北朝鮮代表団 訪韓終了
南北首脳会談改めて呼びかけ
韓国を訪れていた北朝鮮のキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の妹のキム・ヨジョン氏らの代表団は、11日夜、ムン・ジェイン大統領と北朝鮮の芸術団の公演を鑑賞するとともに、大統領に改めて南北首脳会談を呼びかけました。
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ピョンチャンオリンピックに合わせて北朝鮮のキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の特使として韓国を訪問した妹のキム・ヨジョン氏や、キム・ヨンナム最高人民会議常任委員長らは、11日夜、ムン・ジェイン大統領とともに、ソウルで北朝鮮芸術団の公演を鑑賞しました。キム・ヨジョン氏はムン大統領の隣に座り、2人は時折言葉を交わしながら拍手を送っていました。
韓国大統領府によりますと、公演のあと、ムン大統領が「心と心を合わせて難関を乗り越えましょう」と述べたのに対し、キム常任委員長は、「必ずピョンヤンにいらしてください」と述べて、改めて南北首脳会談を呼びかけたということです。
北朝鮮代表団は11日午後10時半ごろ、専用機で北朝鮮に戻りました。
今回、ムン大統領は、3日間滞在したキム・ヨジョン氏らを連日、手厚くもてなし、融和ムードを内外に強く印象づけました。ムン大統領は、今後、北朝鮮が韓国の求めるとおりにアメリカとの対話へと動き出すかどうかを見極めながら、北朝鮮の提案について検討を重ねるものとみられます。
ただ、韓国の野党は、ムン政権が核問題を置き去りにしていると強く批判している上、アメリカや日本も日米韓3か国の連携が揺るぎかねないと警戒を強めています。会談開催に向けた動きが進むのか、南北だけでなく、日米など関係国との間でも駆け引きが激しくなりそうです。
北朝鮮国営メディア
南北融和に向けた姿勢を前面に
北朝鮮の国営メディアは、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の妹、キム・ヨジョン(金与正)氏が10日、韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領と会談してキム委員長の親書を渡したことを写真とともに大きく伝え、南北融和に向けた姿勢を前面に押し出しています。
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11日付けの北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、労働新聞は、韓国に派遣された高位級代表団が10日、ソウルの大統領府でムン・ジェイン大統領と会談したことを1面で写真とともに大きく伝えました。
この中では、キム・ジョンウン委員長の特使として派遣された妹のキム・ヨジョン氏がムン大統領にキム委員長の親書と意向を伝えたと報じましたが、親書の内容やムン大統領に南北首脳会談の開催を提案したことについては触れていません。
一方で、労働新聞はキム・ヨジョン氏が笑顔でムン大統領と握手を交わす様子や、並んで歩く姿を写した写真を複数掲載したうえ、「代表団は南側と関係改善について率直かつ虚心たん懐に話を交わした」としています。
さらに、ピョンチャンオリンピック、アイスホッケー女子の韓国と北朝鮮の合同チームの試合をヨジョン氏らとムン大統領がそろって観戦して記念写真を撮ったと写真とともに伝え、南北融和に向けた姿勢を前面に押し出しています。
北朝鮮の"微笑み外交"
米が韓国にくぎ刺す
韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領は10日、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の妹らと会談し、この中で北朝鮮側から南北首脳会談の開催の提案を受けました。一方、アメリカのペンス副大統領は、ムン大統領に対して日米韓の3か国が連携して北朝鮮への圧力を最大限高める必要性を再び強調していて、改めてムン大統領にくぎを刺した形です。
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韓国のムン・ジェイン大統領は10日、ピョンチャンオリンピックに合わせて韓国を訪れている、北朝鮮の高位級代表団と会談しました。この中でキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の妹、キム・ヨジョン(金与正)氏が、キム委員長の親書をムン大統領に手渡し、近く北朝鮮を訪問するよう要請したうえで、ピョンヤンでの南北首脳会談の開催を提案しました。
これに対してムン大統領は、訪朝するには北朝鮮とアメリカが早期に対話する必要があるとの考えを伝えたということです。
これについて、アメリカのペンス副大統領は、オリンピックの会場でムン大統領から会談の内容について若干説明を受けたとしたうえで、ムン大統領との間で日米韓の3か国が連携して北朝鮮への圧力を最大限高める必要性を再度、確認したとしています。
ペンス副大統領は、日米韓3か国の立場に隔たりはないと主張しましたが、北朝鮮が韓国に対して微笑み外交を展開する中、融和的な姿勢が目立つムン大統領に改めてくぎを刺した形です。
一方、アメリカ政府の高官によりますと、ペンス副大統領は、ムン大統領から北朝鮮の高位級代表団との接触を促されていたということですが、米朝の接触はなく、ペンス副大統領は10日夜、オリンピックの会場を発ち、帰国の途につきました。
ムン大統領とキム委員長の妹ら
南北合同チームの初戦観戦
ピョンチャンオリンピック、アイスホッケー女子で、韓国と北朝鮮の合同チームの初戦が行われ、試合は0対8で敗れましたが、韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領と北朝鮮のキム・ヨンナム最高人民会議常任委員長などがそろって観戦し、北朝鮮の応援団の応援などで会場は熱気に包まれました。
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ピョンチャンオリンピック、アイスホッケー女子は、10日から予選リーグがはじまり、韓国と北朝鮮の合同チームは今夜、スイスとの初戦にのぞみ、選手たちは、朝鮮半島が大きく描かれたユニフォームを着て出場しました。
会場では、韓国のムン・ジェイン大統領と北朝鮮のキム・ヨンナム最高人民会議常任委員長、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の妹のキム・ヨジョン(金与正)氏、それに、IOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長がならんで座り、和やかな雰囲気で観戦していました。
試合は、0対8で敗れましたが、そろいの赤いコートを着た北朝鮮の応援団の女性たちが、朝鮮半島が描かれた「統一旗」を振りながら選手たちに声援を送るなど、会場は熱気に包まれていました。
キム委員長 南北首脳会談提案
特使の妹 親書を手渡す
北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長は、韓国に特使として派遣した妹のキム・ヨジョン(金与正)氏を通じて、ムン・ジェイン(文在寅)大統領に南北首脳会談の開催を提案しました。これに対してムン大統領は、訪朝するには北朝鮮とアメリカが早期に対話する必要があるという考えを伝えました。
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韓国のムン・ジェイン大統領は10日、ピョンチャンオリンピックに合わせて韓国を訪れている北朝鮮のキム・ヨンナム最高人民会議常任委員長やキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の妹、キム・ヨジョン氏などからなる高位級代表団と、ソウルの大統領府で会談しました。
韓国大統領府の当局者によりますと、会談でキム・ヨジョン氏は「私はキム委員長の特使として訪問した」と述べたうえで、南北関係改善への意志を示した兄のキム委員長の親書をムン大統領に手渡し、近く北朝鮮を訪問するよう要請したということです。
さらに、昼食の席で、キム・ヨジョン氏は、ムン大統領に、「早くピョンヤンでお目にかかりたい。大統領がキム委員長と会って多くの問題で意見を交換すれば、北と南の関係は速やかに改善するでしょう」と述べ、ピョンヤンでの南北首脳会談を提案しました。
これに対して、ムン大統領は「今後、環境を整えて実現させよう」と前向きな考えを示したものの、「南北関係の発展のためには北とアメリカが早期に対話することが必要だ」と述べ、米朝間の対話がなければ、直ちに訪朝することは難しいという考えを示しました。
ただ、大統領府の当局者によりますと、会談では核問題についての言及はなかったということです。
また、北朝鮮側は、オリンピックとパラリンピックの期間中は実施が見送られた米韓の合同軍事演習について言及せず、3時間近くに及んだ会談は、時折、冗談も飛び交う穏やかな雰囲気で進んだということです。
「対話のための対話 意味ない」
小野寺防衛大臣は佐賀市で記者団に対し、「北朝鮮が核・ミサイル開発の政策方針を変えることが大前提で、対話のための対話はあまり意味がない。過去、日本も韓国も、あるときには北朝鮮の融和的な政策に乗ってしまって、結果として、その間、北朝鮮が核・ミサイル開発を継続し今に至っている。この反省は当然、韓国も日本もアメリカも十分認識していると思うので、韓国政府もしっかりした対応を取られると思う」と述べました。
米国 北の“本気度”見極めへ
北朝鮮が韓国に南北首脳会談の開催を提案したことについて、アメリカのトランプ政権は、これまでのところ反応を出していませんが、北朝鮮との対話は、朝鮮半島の非核化に向けた対話でなければならないというのがアメリカの立場です。
ただ、北朝鮮はこれまで非核化に向けた対話には応じない姿勢を示していて、トランプ政権としては、北朝鮮を対話の場へと引き出すため、最大限の圧力をかけ続けていく構えです。
また、トランプ政権は、ピョンチャンオリンピックのタイミングをとらえた、北朝鮮による融和ムードの演出や微笑み外交によって日米韓3か国の足並みが乱れ、圧力が緩むことを強く警戒しています。
このため、トランプ政権としては、10日行われた南北の会談を受けて、北朝鮮がどこまで本気で挑発行為の停止や非核化に向けた具体的な措置を考えているのかムン・ジェイン政権と連携して見極めていくものと見られます。
韓国 なぜ“いったん留保”?
(1分11秒)
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Q:北朝鮮からの提案にムン・ジェイン大統領は、米朝対話が必要と、いった留保した形ですが、どういう意図があったのでしょうか?
A:そもそも、ムン大統領が、核やミサイル開発を加速する北朝鮮と積極的に対話を進めようとしているのは、「南北の対話は、核問題の平和的な解決に向けた米朝対話に資する」という、大義名分があると考えているためです。
それだけに、オリンピックの開幕前日に軍事パレードを実施するなど、北朝鮮が核やミサイルの問題でアメリカへの挑発姿勢ばかり見せているようでは、訪朝の誘いには乗れないと指摘した形です。
ただ、ムン大統領は、きょうの会談でも前回2007年の南北首脳会談を懐かしそうに振り返るなど、本音ではピョンヤンを訪問したいのは明らかでして、今後も、外交面では、北朝鮮との関係改善とアメリカや日本との連携の間で難しいバランスを迫られそうです。
狙いは米韓同盟の分断
(2分44秒)
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Q:北朝鮮側から南北の首脳会談を提案しましたが、その狙いはどこにあるのでしょうか?
A:北朝鮮は、最大限の圧力をかけ続けるとするアメリカに対し、オリンピック開幕前日に行った軍事パレードに大陸間弾道ミサイル級の「火星15型」を初めて登場させるなど、強硬姿勢を崩していません。
これとは対照的に、韓国に対しては、年明け以降、「同じ民族どうし」というフレーズを繰り返し強調して、対話攻勢を仕掛けています。キム委員長が妹を、みずからの特使として親書を持たせて派遣したのも、関係改善への「本気度」をアピールするためだろうと思います。
そこに、米韓同盟の分断を図る狙いがあるのは間違いありません。南北の融和ムードを最大限盛り上げて、ムン・ジェイン政権、そして韓国国民をみずからの側に取り込みたいという思惑がうかがえます。
ピョンチャンオリンピックの成功を最優先に掲げるムン政権の足もとを見透かして、一連の経済制裁の骨抜きまで図ろうとしているという印象です。
Q:融和ムードの一方で、北朝鮮はアメリカには対決姿勢を見せています。今後の出方は変わるの
でしょうか?
A:トランプ大統領は先月、ムン大統領と電話で会談した際、「南北対話が進んでいる間は、いかなる軍事的な行動も取らないだろう」と述べていました。
これを踏まえて、北朝鮮としては南北対話を加速させ、4月に延期された米韓合同軍事演習を完全中止に追い込みたいところです。
「核武力は命であり、取り引きの材料ではない」と主張する北朝鮮が、現時点で核・ミサイル開発の放棄に応じる可能性は極めて低く、米朝対立の構図に根本的な変化はありません。
北朝鮮としては、建国70年のことし9月までに、「火星15型」の通常軌道での発射実験を行って、大気圏への再突入技術などを確立する。そして、アメリカに「対等な核ミサイル保有国なのだ」と認めさせたいのだろうと思います。
アメリカ政府は、「あと数か月」で、北朝鮮がアメリカ本土を攻撃できる能力を獲得するという見方も示しています。
韓国への対話攻勢には、核・ミサイル開発の時間を稼ぐ狙いもあると見られます。待ったなしの状況に変わりはなく、日米韓3か国の緊密な連携がますます求められています。
韓国は北朝鮮を厚遇
米は北朝鮮を非難 違い際立つ
ピョンチャンオリンピックの開幕に合わせてキム・ヨジョン(金与正)氏ら北朝鮮の代表団が9日、韓国入りし、ムン・ジェイン(文在寅)大統領が厚くもてなしたのに対し、アメリカのペンス副大統領は北朝鮮を厳しく批判するなど、米韓の姿勢の違いが際立っています。
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北朝鮮は9日、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の妹、キム・ヨジョン氏を含む高位級代表団を韓国に派遣しました。
これを「朝鮮半島の緊張緩和に向けた北の意志だ」と高く評価するムン・ジェイン大統領は、オリンピック開幕に先立つレセプションでみずからと同じテーブルに代表団を率いるキム・ヨンナム(金永南)最高人民会議常任委員長の席を配置し、穏やかな雰囲気で乾杯しました。さらに、大会の開会式でムン大統領は、すぐ後ろに座ったキム・ヨジョン氏と何度か握手をして言葉を交わすなど厚くもてなしました。
ムン大統領はヨジョン氏らを10日、ソウルの大統領府に招いて昼食会を催すという異例の対応を取ることにしていて、南北関係や核問題についてどのような話し合いが行われるか注目されます。
一方、アメリカのペンス副大統領はオリンピックの開会式を前に北朝鮮から逃れた脱北者たちと面会し「北朝鮮は自国民を困窮させ、投獄し、拷問する政権だ」と厳しく非難したうえで、圧力を最大限に強める姿勢を強調しました。
さらに、ペンス副大統領はムン大統領主催のレセプションも5分ほどで退席し、会場にいた北朝鮮のキム・ヨンナム常任委員長と握手をすることもなかったなど、北朝鮮をめぐる米韓の姿勢の違いが際立っています。
統一旗を掲げ合同入場行進
ピョンチャンオリンピックの開会式では、韓国と北朝鮮の選手が、朝鮮半島が描かれた統一旗を掲げて合同で入場行進し、式に出席したキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の妹、キム・ヨジョン(金与正)氏も選手団に向けて拍手をしたり、手を振ったりして、南北融和のムードを盛り上げました。
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92の国と地域などが参加するピョンチャンオリンピックは開会式が行われ、韓国と北朝鮮の選手団の合わせて、およそ200人が合同で入場行進しました。
国歌ではなく、朝鮮半島の民謡「アリラン」が流れる中、選手たちは、そろいの白いコートに身を包み、朝鮮半島が描かれた統一旗を掲げて会場を行進しました。
行進の旗手は、韓国と北朝鮮の女子アイスホッケーの合同チームに参加している北朝鮮の選手と韓国のボブスレー男子の選手が務め、2人は手を携えて、旗を大きく振って、歩いていました。
会場には、北朝鮮から開会式に合わせて派遣された、高位級代表団のキム・ヨンナム最高人民会議常任委員長とキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の妹、キム・ヨジョン氏も出席しました。
このうちキム・ヨジョン氏は、会場に入ったムン・ジェイン(文在寅)大統領と笑顔で握手したうえで、短く言葉を交わし、大統領のすぐ後ろの席に座って開会式を観覧しました。
そして、南北の選手団が合同で入場行進すると、キム常任委員長とももに、座席から立ち上がって拍手をしたり、手を振ったりして、南北融和のムードを盛り上げました。
高位級代表団 韓国に到着
南北融和ムード印象づける
ピョンチャンオリンピックの開幕に合わせて、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の妹、キム・ヨジョン(金与正)氏を含む高位級代表団が9日午後、韓国に到着しました。歓迎レセプションや開会式に出席して、南北の融和ムードを印象づけました。
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北朝鮮のキム・ヨンナム最高人民会議常任委員長が率いる高位級代表団は、9日午後、専用機でソウル近郊のインチョン(仁川)空港に到着しました。
高位級代表団には、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の妹、キム・ヨジョン(金与正)氏が含まれており、北朝鮮の最高指導者の肉親として初めて韓国を公式訪問しました。
一行を出迎えた韓国のチョ・ミョンギュン統一相は、空港の応接室で、「数日前まで寒かったが、北から大切なお客さまが来るのに合わせて、天気も暖かくなったようだ」と述べました。これに対して、キム常任委員長は「東方礼儀の国として知られていることは、わが民族の誇りだ」と応じました。
このあと一行は、高速鉄道でオリンピックの会場があるピョンチャンへ移動し、ムン・ジェイン(文在寅)大統領が主催した歓迎レセプションの会場では、キム常任委員長がムン大統領と笑顔で握手を交わしたほか、開会式にも出席し、南北の融和ムードを印象づけました。
北朝鮮の代表団は、10日午前11時からソウルの韓国大統領府で、ムン大統領と面会し、そのあと昼食をともにする予定です。大統領府によると、キム・ヨジョン氏も出席するということで、韓国メディアの間では、キム委員長からのメッセージが伝達されるのではないかという見方も出ています。
北朝鮮幹部に日本の考え伝える
安倍総理大臣はピョンチャンオリンピックの開会式を前に開かれたレセプションで、北朝鮮の高位級代表団を率いるキム・ヨンナム最高人民会議常任委員長と短時間、言葉を交わし、拉致問題や核・ミサイル開発に関する日本側の考えを伝え、前向きな対応を求めました。安倍総理大臣は9日夜遅く、記者団に対し、「中身については詳細は申し上げられないが、従来からのわれわれの考え方を伝えた」と述べました。
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韓国を訪れている安倍総理大臣は9日夜、ピョンチャンオリンピックの開会式に先立って会場近くのホテルで開かれたムン・ジェイン(文在寅)大統領主催のレセプションに、アメリカのペンス副大統領らとともに出席しました。
安倍総理大臣はレセプションの終わり間際に、同じテーブルに着いた北朝鮮の高位級代表団を率いるキム・ヨンナム最高人民会議常任委員長と握手し、通訳のみを交える形で5分程度、言葉を交わしました。
この中で、安倍総理大臣は、北朝鮮による拉致問題や核・ミサイル開発を取り上げて、懸念など日本側の考えを伝え、前向きな対応を求めました。
安倍総理大臣はピョンチャン・オリンピックの開会式に出席したあと宿泊先のホテルで記者団に対し、「中身については詳細は申し上げられないが、従来からのわれわれの考え方を伝えた」と述べました。
キム・ジョンウン(金正恩)体制下の北朝鮮幹部と安倍総理大臣が言葉を交わしたのは初めてです。
キム・ヨンナム氏とは
キム・ヨンナム最高人民会議常任委員長は、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長を含めて5人いる党の政治局常務委員の1人です。
1928年生まれで、北朝鮮の建国後、モスクワへの留学を経て、党の国際関係の部署で要職を歴任し、1998年まで15年間にわたって外相を務めました。その後は、最高人民会議の常任委員長に就任し、90歳となった現在も、外国や国際機関の要人などとの会談をこなしています。
キム氏は、2008年の北京オリンピックや2014年のソチオリンピックの開会式に出席した経験があります。
また、キム委員長が出席する行事に同席することが多く、8日、ピョンヤン中心部の広場で行われた、軍の創設70年を記念する軍事パレードでも、キム委員長とともに広場を見下ろすバルコニーに並んでいました。
南北融和と軍事パレード
狙いは米韓同盟に揺さぶり
北朝鮮は、ピョンチャンオリンピックが開幕する9日、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の妹を含む高位級代表団を韓国に派遣して、南北の融和ムードを演出する一方、アメリカに対しては軍事パレードで対決姿勢を強調していて、米韓同盟に揺さぶりをかけていると見られます。
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ピョンチャンオリンピックの開幕に合わせて北朝鮮の高位級代表団は、9日午後1時半、専用機でソウル郊外のインチョン(仁川)空港に到着します。
代表団には、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の妹、キム・ヨジョン(金与正)氏が含まれ、北朝鮮の最高指導者の肉親が韓国を公式訪問するのは、今回が初めてです。
また、北朝鮮はオリンピックに合わせて芸術団や応援団などを派遣し、8日夜は、「サムジヨン管弦楽団」が公演を行って、南北の融和ムードを演出しました。
一方で、北朝鮮は、軍の創設記念日を変更して、8日、ピョンヤン中心部の広場で軍事パレードを実施し、キム委員長は「侵略者がわが国の自主権を0.001ミリも侵すことができないようにしなければならない」と演説しました。
そして、「アメリカ本土全域を攻撃できる」と主張するICBM=大陸間弾道ミサイル級の「火星15型」など、去年、初めて発射した弾道ミサイルの数々を登場させて、アメリカ・トランプ政権をけん制しました。
北朝鮮は、南北の関係改善に向けた姿勢を示して融和ムードを演出しているのとは対象的に、トランプ政権に対しては核・ミサイル開発の進展ぶりを誇示して対決姿勢を強調していて、米韓同盟に揺さぶりをかけていると見られます。
北朝鮮芸術団が公演
南北融和を演出
9日開幕を迎えるピョンチャンオリンピックに合わせて、韓国に派遣された北朝鮮の芸術団の公演が競技会場があるカンヌン(江陵)で行われ、午後10時前に終了しました。公演では韓国で一世をふうびした曲が演奏され、南北融和の雰囲気が演出されました。
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ピョンチャンオリンピックに合わせて今週、韓国に派遣された、「サムジヨン(三池淵)管弦楽団」の140人余りで構成される芸術団の公演は、午後8時すぎから、スケート競技などが行われるカンヌンで始まりました。
公演では冒頭、司会者が「別れた親、兄弟たちと再会したかのように感激しています。一つの民族という熱い思いを抱えてこの席を共にしています」と述べました。
そのうえで「私たちは、今回のオリンピックを民族の慶事として、お祝いするためにカンヌンに来ました。統一の新時代が来ることを願いながら、公演を始めます」とあいさつをしました。
会場には、800席余りが用意され、「会えてうれしい」という意味の「パンガプスムニダ」という北朝鮮の歌のほか、韓国で1980年代に一世をふうびした女性歌手の歌が演奏されるなど、南北融和の雰囲気が演出されました。
公演終了直後には観客からアンコールを求める声が上がりましたが、アンコールの演奏はなかったということで、午後10時前に終了しました。
公演を観覧した30代の男性は「北の芸術団がこんなにパワフルな公演をするとは思わず、元気をもらった。こういった機会が今後も増えればいい」と話していました。
北朝鮮が軍事パレード
キム委員長「戦闘準備に拍車を」
北朝鮮は、8日、軍の創設70年を記念する軍事パレードを実施し、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長は、「侵略者がわが国の自主権を0.001ミリも侵すことができないようにしなければならない」と演説しました。ICBM=大陸間弾道ミサイル級の「火星15型」も登場させて、核・ミサイル開発でアメリカに一切譲歩しない姿勢を鮮明にしました。
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北朝鮮は8日午前、ピョンヤン中心部のキム・イルソン(金日成)広場で軍の創設70年を記念する軍事パレードを実施し、国営テレビは、8日夕方、その模様を放送しました。
北朝鮮の軍事パレードは、去年4月以来、およそ10か月ぶりで、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長は演説で、「きょうの軍事パレードは、世界的な軍事強国に発展したわが国のイメージを誇示することになる」と述べました。そのうえで、「アメリカとその追従勢力が朝鮮半島周辺で騒ぎ立てている情勢下で、軍は高度の臨戦状態を維持し、戦闘準備に拍車をかけるべきだ。侵略者がわが国の自主権を0.001ミリも侵さないようにしなければならない」と述べ、アメリカへの対決姿勢を強調しました。
軍事パレードでは、SLBM=潜水艦発射弾道ミサイルを地上配備型に改良した、中距離弾道ミサイル「北極星2型」や、ハワイとアラスカを射程に収めていると主張する中距離弾道ミサイル「火星12型」、それに、ICBM級の「火星14型」が登場しました。
そして、最後に、片側9輪の移動式発射台に搭載された、新型のICBM級の「火星15型」が登場しました。「火星15型」は、北朝鮮が去年11月に発射実験を行い、「アメリカ本土全域を攻撃できる」と主張した二段式の弾道ミサイルで、軍事パレードに登場するのは、今回が初めてです。
これらの弾道ミサイルはいずれも去年、初めて発射した新型で、北朝鮮としては、核・ミサイル開発でアメリカに一切譲歩しない姿勢を鮮明にした形です。
新型"ICBM"量産誇示か
(2分23秒)
北朝鮮が今回行った軍事パレードについて、軍事情勢に詳しい未来工学研究所の小泉悠特別研究員は、NHKのインタビューに対し、新型のICBM=大陸間弾道ミサイル級の「火星15型」を複数、公開するなど、ミサイル技術の進展ぶりをアピールする狙いがあったという見方を示しました。
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この中で小泉氏は、北朝鮮の国営テレビが放送した映像で、軍事パレードの最後に登場した「火星15型」が4発同時に映っていた点に注目し、「去年11月の初めての発射から短期間で、少なくとも4発も用意している。長距離ミサイルが単発の実験のためではなく、ある程度、量産できていることを示している」と指摘しました。
そのうえで、今回の軍事パレードの思惑については、「目新しい新型の弾道ミサイルはなく、技術的に模索しているというよりも、ある程度、自分たちの技術に自信を持っている、あるいは持っていると見せる技術的成果を誇示している」と述べ、ミサイル技術の進展ぶりを内外にアピールする狙いがあったという見方を示しました。
五輪開幕前 なぜ強行?
(56秒)
北朝鮮が8日行った軍事パレードについて、海上自衛隊の元海将は、新しいミサイルが見られなかったことなどから従来より抑制的な内容だったと指摘しています。
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海上自衛隊の元海将で金沢工業大学虎ノ門大学院の伊藤俊幸教授は、北朝鮮の軍事パレードについて、「国際社会が北朝鮮に対してかけている『核とミサイルを放棄しろ』という圧力に対して、それは諦めない、つくり続けるということを伝える狙いがある」と指摘しています。
その一方で、「従来のパレードは外国の特派員を呼んで、外にアピールする狙いが見られたが、今回はそれをしていない。融和ムードに対する一定の配慮や、オリンピックの成功に協力するという配慮もあるかもしれない」と指摘しています。
また、今回のパレードでは去年11月に発射したICBM級の新型の弾道ミサイル「火星15型」などが登場しましたが、伊藤教授は、「去年、実験に成功したものを順番に見せていて、目新しいものはなかった。一定の能力は持ったということをアピールしているが、従来のあおるような動きは見られず、淡々と見せている。これからもっとすごいことをやるということを表現しているわけではないのである意味で抑制的な内容という言い方もできると思う」と話しています。
対北 圧力を最大限に
米、近く新たに独自制裁
アメリカのペンス副大統領は、安倍総理大臣との共同記者発表で、9日開幕するピョンチャンオリンピックに向けた韓国と北朝鮮の融和ムードに惑わされてはならないと強調したうえで、北朝鮮に対する圧力を最大限まで高めていくため、近くアメリカの新たな独自制裁を発表する考えを明らかにしました。
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アメリカのペンス副大統領は安倍総理大臣との会談のあと7日夕方共同記者発表に臨みました。
この中でペンス副大統領は9日開幕するピョンチャンオリンピックについて「われわれは北朝鮮が宣伝工作によってオリンピックのイメージを乗っ取ることを許さない。過去のオリンピックでも南北は合同で入場行進を行ってきたが、その後も北朝鮮は脅迫と挑発行為を繰り返してきた」と述べて、南北の融和ムードに惑わされてはならないと強調しました。
そのうえで「われわれは、北朝鮮が非核化に向けて具体的な措置を取るまで最大限の圧力をかける取り組みを強化していく」と述べ、国際社会に対し、北朝鮮に対する圧力を強化していくことが重要だと呼びかけました。
そして「アメリカは、これまでで最も厳しく強力な経済制裁をまもなく明らかにする」と述べて、近くアメリカの新たな独自制裁を発表する考えを明らかにしました。
またペンス副大統領は「アメリカはできるだけ早く最新の防衛システムを日本に提供するため準備を進めている。日本を防衛するために、アメリカ軍はあらゆる面で関与し続ける」と述べ、北朝鮮の脅威などに備えて日本に引き続き軍事装備品の売却を進める意向を示しました。
米韓演習 4月から実施か
ピョンチャンオリンピックとパラリンピックの期間中は実施が見送られたアメリカと韓国の合同軍事演習に関して、韓国に駐在するアメリカの代理大使は「4月から実施する」と明言し、さらなる延長は米韓の間で検討されていないことを明らかにしました。
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ソウルに駐在するアメリカのナッパー代理大使は、アメリカ政府系メディアに7日掲載されたインタビューで、北朝鮮がピョンチャンオリンピック開幕の前日に当たる8日、軍事パレードを行うと見られていることについて「オリンピック精神に反する」と批判しました。
そのうえで、米韓両国がオリンピックとパラリンピックの期間中は実施を見送った定例の合同軍事演習に関して「オリンピック精神に基づいて延期したが、4月から正常に実施される」と述べ、例年と同じ程度の規模で4月から行われると明言しました。
また「演習のそれ以上の延期は現在議論されていない」とも述べ、演習をさらに延ばしたり中止したりする可能性には否定的な考えを示しました。
北朝鮮はパラリンピックのあとに演習を実施する方針のトランプ政権を繰り返し批判し、7日付けの朝鮮労働党機関紙「労働新聞」も論評で「朝鮮半島の緊張を緩和し、平和的な環境を整えるためのわれわれの誠意と努力に対する真っ向からの挑戦だ」と反発しています。そのうえで「演習を再開するならば、朝鮮半島情勢は再び重大で破局的な状態に戻るほかない」と強く非難しました。
北朝鮮の高位級代表団
キム委員長の妹もメンバー
韓国政府は、9日にピョンチャンオリンピックが開幕するのに合わせて北朝鮮が韓国に送る高位級代表団のメンバーとして、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の妹で党中央委員会の第1副部長を務めるキム・ヨジョン(金与正)氏が派遣されると発表しました。
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これは韓国統一省が7日発表したもので、9日にピョンチャンオリンピックが開幕するのに合わせて北朝鮮が韓国に送るキム・ヨンナム最高人民会議常任委員長率いる高位級代表団のメンバーとして、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の妹で党中央委員会の第1副部長を務めるキム・ヨジョン氏が派遣されると通知してきたということです。
このほか高位級代表団には、国家体育指導委員長を務めるチェ・フィ副委員長と、韓国との窓口機関である祖国平和統一委員会のリ・ソングォン委員長も含まれるとしています。
ただ今回のメンバーのうちキム・ヨジョン氏については、アメリカ政府が去年1月、人権侵害に関わっているとして独自の制裁対象に指定し、チェ氏は去年6月に採択された国連安全保障理事会の決議で制裁対象に指定され、国連加盟国への渡航が禁止されていますが、これについて韓国政府は立場を明らかにしていません。
大会に合わせて韓国政府は、北朝鮮の貨客船マンギョンボン(万景峰)92号について、独自の制裁措置で禁じている韓国への入港を「例外措置」として認めたほか、国連安保理の制裁決議で北朝鮮への石油精製品の輸出が制限されている中、北朝鮮側から油の提供を求められていることを明らかにしており、関係国の間で懸念が強まることも予想されます。
韓国大統領府は歓迎
北朝鮮が9日に韓国に派遣する高位級代表団のメンバーを通知したことを受け、韓国大統領府の報道官は7日、声明を発表し「オリンピックを祝うとともに朝鮮半島の緊張を緩和しようという北の意志が込められていると評価する。特にキム・ヨジョン氏はキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の妹であり、党で重要な役割を担っていて、その意味はより大きいと言える」として歓迎する姿勢を示しました。
そのうえで「韓国政府としては、代表団が滞在する間、不便がないようにしっかりと準備する」と強調しましたが、キム・ヨジョン氏がアメリカ政府の独自の制裁対象に指定されていることなどには言及しませんでした。
キム・ヨジョン氏とは
キム・ヨジョン氏はキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の妹です。年齢は30歳前後と見られ、かつてキム委員長と一緒にスイスに留学した経験があるとされています。
初めて公の場に現れたのは父親のキム・ジョンイル(金正日)総書記が死去した2011年12月で、党や軍の幹部たちよりも前に立ってひつぎに一礼する姿が国営テレビで確認されました。
2014年には国営メディアを通じて党の副部長の肩書で紹介され、その後体制の宣伝や思想教育を統括する宣伝扇動部の副部長に就任したことが判明しました。
おととしの党大会では129人いる中央委員の1人に選出され、市民パレードを観覧するキム委員長に親しげに話しかける様子が見られたのに続いて、最高人民会議に代議員として出席しました。
去年4月、首都ピョンヤンの高層ビルが建ち並ぶ通りのしゅんこう式では、キム委員長に同行したキム・ヨジョン氏をNHKの取材班が撮影しました。
去年10月に開かれた党の中央委員会総会では政治局員候補に抜てきされるなどその存在感を増し、今回北朝鮮側がキム・ヨジョン氏の肩書を党中央委員会の第1副部長だと伝えてきたことから、宣伝扇動部の第1副部長に昇格したと見られます。
韓国での公演を予定している芸術団が5日、ピョンヤンを出発した際の映像が6日、国営テレビで放送された際、一行を見送るキム・ヨジョン氏の姿が映り込んでいました。
一方、アメリカ政府は去年1月、キム・ヨジョン氏が人権侵害に関わっているとして、独自の制裁対象に指定しています。
チェ・フィ氏とは
チェ・フィ氏は朝鮮労働党で体制の宣伝や思想教育を統括する宣伝扇動部の第1副部長を務め、2015年、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の肝煎りで結成された女性音楽グループ「モランボン(牡丹峰)楽団」を率いて中国の北京を訪問し、中国共産党の高官と会談しました。
チェ氏は去年10月に開かれた党の中央委員会総会で副委員長に就任し、去年12月にはキム委員長の最側近であるチェ・リョンヘ副委員長に代わって国家体育指導委員会のトップに就いたことも国営メディアの報道で確認されていました。
しかしチェ氏は去年6月に採択された国連安全保障理事会の制裁決議で制裁対象に指定され、国連加盟国への渡航が禁止されており、ピョンチャンオリンピックに合わせて韓国を訪れるのは難しいのではないかという見方も出ていました。
リ・ソングォン氏とは
リ・ソングォン氏は軍出身の高官で、2004年以降、主に南北の軍当局による会談で韓国との交渉を担ってきた人物です。
リ氏をめぐっては強硬派だという見方もあり、韓国メディアは、2010年に相次いで起きた韓国の哨戒艦沈没事件やヨンピョン(延坪)島砲撃に深く関わったとされている朝鮮労働党のキム・ヨンチョル統一戦線部長の信頼が厚いと伝えています。
2011年に行われた南北の軍当局による実務協議では、リ氏が哨戒艦沈没事件について「われわれとは無関係だ」と声を荒らげ、退席したと報じられています。
おととし12月、北朝鮮の国営メディアはリ氏について、韓国との窓口機関である祖国平和統一委員会の委員長の肩書で初めて紹介し、去年4月の最高人民会議では19年ぶりに復活した外交委員会のメンバーにも選ばれました。
リ氏は先月3日、祖国平和統一委員会のトップとして、軍事境界線にあるパンムンジョム(板門店)の韓国との連絡チャンネルの再開を発表し、先月9日の南北閣僚級会談では北朝鮮側の首席代表を務め、ピョンチャンオリンピックへの北朝鮮の参加などで韓国側と合意しました。
応援団も韓国入り
"南北融和"演出の動き活発に
ピョンチャンオリンピックを前に北朝鮮の応援団やテコンドーの演武団など280人が新たに韓国に到着しました。大会に向けて、これまでに470人余りが北朝鮮から韓国入りするなど、南北の融和を演出する動きが活発になっています。
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9日開幕するピョンチャン(平昌)オリンピックを前に、北朝鮮の応援団のほかテコンドーの演武団や記者団、合わせて280人が陸路で韓国に入り、7日午後3時半ごろ、ピョンチャンの北にあるインジェ(麟蹄)の宿泊先に到着しました。
バスから降りてきたそろいの赤いコートを着た女性たちの中には、笑みを浮かべながら手を振る姿も見られました。
およそ230人の応援団について、大会期間中、北朝鮮だけでなく韓国の選手も応援するかどうか、北朝鮮と韓国の間で協議されています。
また8日公演を行う芸術団は、7日は午前と午後2度にわたってカンヌン(江陵)の会場を訪れ、本番に向けて最後の調整を行ったものと見られます。
韓国の統一省によりますと、オリンピックに向けて北朝鮮から22人の選手や競技関係者、応援団など、これまでに473人が韓国入りしたということです。
9日には高位級の代表団の一員としてキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の妹で党中央委員会の第1副部長を務めるキム・ヨジョン(金与正)氏が韓国を訪れることも発表され、4年に1度の大会に合わせて南北の融和を演出する動きが活発になっています。
北朝鮮の芸術団 船で到着
韓国が例外措置
ピョンチャンオリンピックに合わせて北朝鮮から派遣された芸術団を乗せた船が6日夕方、韓国東部の港に到着しました。韓国政府は北朝鮮船舶の自国への入港を独自の制裁で禁じていますが、今回、例外措置として認めた形です。
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北朝鮮が派遣した芸術団を乗せた船は6日午後5時ごろ、ピョンチャンオリンピックで氷上競技が行われる韓国東部のカンヌン(江陵)から南東におよそ40キロ離れたトンヘ(東海)の港に到着しました。
一行を乗せた船は、日本と北朝鮮の間を往来した貨客船マンギョンボン(万景峰)92号で、韓国政府は北朝鮮船舶の自国への入港を独自の制裁で禁じていますが、今回、例外措置として認めた形です。
港では大勢の警察官が厳重な警備に当たり、北朝鮮の船の入港に反対する人たちが、韓国の国旗を掲げて抗議の声を上げるなど、ものものしい雰囲気に包まれました。
今回、派遣された芸術団は、ヒョン・ソンウォル団長らに率いられ、「サムジヨン(三池淵)管弦楽団」の140人余りで構成されていて、オリンピック開幕前日の8日にカンヌンで、11日には首都ソウルで公演を行う予定です。
7日には、応援団やテコンドーの演武団などおよそ280人が韓国に入るのに続いて、開会式が行われる9日にはキム・ヨンナム最高人民会議常任委員長を団長とする高位級の代表団が韓国を訪れることになっていて、オリンピックに合わせ北朝鮮から韓国への訪問が相次ぎます。
“なぞ”のサムジヨン管弦楽団
「サムジヨン(三池淵)管弦楽団」はおよそ140人で構成され、団長は、ヒョン・ソンウォル氏が務めています。ヒョン・ソンウォル氏の年齢は公表されていませんが40歳前後と見られ、先月15日に行われた南北の局長級の実務協議にも出席しました。
韓国メディアは、ヒョン氏について、「キム(金正恩)委員長の元恋人ではないか」などといった臆測を伝えたこともあります。
韓国の統一省によりますと、サムジヨン管弦楽団の公演は90分ほどで、北朝鮮は、韓国側の歌も多く含まれていると伝えてきたということです。
サムジヨン管弦楽団について、詳しいことはわかっていませんが、「サムジヨン」は、北朝鮮北部のペクトゥ(白頭)山のふもとの地名で、北朝鮮では、かつてキム・イルソン(金日成)主席が抗日闘争を繰り広げた場所とされ、「革命の聖地」と位置づけられています。
また、北朝鮮には「サムジヨン楽団」と呼ばれる楽団があり、ピョンヤン(平壌)の音楽大学の出身者などからなるメンバーが管弦楽器を中心に演奏を行います。
北朝鮮の国営テレビは、去年1月、この楽団が新年の祝賀公演で、ディズニー映画の曲を演奏する様子を放送し、ステージ上のスクリーンにアニメの映像も映し出され、話題になりました。
ピョンチャンオリンピックに合わせて韓国に派遣されることになった「サムジヨン管弦楽団」が、この「サムジヨン楽団」と同一の団体なのかどうかは、現時点ではっきりしていません。
港で反対集会
「あまりにも融和的」
北朝鮮から派遣された芸術団を乗せた船の入港に反対する人たちの集会が港で開かれ、これを制止しようとした警察ともみ合いになり、現場は一時騒然としました。集会であいさつした代表者は「ムン・ジェイン(文在寅)政権は、アイスホッケー女子の南北合同チームを結成させるなど、あまりにも北に融和的すぎる」と批判していました。また、集まった人たちは韓国の国旗やアメリカの星条旗を手に掲げ、米韓同盟の強化などを訴えていました。
北朝鮮代表団との接触
可能性を否定せず
ピョンチャンオリンピックの開会式に出席するアメリカのペンス副大統領は、オリンピックに向けた韓国と北朝鮮の融和ムードが北朝鮮の脅威を覆い隠すことがあってはならないと強調する一方、オリンピックの場での北朝鮮代表団との接触について可能性を否定しませんでした。
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6日夜、日本に到着する予定のアメリカのペンス副大統領は5日、アラスカ州で記者団に対して、ピョンチャンオリンピックに先立ち日本の安倍総理大臣と韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領とそれぞれ会談することで、「同盟国との結束を確認する」と述べました。
そのうえで、「オリンピックで韓国と北朝鮮の間でどのような協力関係があっても北朝鮮の政権の現実が覆い隠されてはならない。世界は、北朝鮮による人々への抑圧や人権無視、それに核やミサイルなどの脅威について聞く必要がある」と強調しました。
その一方で、ペンス副大統領はオリンピックの場での北朝鮮代表団との接触について問われると、「トランプ大統領は、常に対話を信じている。自分は会談を求めていないが、何が起きるか見てみる」と述べ、接触の可能性を否定しませんでした。
北朝鮮はピョンチャンオリンピックに最高人民会議のキム・ヨンナム常任委員長を団長とする高位級の代表団を派遣する計画を韓国側に伝えていて、アメリカとの間で接触があるのか関心を集めそうです。
対北 ミサイル防衛強化へ
6日から日本を訪れる予定のアメリカのペンス副大統領は、日本訪問に先立ちアラスカ州のアメリカ軍基地を視察し、北朝鮮の脅威に対抗するためミサイル防衛システムを一段と強化していく考えを示しました。
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今週開幕するピョンチャンオリンピックの開会式に出席するペンス副大統領は5日、日本に向かう途中、給油のためアラスカ州に立ち寄り、アメリカ軍基地を視察しました。
アラスカ州には北朝鮮の弾道ミサイルを撃ち落とすための地上配備型の迎撃ミサイルが配備されていて、ペンス副大統領は、アメリカが進めているミサイル防衛システムについて説明を受けました。
このあとペンス副大統領は記者団に対して、「北朝鮮による挑発行為と弾道ミサイルの脅威が増す中、ミサイル防衛はかつてなく重要になっている」と述べ、ミサイル防衛システムの重要性を強調しました。
そのうえで、アラスカ州に現在40基配備されている迎撃ミサイルの数を今後さらに増やす方針を明らかにし、北朝鮮の脅威に対抗してミサイル防衛システムを一段と強化していく考えを示しました。
ペンス副大統領は日本時間の6日夜、専用機で東京の横田基地に到着する予定で、7日、安倍総理大臣と会談して北朝鮮情勢について協議することにしています。
北朝鮮 仮想通貨を奪ったか
被害は数十億円分
韓国の情報機関は5日、北朝鮮が去年、韓国の仮想通貨取引所にサイバー攻撃を行い、数百億ウォン(数十億円)相当の仮想通貨を奪ったと、国会で報告しました。
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これは、韓国の公共放送KBSが伝えたもので、韓国の情報機関、国家情報院は、去年、韓国の仮想通貨取引所が少なくとも4回、サイバー攻撃に遭っていて、そのうちの一部に北朝鮮が関与していたことを確認したとしています。
そのうえで、仮想通貨取引所やその顧客に不正なプログラムなどを組み込んだメールを送って、パスワードなどを盗み出し、数百億ウォン相当の仮想通貨を奪ったと明らかにしました。
また、先月、日本の大手取引所「コインチェック」から580億円相当の仮想通過が流出した事件についても、北朝鮮が関与していると見られると国家情報院が報告したということです
五輪開幕前日の軍事パレード
兵士1万2000人動員か
韓国の情報機関は、北朝鮮がピョンチャンオリンピックの開幕前日に実施すると見られる軍事パレードに向けて、ピョンヤンの空港でおよそ1万2000人の兵士を動員して予行演習を繰り返していることを明らかにしました。
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韓国の情報機関、国家情報院は5日、国会で非公開の報告を行い、出席した議員に対し、北朝鮮はピョンチャンオリンピックの開幕前日に当たる今月8日に実施すると見られている軍事パレードに向けて、ピョンヤンのミリム空港でおよそ1万2000人の兵士を動員して、予行演習を繰り返していることを明らかにしました。
そして、軍事パレードは関係国の懸念をよそに、予定どおり実施される可能性が高く、弾道ミサイルなどが登場しないか、引き続き監視をしていくとしています。
また、国家情報院は、北朝鮮軍内での思想統制を担い、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の側近の1人とされてきたファン・ビョンソ軍総政治局長が最近、解任され、思想教育を受けているという見方を示したということです。
一方、北朝鮮に対して国連の経済制裁が強化されている中、北朝鮮は去年、中国との貿易でこれまでで最大となる19億6000万ドルの赤字を記録したということで、国家情報院では、中国が国連の制裁決議を比較的厳密に履行している結果と見ています。
芸術団の派遣 貨客船を利用か
韓国 制裁の例外扱い検討
韓国統一省のペク・テヒョン(白泰鉉)報道官は5日午前の定例記者会見で、4日夜、北朝鮮が今月9日に開幕するピョンチャンオリンピックに合わせて派遣する「サムジヨン管弦楽団」の140人余りで構成する芸術団について、貨客船マンギョンボン号で訪問すると通知してきたことを明らかにしました。
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マンギョンボン号は、芸術団の宿泊や食事のためにも使われるということです。韓国政府は、独自の制裁措置として北朝鮮船舶の自国への入港を禁止しています。
ペク報道官は、これに違反するのではないかという記者団の質問に対し、「オリンピックの成功のため、例外措置を検討している」としたうえで、「アメリカなど国際社会と緊密に協議する」と述べて、関係国の理解を求める考えを示しました。
マンギョンボン号は北朝鮮東部のウォンサン(元山)が母港で、かつては新潟との間を往来していましたが、北朝鮮による核実験や弾道ミサイル発射を受け、日本政府が独自制裁の一環として2006年から入港を禁止しています。北朝鮮は、2002年に韓国南部のプサン(釜山)で開催されたアジア大会の際、マンギョンボン号を利用したことがあります。
高位級代表団を韓国に派遣へ
団長はキム常任委員長
北朝鮮は、ピョンチャンオリンピックが開幕する今月9日から最高人民会議のキム・ヨンナム常任委員長を団長とする高位級の代表団を派遣する計画を4日夜、韓国側に伝え、ムン・ジェイン(文在寅)大統領などと会談するのか注目されます。
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韓国統一省によりますと、北朝鮮は、ピョンチャンオリンピックが開幕する今月9日から11日までの日程で最高人民会議のキム・ヨンナム常任委員長を団長とする高位級の代表団を派遣する計画を4日夜、通知してきたということです。
キム常任委員長は、去年のムン・ジェイン政権の発足後、韓国を訪問する北朝鮮の当局者としては最高位のポストにあり、滞在中、韓国のムン・ジェイン大統領や各国の首脳らと会談するのか注目されます。
北朝鮮は、2014年に韓国のインチョン(仁川)で開かれたアジア大会の閉会式に合わせて、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の最側近であるチェ・リョンヘ副委員長を派遣し、南北間の会談も行われました。
韓国と北朝鮮は、先月の閣僚級会談でピョンチャンオリンピックに合わせて北朝鮮が高位級の代表団を派遣することで合意していました。
「行政トップのキム氏派遣」を歓迎
韓国大統領府のキム・ウィギョム(金宜謙)報道官は、5日、「キム・ヨンナム常任委員長らの訪問を歓迎する。北の憲法では行政トップであるキム常任委員長の派遣は、南北関係改善やオリンピックの成功に向けて北が誠意ある姿勢を示したものと評価している」と述べました。
そのうえで、「北とはさまざまな意思疎通の機会を持とうとしており、ムン・ジェイン大統領を含めてどのような会談を行うべきか検討している」と述べ、ムン大統領がキム常任委員長と会談することも検討していると明らかにしました。
ムン政権は、南北間の対話を北朝鮮の核放棄に向けたアメリカと北朝鮮との対話につなげたいとしていますが、韓国メディアは、キム常任委員長は軍とは直接、関わっていないことから、大統領との会談が実現しても核問題の進展につながる話し合いにはならないという見方を伝えています。
北朝鮮は、高位級代表団は4人で構成するとしており、キム常任委員長以外の3人にチェ・リョンヘ朝鮮労働党副委員長などキム・ジョンウン(金正恩)委員長の側近らが含まれるのか、注目されます。
対外関係の要職歴任のキム氏
キム・ヨンナム氏は、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長に至る3代にわたる最高指導者の下、対外関係の要職を担ってきました。
1998年まで15年間にわたって外相を務めた後は、最高人民会議の常任委員長に就任し、北朝鮮の対外的な顔として各国や国際機関の要人などとの会談に当たってきました。
2002年の日朝首脳会談で当時の小泉総理大臣がピョンヤンを訪問した際には空港で出迎えました。
外国に派遣されることも多く、2008年の北京オリンピックや2014年のソチオリンピックの開会式に派遣された際には、現地で友好国の首脳などと会談を重ねました。
今回のピョンチャン大会に合わせた韓国への派遣も、各国の要人との会談を見据え、また、ムン・ジェイン大統領との会談の可能性も視野に入れたものと見られます。
南北合同チームが強化試合
監督「よい試合できた」
ピョンチャンオリンピックに向けて韓国と北朝鮮で結成したアイスホッケー女子の合同チームが4日、大会前唯一の強化試合を行い、試合には敗れたものの、合同チームの監督は「よい試合ができた」と試合内容を評価しました。
北の4選手を起用
開幕が4日後に迫ったピョンチャンオリンピックに向けて結成されたアイスホッケー女子の韓国と北朝鮮の合同チームは、先月28日から南北の選手たちが一緒に練習を続けてきました。
4日、首都ソウル近郊のインチョン(仁川)にある競技場で、合同チームにとって大会前唯一となる強化試合が行われ、スウェーデンと対戦しました。会場にはスウェーデンの国旗と朝鮮半島が描かれた統一旗が掲げられ、試合前には朝鮮半島の民謡のアリランが演奏されました。試合では、登録された22人の選手のうち、北朝鮮側からは4人が起用されました。およそ3000ある座席は満席となり、観客は「われわれは1つだ」などと書かれた横断幕を掲げ、大きな声援を送りましたが、試合は1対3で敗れました。
試合後の会見で、合同チームを率いる韓国側のマレー監督は「北の選手たちは、われわれのやり方をよく学んでくれて、去年スウェーデンと対戦したときよりもよい試合ができた」と述べ、試合内容を評価しました。一方で、韓国と北朝鮮でアイスホッケーの用語に違いがあるなど難しい点があると指摘しました。また、北朝鮮側のパク・チョロ監督は「今回の対戦で南北が力を合わせれば、なんでもできると感じた」と述べ、大会に向けて期待を示しました。
合同チームは今月10日にオリンピック初戦を迎え、スイスと対戦します。
南北合同チームとは
ピョンチャンオリンピックのアイスホッケー女子で韓国と北朝鮮の合同チームを結成することは、先月9日に開かれた南北の閣僚級会談で韓国側から提案し、その後に開かれた次官級の実務協議で合意しました。
そして、スイスで行われたIOC=国際オリンピック委員会と南北のオリンピック委員会、それに大会の組織委員会の4者会談で南北の合同チームの結成が認められました。
北朝鮮の選手たちは、先月25日に韓国に入り、28日から合同練習を始めています。
アイスホッケーのルールでは1チーム23人まで選手登録が認められていますが、IOCは、合同チームについて、韓国の23人に加えて、北朝鮮から12人の追加登録を認めています。
一方で、IOCは、合同チームについて、1試合当たり少なくとも3人の北朝鮮選手を出さなければいけないほか、1試合当たりの出場資格もほかのチームと同じ22人としており、どのようなチーム作りをするのか注目されています。
韓国の競技関係者 強い不満
今回、アイスホッケー女子で韓国と北朝鮮が合同チームを結成してオリンピックに出場することについて、韓国側の競技関係者などからは強い不満の声が上がっています。
このうち、1997年に北朝鮮から脱北し、2000年からは韓国の代表チームで活躍し、主将を務めたこともあるファンボ・ヨンさん(38)は「4年間、汗をかきながら頑張ってきた選手の努力に冷や水を浴びせるような行動だ。選手や私たちの声が無視され、政治的な目的に利用された。誰のためのオリンピックかわからない」と厳しく批判していました。
ファンボさんが、北朝鮮の選手が合流した直後に合同チームでプレーしている韓国の選手と連絡を取ったところ、その選手は「喜んで受け入れたいという気持ちはない」と話し、複雑な心境を明かしたということです。
また、北朝鮮のアイスホッケー事情については「韓国のように屋内のスケート場がないため、1年の中でも2か月ほどしか氷の上で練習できない」として、十分な練習環境が整っていないと指摘しました。
このため、韓国のメンバーとは実力の差があり、アイスホッケーで勝負の鍵を握るチームプレーができるよう十分に調整できるかが、大きな課題になるという見方を示しました。
試合チケットは転売で高騰
ピョンチャンオリンピックのチケットをめぐっては、先月31日までの売り上げが75%ほどにとどまっていて、低調なままです。そうした中、アイスホッケー女子で韓国と北朝鮮が結成した合同チームの予選リーグ3試合のチケットは、当日販売を除いてすべて完売し、入手が困難になっています。
このため、韓国のインターネットのオークションサイトでは、南北合同チームの試合のチケットの不法転売が横行していて、今月10日に行われる初戦は、定価が6万ウォンの座席のチケットが、2倍の12万ウォン、日本円で1万2000円ほどで売買されています。
ピョンチャンオリンピックのチケットを定められた金額を上回る価格で転売することは、韓国の法律で禁止され、違反すると最大で500万ウォン、日本円でおよそ50万円の過料が科せられることがあります。
韓国メディアは、不法転売が横行すると不審な人物がチケットを手にする可能性が出て、セキュリティー上、問題があるとして危険性を指摘しています。
過去の南北合同チーム
韓国と北朝鮮の合同チームは、国際的なスポーツ大会では過去にも結成されたことがありますが、オリンピックでは今回が初めてです。
合同チームが初めて結成されたのは、1991年に千葉県で行われた世界卓球選手権で、このときチーム名を「コリア」としました。選手たちは事前に1か月以上合宿を行ったうえで大会に臨み、女子団体では強豪の中国を下して優勝し、のちに韓国で、当時のエピソードを基にした映画も製作されました。
また、同じ年にポルトガルで開かれたサッカーのワールドユース選手権でも、南北合同チームが結成され、予選リーグでは強豪アルゼンチンを破るなど健闘し、ベスト8に進出しました。
一方、オリンピックをめぐっては、韓国と北朝鮮は1960年代以降、時折IOC=国際オリンピック委員会も交えながら合同チームとしての参加に向けて話し合いを重ねましたが、経費の負担やそれぞれの選手の人数といったチームの構成などで議論は毎回決裂し、実現していませんでした。
ただ、1998年に誕生したキム・デジュン(金大中)政権が、北朝鮮への経済支援をてこに関係改善を図る「太陽政策」を進める中、2000年のシドニー大会では南北の選手団が、朝鮮半島が描かれた統一旗を掲げて初めて合同入場行進を行いました。その後、韓国と北朝鮮は、2004年のアテネ大会とその2年後のトリノ大会の開会式でも一緒に入場行進をしました。
今回のピョンチャン大会では、合同入場行進に加えて、アイスホッケー女子でオリンピックで初めて合同チームが結成されたことになり、IOCのバッハ会長は「オリンピックのスポーツが人々を一つにする力があるということを象徴するチームになるだろう」と話していました。
「南北関係改善を妨害」
米大統領演説に反発
アメリカのトランプ大統領が、一般教書演説で北朝鮮に最大限の圧力をかけ続けると述べたことなどに対し、北朝鮮は「南北関係の改善を妨害しようとする意地の悪さにすぎない」と反発し、核・ミサイル開発の進展ぶりを誇示しています。
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アメリカのトランプ大統領は先月30日政権2年目の施政方針を示す一般教書演説を行い、北朝鮮に対し、体制を強く非難するとともに、最大限の圧力をかけ続けると述べました。
これについて北朝鮮外務省の報道官は4日、国営メディアを通じて反応を示し、「国家核武力の完成を成し遂げたわが国の威力に驚いた者の悲鳴であり、南北関係の改善を妨害しようとする意地の悪さにすぎない」と反発しました。
そのうえでトランプ大統領を呼び捨てで名指しし、「核武力を中心とするわれわれの自衛的な国防力によって、朝鮮半島で蛮勇を振るえないように徹底的に制圧する」とけん制しました。
北朝鮮は、今月9日に開幕するピョンチャンオリンピックへの参加を通じて、韓国との関係改善に向けた立場を強調する一方、核・ミサイル開発については一切譲歩しておらず、開発の進展ぶりを重ねて誇示しています。
マンギョンボン号
ロシアが入港拒否
北朝鮮からの貨物を積んだ貨客船マンギョンボン(万景峰)号が、ロシアのウラジオストクで入港を拒否され、3日間にわたって沖合に停泊する事態となっており、現地の港湾関係者はNHKの取材に対し、「国連安保理の制裁決議で輸入が禁止されている積み荷を積んでいる可能性がある」と説明しています。
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入港を拒否されているのは、かつて在日韓国・朝鮮人が北朝鮮にわたった「帰還事業」などに使われていた初代のマンギョンボン号です。
マンギョンボン号は去年5月からロシアの運輸会社が、北朝鮮北東部とウラジオストクの間で定期運航していましたが、北朝鮮に対する制裁が強まったために利用が落ち込み、去年9月からは貨物だけを積んで不定期に運航していました。
運輸会社によりますと、マンギョンボン号は先月31日にウラジオストクに到着したものの入港が認められず、丸3日がたった3日になっても沖合に停泊しているということです。
一方、ウラジオストクの港湾関係者はNHKの取材に対し、「積み荷の家畜用の餌が国連安保理の制裁決議で輸入が禁止されている農産物にあたる可能性がある」と説明しています。
これについて、欧米の一部のメディアは、北朝鮮とのつながりが強いとされてきたロシアの当局が、あえてマンギョンボン号の入港を拒否することで、国連安保理の制裁決議を順守する姿勢をアピールする狙いがあるのではないかと伝えています。
北朝鮮の制裁逃れ
去年、220億円稼ぐ
北朝鮮が去年、国連安全保障理事会の制裁を逃れて石炭などの資源や製品を輸出し、2億ドル近くを得ていたとする報告書がまとまり、安保理関係者は「制裁が強化されるにつれて北朝鮮の制裁逃れの手口が巧妙化している」と指摘しています。
詳しくはこちら
これは安保理北朝鮮制裁委員会の専門家パネルが制裁決議の実施状況を調べるため毎年この時期にまとめる報告書に盛り込みました。
安保理関係者によりますと、報告書には、北朝鮮が、去年8月の決議で禁輸対象となった石炭を中国、ロシア、マレーシア、ベトナムに輸出したのをはじめ、鉱物や製品の輸出で少なくとも1億9600万ドル、日本円でおよそ220億円を得たとしています。
手口としては、第3国の港での積み荷の入れ替えや産出地の記録の偽装、それに船舶の自動識別装置を切るなどの不正操作を組み合わせていると見られるとしています。
また、去年9月と12月の決議で大幅に制限された北朝鮮への石油精製品の輸出については、先月20日に東シナ海でドミニカの国旗を掲げた船から北朝鮮船籍のタンカーに、精製品がひそかに積み替えられた可能性を指摘しています。
このほか報告書は北朝鮮の外交官が、駐在する国で外交特権を利用して武器輸出に関与したり、不正な金融取引を繰り返したりしているとして関係国に対して監視を強めるよう促しています。
安保理関係者は「制裁が強化されるにつれて北朝鮮の制裁逃れの手口が巧妙化している」と指摘し、「制裁逃れ」の動きを封じながら決議を着実に実行していくための国際社会の結束が改めて問われています。
安保理制裁委員会 報告書の主要な内容
安保理北朝鮮制裁委員会の専門家パネルは、各国の政府や企業への聴き取りに加え、貿易統計や船舶の航行記録の分析などを通じて、安保理の制裁決議の実施状況と各国への勧告をまとめた年次報告書を、毎年2月ごろまとめ委員会に提出します。
ことしの報告書は冒頭、「安保理は去年、北朝鮮への原油の輸出の上限を設定し、石油精製品の輸出を規制する4つの制裁決議を採択した。しかし、北朝鮮はグローバルな石油供給網を駆使し、外国の企業や個人と共謀したり、国際銀行取り引きを悪用したりしてそれらをあざ笑っている」と指摘し、北朝鮮による制裁逃れの手口が巧妙化していると警鐘を鳴らしています。
そして、国際貿易統計などに基づく北朝鮮の輸出入を分析した結果として、北朝鮮が去年1月から9月までの間に決議に違反して石炭をはじめ鉱物資源などを輸出し、少なくとも1億9600万ドル、日本円でおよそ220億円の収入を得たと試算しています。
具体的な手口としては、第3国の港での積み荷の入れ替えや産出地の記録の偽装、船舶の自動識別装置のスイッチを切るなどの不正操作を組み合わせていると見られると指摘しています。
また、去年9月と12月の決議で北朝鮮への輸出が大幅に制限された石油精製品と見られる積み荷が、去年10月19日に香港とパナマ船籍の貨物船から、先月20日には東シナ海でドミニカ船籍の貨物船から、いずれも船体の色や船名を変えた北朝鮮のタンカーなどに積み替えられたと指摘しています。
そのうえで報告書は、すべての国連加盟国が制裁委員会が指定した船舶の入港禁止措置を順守し、石油精製品を扱う自国の企業に対して北朝鮮との違法な取り引きに関わらないよう確約させるべきだと提言しています。
報告書はまた、北朝鮮が決議に違反して、内戦が続くシリアと国内で混乱が続くミャンマーに、弾道ミサイルの技術を移転したり、通常兵器を輸出したりしている証拠が寄せられており、外貨稼ぎの1つになっている可能性があると指摘しています。
さらに、ヨーロッパ中部のポーランドの造船所で北朝鮮の労働者数十人が就労し、デンマーク政府が発注した軍艦の建造に関わっており、決議が禁じる武器輸出の関連行為に当たるとして、関係国に労働者の所属と労働実態を調査するよう求めています。
一方、サイバー攻撃については、おととし4月に韓国の大手造船会社のコンピューターがハッキングされ、韓国軍の艦船や潜水艦の機密情報が漏えいし、北朝鮮のSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルの技術の開発に利用された可能性があるとしています。
去年5月、制裁委員会の関係者のコンピューターがサイバー攻撃を受けたことについても、「戦略的に情報を盗み出そうとする制裁逃れの一環だ」として、名指しは避けながらも、北朝鮮による行為だったことを示唆しています。
韓国入りの選手団 練習を開始
注目集めるフィギュアペア
ピョンチャンオリンピックに出場するため韓国に入った北朝鮮の選手たちは、2日から現地で早速練習を開始。このうちフィギュアスケートのペアの練習が公開され、報道陣の高い関心が寄せられています。
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ピョンチャンオリンピックには北朝鮮から3競技10種目に22人の選手が参加することになっていて、韓国と北朝鮮の合同チームを結成するアイスホッケー女子の選手団に続いて、1日、残りの選手が韓国に到着しました。
現地入りした選手たちは2日朝から早速練習を開始し、このうち実際に競技が行われるカンヌン(江陵)アイスアリーナでは、フィギュアスケートのペアに出場する、リョム・テオク選手とキム・ジュシク選手の練習がメディアに公開され、およそ40人の報道陣が集まりました。
選手2人は、コーチらとともに午前9時ごろにリンクに入ると、最初は氷の感触を確かめるように、それぞれ5分ほどゆっくりと滑りました。そして、白と赤と青の北朝鮮の国旗をあしらった上着を脱ぐと、黒っぽい練習着姿で視線を交わしながら、時折、笑顔を浮かべ、およそ40分にわたり繰り返し動きを確認していました。
また、韓国内で反対意見が多いアイスホッケー女子の南北の合同チームは、先月28日からすでに一緒に練習を始めていて、4日には大会前唯一の強化試合でスウェーデンと対戦することになっています。
軍事攻撃に現実味?
(2分23秒)
北の選手団 22人全員が韓国入り
ピョンチャンオリンピックに出場する北朝鮮のスキーやスケートの選手たちが1日夕方、チャーター機で韓国に到着し、南北で合同チームを結成するアイスホッケー女子の選手を含め、大会に出場する北朝鮮の選手22人全員が現地入りしました。(写真は、韓国東部の襄陽空港に到着し、私服の警備関係者に囲まれながら移動する北朝鮮選手団=中央)
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今月9日に開会するピョンチャンオリンピックには、北朝鮮から3競技10種目に22人の選手が参加することになっていて、先月25日、南北で合同チームを結成するアイスホッケー女子の選手12人が一足早く韓国で練習を始めています。
これに続いて、1日午後6時10分ごろ、フィギュアスケートやスキーのアルペンなどに出場する残りの選手10人と、選手団の団長を務める北朝鮮体育省のウォン・ギルウ次官をはじめとする競技関係者22人の合わせて32人が韓国北東部のヤンヤン(襄陽)空港にチャーター機で到着しました。選手たちは黒い毛皮の帽子をかぶり、男性は黒の、女性は赤のコートを着ていて、中には記者団に対して手を振る選手もいました。これで大会に出場するすべての選手が北朝鮮から現地入りしたことになります。
また、今後は、競技会場のあるカンヌン(江陵)やソウルで公演を行う芸術団が6日に、応援団と記者団230人余りが7日に北朝鮮から韓国を訪れる予定で、9日の開会式では南北の選手が合同で入場行進をすることにしています。
一方で、北朝鮮は、南北で合意していた合同文化行事を一方的に中止するなど、韓国に揺さぶりをかける構えを示しているほか、オリンピック開幕前日の8日には北朝鮮国内で大規模な軍事パレードを行う準備を進めていると見られます。
選手村に宿泊 待遇は他の国と同じ
北朝鮮の選手団は、フィギュアスケートやアイスホッケーが行われるカンヌンにある選手村に宿泊します。韓国の連合ニュースによりますと、選手村では、4人部屋と5人部屋に分かれて寝泊まりし、IOC=国際オリンピック委員会の規定に沿って、団長室やマッサージ室なども用意されるほか、北朝鮮の国旗も掲揚されるということです。
また、連合ニュースは、大会の組織委員会の関係者の話として、北朝鮮の選手団の待遇はほかの国と変わらず、選手村の食堂も利用する見込みだと伝えています。
北朝鮮は、選手団の派遣に先立って先月、体育省のユン・ヨンボク副局長を団長とした視察団を韓国に派遣し、選手村の施設を確認していました。
軍事パレードの準備活発化
北朝鮮がピョンチャンオリンピックの開幕前日の今月8日に首都ピョンヤンで実施すると見られている軍事パレードについて、北朝鮮の動向を分析しているアメリカのジョンズ・ホプキンス大学の研究グループは、パレードの準備と見られる動きが活発化していると指摘しました。
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研究グループは、ピョンヤン郊外にある軍事パレードなどの訓練に使われる施設について、去年11月から先月上旬までの衛星写真を分析し、人や車両の動きなどが確認され、軍事パレードの準備が進んでいる可能性があると指摘していました。
研究グループは31日、新たな分析結果を公開し、先月28日の時点で、行進の練習を行う兵士と見られる隊列の数が39に増え、参加者もおよそ1万2000人に上ると見られるほか、戦車や自走砲など110台が走行している様子もうかがえます。
研究グループは「人や車両の動きが目に見えて増え、準備が次第に拡大している」と指摘しています。また、現地にはミサイル発射台などを格納すると見られる覆いも見られますが、弾道ミサイルそのものは確認できないということです。
日米開発の新型迎撃ミサイル
また実験失敗か
北朝鮮の弾道ミサイルなどの脅威に対応するため日本とアメリカが共同で開発している新型の迎撃ミサイルについて、アメリカのメディアは国防総省が31日に迎撃実験を行ったものの失敗したと報じました。
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北朝鮮の弾道ミサイルなどの脅威に対し、日本とアメリカはミサイル防衛能力を高めるためイージス艦に搭載している迎撃ミサイル「SM3」の能力を向上させ、より広い範囲で弾道ミサイルを迎撃できる新型の「SM3ブロック2A」の開発を進めています。このミサイルについてアメリカの複数のメディアは国防総省が31日にハワイで迎撃実験を実施したものの、標的の迎撃に失敗したと報じました。
今回の実験では、日本が導入を決めた地上配備型の新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の試験施設の要員らが実験の実施にあたったということで、国防総省で詳しい分析を進めていると見られます。
国防総省は去年2月に行った初めての迎撃実験では標的の迎撃に成功していますが、6月の2回目の実験では迎撃できず、今回、迎撃が確認できなければ、これに続く失敗となります。
アメリカ政府は先月、日本にこのミサイル4発を関連装備なども含めおよそ1億3300万ドル、日本円でおよそ145億円で売却する方針を決定しています。