金持ちが多く住む高級住宅街の近くに、新しい教会が建てられた。
できたばかりのその教会はピカピカの立派な建物で、近所の金持ちやセレブがたくさん祈りにやってきた。
そこへ、一人のみすぼらしい格好のおじいさんがやってきた。
そして、「ワシをこの中に入れてもらえませんか」と言った。
警備員を兼ねた入口の案内係たちは、ボロボロの服を着たその年寄りを見て、「ここはお前のような汚い人間の来るところじゃない」と、追い返した。
ところが、翌日もそのおじいさんは現れた。
そして、やはり中に入れて欲しいとお願いしてきた。
案内係たちは、こんな貧しい身なりの老人を中に入れるわけにはいかないと、改めて断った。
しかし、さらにその翌日も、そのボロをまとったおじいさんはしつこく現れた。
案内係たちは、また追い返し、「もう二度と来ないように」と、念押しした。
そのあくる日、今度は、別のホームレスの男がその教会の入口に現れた。
ホームレスは、「この教会の中に入れてもらえませんか」と嘆願した。
案内係たちは、きっぱりと入場を拒んだ。
ホームレスの男は、困った表情を浮かべて言った。
男:「そこをなんとか、中にいれてもらえませんかねえ」
案内係:「ここはお前のような薄汚い身なりの者が来る場所ではない。帰んな」
男:「弱ったな。。。実は、頼まれたんです」
案内係:「誰に?」
男:「今朝、目が覚めて、いつものように川辺で祈っていたんです。すると、神様が現れて、『あの新しい教会の中がどうなっているのか見てきてほしい。ワシも行って中に入ろうとしたんだが、3日続けて断られてしまったんじゃ』と」