(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年2月3/4日付)

ロシア核施設で「ビットコイン採掘」 複数の職員拘束

仮想通貨ビットコインのメダル(2018年2月6日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / JACK GUEZ〔AFPBB News

 かつて「アイドル」ガールズ・バンドのメンバーとして活躍し、現在はセレブのニュースを扱うサイトでディレクターを務める熱心な暗号通貨投資家の山咲こむぎ氏は1月26日、見慣れない電子メールをオフィスで受信した。

 差出人はお気に入りの仮想通貨取引所、コインチェックだった。

 日本の有名コメディアンを起用したテレビCMをプライムタイムに流している企業で、山咲氏はここに数百万円を預けていた。メールを開いてみると、XEM(ゼム)という仮想通貨の出金を一時停止していると書かれていた。

 暗号通貨ブームに酔いしれていた日本の若者たちと同様に、山咲氏は数カ月前からXEMを買い増し、価格が急伸する中で再投資を繰り返していた。

 ソフトウエアのメンテナンスでもしているのだろうと考え、メールを一蹴しようとした。ところが、日本のソーシャルメディアの著名人たちから、うわさやニュースを引用した不安そうなツイートが飛び込んできた。

 やがて、本格的なパニックが始まった。自分の大事なXEMがハッカーに盗まれた、史上最大級の強盗にやられた――山咲氏はすぐにそう理解した。

 「私はコインチェックを完全に信じていました。信頼していました」。このほかにも4つの仮想通貨取引所に取引口座を持ち、それらの間の価格差から利益を得ることに長けている山咲氏はこう語った。

 「あの人たちはいつもセキュリティーの話をしていました。でも、話だけだったんですね」