次の本は「若者のキャリア」がテーマなので、考えを深めてみます。




「いざとなったら辞めればいい」



僕は会社員時代、「いざとなったら辞めればいい」という気持ちを常に持ちつづけていました。会社自体は嫌いどころか好きでしたが、それでも自分の中に「逃げ道」として、「会社を辞める」という選択肢を用意しつづけていました。

逆説的ですが、この逃げ道を持っていると、日々の仕事はより効率的、挑戦的になると感じています。

「辞めてもよい」と考えていれば、無駄に空気を読むことがなくなります。「なんとなく周りが帰らないから帰らない」という類いの残業はなくなるでしょう。また、「失敗したら最悪クビになるようなチャレンジ」にも厭わず取り組めるようになります。常に「クビ覚悟」でいられるというのは、それだけでアドバンテージになると思います。




弱った時の逃げ道に



なにより、昨今の働く環境を考えると、「会社を辞める」という逃げ道は、精神的に追いつめられた時の緩衝(バッファ)になると思います。

僕の周りにも、うつ病などで休職した経験がある方が数多くいらっしゃいますが、多くの場合、彼らは「会社を辞める」という逃げ道を自分の中に用意していません。会社を辞めるなんてことは毛頭考えていないか、「ありえないこと」だと認識していたりします。人によっては会社を辞めるのは「負け」だと思っている場合も。

もちろん生活環境によっては、会社を辞めるのが「ありえない」場合もありますが、かといって体を壊してしまうのはもっと「ありえない」話です。体を壊すほど働いて、それでも生活が苦しいのなら、地域のNPOや、公的なセーフティネットを頼るタイミングだと思います。




別に会社なんて辞めても死にはしないのです。心身を壊してまで勤め上げるなんて、前時代的な価値観は捨てましょう。会社と経営陣の理解があれば、休職からのスムーズな復職も可能かもしれませんが、得てして会社は無情ですから、結局は「働き損」になるものです。体を壊す前に逃げる、というのは鉄則だと思います。




しばらく食えるだけの貯金をするか、いつでも転職・独立できる力をつけるか



「いざとなったら辞めればいい」と思えるようになるためには、「しばらく食べていけるだけの貯金をする」と「いつでも転職・独立できる力をつける」という2つのアプローチがありえるでしょう。

貯金はとてもわかりやすいアプローチです。独身なら都心でも150万円ほど現金があれば生きていけるでしょうし(実家暮らしをすればもっと節約できるでしょう)、数年働いて200万〜300万円程度貯金しておけば、だいぶ心に安心感が芽生えるはずです。

転職・独立は貯金に比べてハードルが高いですが、会社に埋没しないよう、在職中に外の世界と接点を取りつづけていれば、十分実現可能でしょう。下世話ないい方ですが、人脈さえあればなんとかなります。




ちなみに石橋を叩いて渡る僕の場合は、貯金と人脈の両方に安心感を持ってから独立しました。お金は使わない方なので、独立した時点で250万くらいの貯金がありました。このくらいあれば、まぁなんとか死にはしません。食うに困ったらバイトでもすればいいですしね。




というわけで、同世代の社会人に対しては、ぜひ「いざとなったら会社を辞める」という選択肢を持ちつづけることをおすすめします。終身雇用は崩壊していますし、いきなりハシゴ外されるぐらいなら、いつでも自力で脱出できるようになっておきましょう。




関連本。働き方系では、今年ベストの一冊です。