（隼也）何怒ってんのん。
漫才結構ウケてたやん。
（リリコ）それはシローが失敗したん笑われただけや。
あれは芸でも何でもない。
（てん）お二人が高座に上がっただけで笑う人ぎょうさんいはったし。
ええ相方さんや思うえ。
そのあげくがこれや。
これからどないする？もちろんミス・リリコアンドシローでやってもらいます。
尻尾巻いて逃げる気ぃはありまへん。
何かええ手考えんと。
へえ。
・「出かける時の忘れ物」・「ひょいとつかむハンカチのように」・「心の中にすべり込む」・「いちばんちいさな魔法」・「泣いたり笑ったり」・「今日も歩き出す」失礼します。
（万丈目）すんまへんボン。
（風太）今日から隼也はここで丁稚奉公する事になったさかい。
ちょっとずつでも仕事覚えさそ思いまして。
よろしゅうお願いします。
（拍手）なあミス・リリコアンドシローは？このまま結果の出んもんにこだわっててもそれこそ社員から女社長の道楽や言われてしまう。
けど…。
（栞）女性たちだけで新しい漫才を作り出そうとする思いつきはいいと思う。
だがおじけづいていたら新しいものは生まれない。
今必要なのはこれをやり遂げようとする社長の覚悟だ。
それができないのなら専務にお任せした方がいいと思う。
ミス・リリコアンドシローやったら今までにない漫才ができる思うんですけど…。
・はい北村です。
ちょっと言い過ぎたかなと思ってね。
伊能さんや風太の言うとおりです。
やり遂げたい気持ちはありますのやけど何からしたらええか…。
人前で悩むなへこたれるな。
一旦やると決めた事を簡単に諦めるな。
これが社長の極意かな。
おおきにありがとうございます。
ミス・リリコアンドシローまた高座に出してもらえへんやろか。
は？
（楓）２人に場数踏ましてあげたいんです。
今度こそうちが必ず成功させます。
これは道楽やないれっきとした会社の事業や。
まあそこまで言うんやったら昼席の前座ぐらいは考えん事もないな。
おおきに。
頼んだえ。
（四郎）あんな失敗したのにまた高座に出られるんですか？そやけど実力認められた訳やあらへん。
僕がちゃんとセリフ言えるようにならな。
何万回でも台本読んでしゃべくりできるようになります。
よう言うた！
（トキ）せっかく女子がそろってるんやさかいもっと女子らしいお二人の売り方考えまひょ。
うちは北村笑店で雑誌を作って宣伝したらええ思てるんや。
新聞や雑誌でこき下ろされましたやろ。
ああ…。
それやったら今度はリリコさんと四郎さんの漫才挑戦への想いや人となりをうちらが記事にして逆に宣伝したらええんちゃうかと思て。
そらええな。
（歌子）ほしたらリリコはんに合わして洋風弁当作って寄席で売ったらどないやろ。
ええな！そしたら売店でうちのブロマイドも売るか？ええやんか！すてきや！毎月芸人さんを順番に紹介していくんや。
オモロそやな。
けどなこんなやっすい値段でやったら赤字やないか。
ん！失礼します。
社長専務お客さんです。
りん！わざわざおおきに。
（りん）姉さんのお役に立てるんやったら喜んで。
よろしゅうお願いします。
ん？「月刊キタムラ」に広告出してもらうんや。
その広告料で印刷代賄おう思てます。
藤岡製薬もお薬だけやのうて新しい商品出す予定なんです。
リリコさんみたいな人にうちの化粧品使うてもろたら広告費なんて安いもんです。
それなら反対する理由ないな。
この人口は悪いけど喉はよろしいで。
ちょっと一曲歌うてみて下さい。
どないしはったんですか？考えてますのや。
この２人が面白いと思た理由を。
（四郎）事実て。
（リリコ）あなたのお顔はね…。
あんた何でしゃべれへんの？女の人と話すの苦手やさかい。
うちはそこら辺の女子とは違う。
あんたの相方や。
何か文句あるんやったら言うてみ。
文句なんか。
社長やみんなが頑張ってる姿見ると何や怖いな思て。
このままうまい事いかへんでみんなをがっかりさせてしまうんが怖いんや。
ドイツ留学するためや思たらどんな苦しい事でも我慢するけどそもそもそんな考えやったらアカンのちゃうかな思て。
君は怖ないんか？怖いわ。
けど２人して死ぬ気で頑張るだけや。
「いえいえそんな事ありますわ」。
「ええ〜っじじ…」すんまへん！構へん構へん。
「いえいえそんな事ありますわ」。
「ええ〜っあるんかい！自慢ですか？」。
「事実ですわ」。
「事実て…」。
（アサリ）あの台本オモロイで。
ホンマですか？
（キース）けどなオモロイから逆に難しいんや。
オモロイ本をちゃんとやろうとするから力が入り過ぎるんや。
失敗せんように必死やさかいそれが伝わって見てる方も緊張してまう。
確かにうちも見てる時力入ってるわ。
要はあいつらが緊張せんとあいつららしゅう漫才できるやり方を見つけたったらええんや。
いらっしゃいませ。
饅頭いかがですか？おいしいですよ。
おいしいですよ。
（亀井）そんな声のかけ方じゃ誰も買うてくれまへんで。
亀さん。
当たり前の品物をどう買うてもらうかそれには工夫が必要でっせ。
う〜んおいしいわ。
さすが歌子はん。
お客さん大喜びしはるわ。
おおきに！それからなこのぜんざいも売ってもらおか。
（トキ）寒うなるとあったかいぜんざい売れるんやないか思いまして。
ぜんざいおいしそうやな。
アカン！何で？仕事せんと何のんびりしてんねや。
わては編集長やさかい。
何が編集長や。
モンシロチョウみたいな顔して。
何やモンシロチョウて。
あんたモンシロチョウ知らんの？そ…そないな言い方。
あ〜もう編集長でもモンシロチョウでもいいからはよ仕事行き！ちゃっちゃと行かんと…。
行くんか！行かへんのか！走って行くんやで！はい！ホンマにもう〜！ホンマ歌子はんら面白いなぁ。
（楓）万丈目さん口答えできへんさかい。
（歌子）我ながらおいしいわ。
アハハハ！あうあうあ〜うあうっ…。
「あうあう」って犬かいな。
すいませんねぇ。
あう〜！
（アコーディオンの音）こないだの漫才大会の時…。
四郎さんがセリフ忘れて思わずアウアウ言うてたらリリコさんがセリフみなしゃべって。
はい？今の歌子はんと万丈目はんのケンカと同じや。
四郎さんがしどろもどろになってリリコさんがしゃべりまくる。
その方が面白いんとちゃうやろか。
あるかもしれん。
なるほど！うん！おトキ！呼んできます！
（歌子）ドキドキしてきた。
（楓）ホンマやな！リリコさん四郎さん。
うちらから提案があるんです。
四郎さん高座でしゃべるのやめまへんか？え？しゃべらん漫才やるんです！それ本気で言うてんの？僕だけがしゃべらんとオロオロして困ってるとこアホみたいに笑われとけっちゅうんですか。
いや…。
（楓）あれはバカにされて笑われたんやありません。
思いも寄らん事が起きた時の四郎さんの姿が可愛らして。
同じ事です。
失礼します。
うちも反対や。
四郎は必死でしゃべくり稽古してる。
それをむげにはでけへん！「シローです。
アコーディオンはうまいんですよ」。
「こんな顔て」。
昨日は急にあないな事言うてすんません。
僕は意地でもしゃべくり漫才ものにしますさかい。
さ向こうで稽古しようか。
（隼也）あっ専務。
（風太）何や？見せたいもんがあるんです。
キース・アサリ師匠の似顔絵饅頭です。
試しに作ってみたんですけど。
お前が考えたんか？海外の劇場やと売店の売りもんがもっといろんな種類があってにぎやかなんです。
そやから社長らが考えてる雑誌やお弁当ぜんざい化粧品なんかと一緒に売ろ思て。
オモロイやないか。
やってみるか。
おおきに！せやけどなかなか評判の声ですよ。
いえいえそんな事ありますわ。
え〜っあるんかい！あなたのお顔はね丸みが帯びてますから優し〜く見えますよ。
こんな伸びるし。
痛い痛い痛い！引っ張りな。
どや完璧やったやろ。
そやな。
もっと稽古して君との掛け合い盛り上がるよう頑張るわ。
うちはいい加減な気持ちで言うたんやない。
ホンマに新しい漫才ができる思うんや。
しゃべらん漫才やったら四郎さんの魅力をもっと引き出せる思うんや。
うちや楓さんやみんなを信じてもらえまへんやろか。
確かに新しいわ。
四郎と話してみる。
おおきに。
しゃべらん漫才やけど…いっぺんやってみたらどうやろ。
あんたがうまなったらうまなるほどお客さんがわろてくれへん。
これがウケたらお金も儲かってドイツにも行ける。
何やねんそれ。
君は僕が金だけのために漫才一所懸命頑張ってる思てたんか。
え？僕は僕なりに真剣に芸に向き合うてきたつもりや。
君だけは分かってくれてる思てたのに。
君まで僕の事笑いもんにしたいんやったら…もうええ。
やめたる！
（ドアが閉まる音）リリコさんとのコンビ解散さして下さい。
解散！？いやリリコさんは悪うないんや。
うちが四郎さんの気持ちも考えんと言うたばっかりに…。
いやコンビ解散だけやのうて北村笑店も辞めさしてもらいたい思います。
説得しよう思たんやけど。
リリコさんのせいやあらしまへん。
ほんならどうする？新しい相方探すか？四郎とやったら何かできそうな気してたんやけど…。
すんまへん。
せっかく四郎さん紹介してもろたのに。
新しい事をしようとすると必ず周囲との軋轢や摩擦が起きる。
今僕はうちの映画を全てトーキーにしようとしているんだがそれには莫大なお金がかかる。
それでも大衆に夢を売り幸せや感動を感じてもらうためには絶対に必要なお金だと思ってる。
だから反対されても僕は皆を説得して必ずそれを実現させるつもりだ。
君のそのしゃべらん漫才というのは面白いのかい？面白い思います。
今まで見た事ないような誰でも笑える漫才です。
ならその思いを四郎君にきちんと伝えてやるべきじゃないかな。
ここからが君の興行師たる腕の見せどころじゃないか？うちらが最初にしゃべらん漫才考えついた時女子が男はん言い負かすんが面白い思いました。
女子のお客さんには痛快やろなと。
そら女子からしたら面白いかもしれんけど男からしたらオモロないんとちゃいます？ミス・リリコアンドシローやったらそうはならへんのです。
あんたさんら２人の間にはお互い思い合う気持ちがあるさかいリリコさんが四郎さんにきつい事言うてもお客さんは安心して笑えます。
漫才かてお互い支え合う気ぃがないとアカン。
しゃべらん漫才はミス・リリコアンドシローやからできるんです。
そやけど僕だけしゃべらんでええ言われても…。
お客さんがわろてはったんは四郎さんがセリフ忘れて怒られてる姿がみっともなかったからやない。
なんとかせな思て一所懸命になってるリリコさんのなりふり構わん姿がウケたんや。
あんたさんら２人でちゃ〜んと漫才やってたからわろてもらえたんです。
これ以上ないええコンビや。
な！リリコさん。
そうやなかったらはなからコンビなんて組まへん。
これしゃべらん漫才の新しい台本です。
四郎さんはしゃべくり以上の誰にもないもん持ってます。
僕は何も…。
言葉やのうても伝えられるもんあるやないですか。
四郎さんは楽器でしゃべるんです。
そして翌日
あ…！何やお前ら！新しい台本読みました。
もういっぺんミス・リリコアンドシローやらせて下さい！うちからもお願いします。
おおきによろしゅうお願いします！えっちょっとおい…。
ただこの台本まだちょっと僕のセリフ多すぎますわ。
これここも。
ここここここ。
これもすんまへんすんまへん。
これここ。
楓さんこれでどうでしょう。
へえ。
これが僕らのしゃべらん漫才の台本や。
いよいよしゃべらん漫才お披露目の日
ミス・リリコアンドシローとキース・アサリ師匠の似顔絵饅頭になってます。
僕が描きました。
（楓）ご覧になりませんか？「月刊キタムラ」創刊号です。
いや〜いろいろ工夫しましたな。
おおきに。
けど仕入れた饅頭や弁当全部売り切らなあきまへんで。
はい。
ええ時間に出してもろておおきに。
そやからこそしっかり頼むで。
（２人）へえ！お手並み拝見や。
もうなくすもんもないし気楽なもんやろ。
ほな行ってまいります。
お気張りやす。
漫才師のミス・リリコです。
こちら私の伴奏者兼引き立て役…。
シロ！シロシロ…。
「シロシロ」て子犬か！ウケてるわ。
ああ。
このこのこのこの…。
「このここのこ」てどこの子や。
迷子でもおるんか！
（笑い声）では一曲流行の歌を。
・「砂漠に陽が落ちて夜となるころ」・「こ」もう終わってもうたやん！
（笑い声）何？やっぱりうまいて言いたいの？ああ…。
いえいえそんな事…。
ありますわ。
（笑い声）・
（四郎）しわしわしわ…。
・
（リリコ）しわの話終わってんねん。
えらいウケてるみたいやな。
よかったわ。
極め付けがリリコさんと結婚したい。
それだけはやめた方がよろしいで！
（笑い声）何でそこだけちゃんと言えんねん！ホンマあんたはな…。

（アコーディオン）ちょっと！
（アコーディオン）
（「チャルダッシュ」）いや〜シローさんやっぱりアコーディオン日本一や。
いやいやそんな事…あります。
それ私のセリフや！どうも…。
（２人）ありがとうございました。
ちゃんと言えてるやん！
（アコーディオン）
（笑い声）
（拍手と歓声）Dialogue:0,0:18:2018/02/12(月) 01:45〜02:05
ＮＨＫ総合１・神戸
「わろてんか」一週間　第１９週「最高のコンビ」[字]

漫才大会で入賞さえできず、ほろ苦いデビューとなったリリコ（広瀬アリス）と四郎（松尾諭）だが、てん（葵わかな）はあきらめずに２人の漫才を売り出そうと奮闘する。

詳細情報
番組内容
漫才大会で入賞さえできず、ほろ苦いデビューとなったリリコ（広瀬アリス）と四郎（松尾諭）だが、てん（葵わかな）はあきらめずに２人の漫才を売り出そうと奮闘する。四郎は徐々に上達するが客には受けず、てんたちはなぜ笑ってもらえないのか分からない。帰国したてんの息子・隼也（成田凌）は風鳥亭で働くことになるが、下働きばかりでアメリカで勉強してきたショウビジネスの知識を生かせずイライラを募らせていく。
出演者
【出演】葵わかな，高橋一生，濱田岳，広瀬アリス，徳永えり，大野拓朗，前野朋哉，岡本玲，成田凌，堀田真由，枝元萌，松尾諭，藤井隆，内場勝則，松坂桃李
原作・脚本
【作】吉田智子

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード（ステレオ）
サンプリングレート : 48kHz

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