に「大阪GCPリージョン」を開設する予定であるなど、日本向けのサービス強化も相次ぐ。
クラウド市場をけん引するAWSの勢いは衰えをみせない。2017年度の売上高は175億ドル、日本円(1ドル110円換算)で1兆9250億円に拡大。前年比43.4%という高い伸びを示す。対抗馬のマイクロソフトも負けていない。2017年10~12月期のクラウド事業の売上高は前年同期比56%増の53億ドルと、同51億1300万ドル(前年同期比44.6%増)のAWSを直近の業績でしのいだ。
マイクロソフトの売上高には、IaaSやPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)から成るAzureに加え、「Office 365」や「Dynamics 365」といったSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)が含まれる。日本でもクラウド活用が本格化し、IaaSからPaaS、SaaSへと利用範囲が広がっている。今回、IaaSで圧倒的なシェアを誇るAWSをAzureが売上高で上回ったのは、こうした動きを象徴するものといえる。
選択基準はIaaSからAIまで
クラウドサービスの利用が広がるなか、ひときわ熱い視線を浴びているのが、AI(人工知能)分野だ。GPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)サーバーを用意したり、AIソフトをインストールしたりする手間なく、すぐに試せるAIサービスの引き合いは強い。データ分析やAI活用で一日の長のあるグーグルに注目度が高まっている理由はそこにある。
クラウドの動向に詳しいクラウディットの中井雅也CEO(最高経営責任者)は「2017年くらいまではAWS一強だった。しかし、日本企業がAI関連に注目し始めたことで、ビッグデータやアナリティクスに強いグーグルが存在感を増してきた」と話す。
アクセンチュア テクノロジーコンサルティング本部 テクノロジーアーキテクチャグループ シニア・プリンシパルの福垣内孝造氏も、クラウド選択の変化を感じている一人だ。「最近はIaaSだけでなく、AIやIoT(インターネット・オブ・シングズ)の活用などもにらみながら、最適なプラットフォームを選びたいという意識が強くなっている」。
三つのクラウドサービスの拡充が急ピッチで進んでいる現状は、利用する企業にとって朗報である。一方、悩ましい問題も出てきた。三つのサービスの内容や機能、サポートなどを比べることが難しく、どれを選んだらいいかで迷う会社が増えているのだ。クラウド選択の観点が多様化したこともそれに拍車を掛ける。
そこで本特集では4回にわたり世界3大クラウドを38項目について徹底比較する。今回は、各社の強みに着目し、キャラクター(特徴)付けを試みる。