三つ数えろ

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その契約で大丈夫?販売店契約と代理店契約の違い

販売店契約と代理店契約

 

ITビジネスにおいて、必要な商品(機器、サービスやパッケージソフト)を他社より「卸し」を受けて顧客に販売したり、逆に自社の商品を営業力のある他社に「卸し」て販売してもらうケースはよくあると思います。

 

一般的にそうした取り組みを「販売代理店制度」や「販売パートナー制度」と呼んだりしますが、法律上、「販売店」契約と「代理店」契約は別のものです。別に契約書名が「販売代理契約書」であってもいいのですが、その実態が「販売店契約」なのか「代理店契約」なのか、注意する必要があります。今回はその違いについて整理してみました。

 

 

目次

 

この記事での用語の定義

  1. 機器やサービス、パッケージソフトウェアを商品とします。
  2. 商品の開発や製造元を販売元会社とします。
  3. 最終的にその商品を利用するエンドユーザを顧客とします。
  4. 顧客に商品を提案し、提供するため販売元会社と契約を締結する会社を自社とします。

販売店契約とは

販売元会社から商品を定価から何割か減じた価格で卸して(または仕入れて)、そこに自社の利益を乗せて、顧客に販売する契約です。卸価格の利率を仕切値と呼んだりします。

商流としては、販売元会社から直で卸をうける場合もありますし、ダイワボウやソフトバンクC&Sのような卸プラットホーム企業から卸す場合もあります。販売店契約は販売元企業と自社の間で締結する契約です。

 

代理店契約とは

自社は販売元会社の商品を顧客に紹介しますが、商流に自社は介在しません。ただし成約に至った場合、代理店は代理店契約に基づき、販売元企業より紹介手数料、取次ぎ手数料といった名目のインセンティブの支払いを受けます。こうした契約を代理店契約といいます。

歓楽街で営業活動されている客引き、キャッチ、スカウトも飲食店、風俗店と代理店契約をされているものと推察します。インセンティブは一般的には一時金ですが、最近では6ヶ月間や12ヶ月間と行った期間を決めて支払われるケースもあるようです。

話はずれますが、インターネットプロバイダサービスにおいては、これまで回線サービスをプロバイダ企業がNTTなどのアクセス企業と代理店契約の下で販売しており、成約に応じて多額の報奨金をアクセス業者より受けていました。ところが、光コラボレーションによりこの形態が代理店契約から販売店契約に転じたため、報奨金が大きく減額し、多くのインターネットプロバイダが身売り、廃業を余儀なくされています。

 

販売店契約と代理店契約の違い

商品の提供及びその費用の回収といった債権債務に自社がが介在するかどうか、が一番の違いです。代理店契約の場合、簡単にいえば商品を紹介するだけなので、道義的なものは別といて、こうした債権債務は負いません。一方、販売店契約の場合、顧客に対する一義的な販売者は販売店になります。

 

販売店契約締結時の注意

繰り返しになりますが、販売店契約における顧客に対する一義的な債権債務の履行責任は販売代理店になります。つまり販売店はその商品の提供とともに、サポートやクレーム対応、または商品の瑕疵によって発生した損害賠償の債務を負うことになります。ただし、こうした点にあまり理解があるように思えません。その結果、販売店にも関わらず、それらを右から左に販売元企業にエスカレーションしますし、時には「弊社が間に入るとボトルネックになるため顧客と直接やりとりしてください」などと平気で言ってくる販売店営業もいます。なんとも美味しいごとろどりの都合のいい話です。

 

ただ一方で、商品の販売拡大を大手販売店の営業力を借りて推進したい販売元企業の思惑もあります。また、顧客としても様々なITサービスを個別に契約し支払う手間を厭い、販売店にまとめてもらいたいという思惑もあります。

 

こうした背景から販売店契約の歪みはしばらく解消されないと思いますが、商品力も持った販売元会社の場合、顧客への債権債務履行義務は販売店にあるという原則を譲らないところも増えてきています。目先の利益から販売店契約をしたものの、顧客からの要望、クレームに対応できず、かつ販売元会社も販売店契約を盾に相手にしてくれないという自体が発生してきますので、こうした契約については注意が必要です。

 

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