新たに判明 アップルの特許はVRヘッドセットをコンパクトに
2月8日付けで米国特許商標庁から公開されたアップル社の特許はヘッドマウントディスプレイの光学系に関わるものです。特許によると、現在のVRヘッドセットの抱える大きさや重さを改善するための手法が提示されています。
現在のVRヘッドセットの光学系は重く、かさばってしまう問題
2017年に執筆され、2月8日付けで米国特許商標庁から発行された特許によると、アップル社はVR ヘッドセットを小型化する方法について提示されています。「Optical System for Head-Mounted Display」と名付けられた特許は、VRヘッドセットの光学設計を改善する手法です。現在のVRヘッドセットに使われているフレネルレンズを用いた光学系は、レンズ自体が厚くかさばる、重いといった問題があります。その結果、ヘッドセット自体が重くなり、体験者が不快に感じてしまうことがあります。本特許では、反射屈折光学系と呼ばれる光学系を用いることでこれらの課題を解決しようとしています。以下の図は反射屈折光学系の簡単な例を示しています。
反射屈折光学系は、望遠鏡や顕微鏡といった高倍率が必要な機器で一般的に用いられている手法です。上図のように、光路を折りたたむことで機器がコンパクトになる利点があります。
マイクロディスプレイ+反射屈折光学系による光学系コンパクト化のアプローチ
VRヘッドセットに小型で高画素密度なマイクロディスプレイを用いると、コンパクトになりますが、高倍率のレンズが必要です。一般的に高倍率のレンズは厚くする必要があります。また、現在 VR ヘッドセットで用いられているフレネルレンズも多くの課題があります。アップルはコンパクトで高倍率の光学系を作成する手段として、反射屈折光学系とマイクロディスプレイの組み合わせを検討しています。ただし、特許で記載されているのはマイクロディスプレイだけでなく他のタイプのディスプレイも使えると補足されています。
本特許の主な内容は光学設計及びレンズの配置方法に関してですが、一方で製造に関する記載もあります。また、本特許で述べられているヘッドセットもさまざまなセンサー(インサイドアウト方式のカメラを含む)を用いた位置トラッキングや、アイトラッキングを行いFoveated Rendering(中心窩レンダリング)を行うことも記載されています。
アップルが研究開発レベルで AR や VR に注力しているのは明らかで、特許も多数出願されています。また、今回公開された特許は製造方法に関しても言及しているためアップルがヘッドセットを製造することも検討していることが分かります。アップルは、MacOSがVRに対応したり、iOSでARKitが導入されたりと2017年はこれまで動きのなかったアップルでもようやく動きが見えました。アップルが今後どのようなエコシステムを開発していくか注目です。
(参考)
Apple’s Latest VR Patent Describes a Compact VR Headset with Eye Tracking / Road to VR(英語
Apple's Latest VR Patent Describes a Compact VR Headset with Eye Tracking
Road to VR
Apple Invents an Optical System for a Future VR and AR Headset / Patently Apple(英語)
http://www.patentlyapple.com/patently-apple/2018/02/apple-invents-an-optical-system-for-a-future-vr-and-ar-headset.html
MoguraVRはRoad to VRとパートナーシップを結んでいます。
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