ハード | SFC |
ジャンル | アクション |
開発元 | Software Creation |
発売元 | アクティビジョン・ジャパン |
発売時期 | 1993年12月10日(日本では) |
難易度 | 鬼畜 |
初見殺し | 山盛り |
BGM | 至高 |
PLOK!というゲームは難易度の割には世界観は子供向けの内容になっております。主人公のPLOK君もセサミストリート的とでも申し上げれば良いのでしょうか、要するにそんな感じのアメリカチックな妖怪……じゃなくてキャラクターです。
見た目こそコミカルですが、「この島の支配者は僕だ!」と連呼しながら邪魔者どもを抹殺して回り、攻撃手段としてロケットパンチどころかロケットキックまで行い、両手両足を全部飛ばした挙句達磨状態のままピョンピョン飛び跳ねるという、なんかこう日本人のセンスとは大分ズレている感じがしますね。
ゲーム自体は所謂アクションゲーム。Bボタンでジャンプ、Aボタンでハイジャンプ(高く跳べるけどジャンプ中攻撃できない)、Yボタンで手足を飛ばして攻撃、Xボタンで蜂を持っている時に敵を自動追尾する蜂を飛ばして攻撃。ストーリーの途中でお守りを手に入れるとLR連打で貝殻(マリオで言うところのコイン)を消耗して怒り状態になり、Aボタンのハイジャンプに攻撃判定が出るようになります。
Yボタンの手足を飛ばす攻撃は手足が勝手に戻ってくるものの、両手両足を全て飛ばすと頗る機動性の悪い達磨状態になってしまうので特別な事情がない限りは一発ずつ撃つのが得策です。操作で特殊な点はこれくらいで、そんなに複雑ではありません。
ストーリーの方は突っ込みどころ満載で、主人公のPLOKはアクリリック島の領主(らしい)で、自分の島の至るところに自分の旗を立てている変な奴。ところがある日、離れの島の旗が無くなっていたので探していると宿敵のボビンズ・ブラザーズ(顔が唇だけの化け物)が犯人だった!
とっちめたところ、PLOKが不在の間に本島(とでも言えばいいのか)がノミどもに支配されていた! PLOKはこの島の支配者が自分であることを知らしめるためにノミどもを抹殺して回る……という独裁者がレジスタンスを片っ端から殺して回るみたいなストーリーです。ノミはノミで全く可愛くないのでどっちも悪者にしか見えませんがね。
序盤のボビンズ・ブラザーズ退治までと、途中で入る過去エリア(主人公がPLOKのおじいちゃんになり過去の島を冒険しますが、操作とかは何も変わらず)と、最終エリアのFLEAPITは単なる面クリア型で、途中からステージにいるノミを全て蹴散らさないとクリアできなくなります。
さていよいよ本題。この作品は先述の通りおかしいくらい難易度が高い。一体何がそんなに高難易度たらしめているかのでしょうか。
まず初見殺し連発。この作品は突然頭上から丸太や岩が落ちてきて転がってくることが度々あるのですが、知っていなければ絶対に回避できないほどシビアなタイミングでばかり落ちて来ます。しかも丸太が落ちてきて坂を下り落ちていくのはまだ分かりますが、何故か坂を昇っていくという物理法則を完全に無視したことも仕出かしたりします。
こんな初見殺しが大半のステージで出現し、酷い時は開幕いきなり敵の不意打ちを受けるのですぐに回避しなければならなかったり、逆に開幕スタート地点が安置なので静止していないとダメージを受けるなど、とにかく初見でクリアさせる気があまりにも無さ過ぎます。
また、やたら体力ゲージが長いので凄くタフに見えるのですが、実際にはだいたい4回くらいダメージを受けると死にます。
「4回も喰らえるなら十分じゃねーか」と思いますが、このゲームただでさえ初見殺しの連打に加えて初見殺しではないステージギミックもまた無性に意地悪かつ高難易度であり、そもそも全体的にステージが長いため4回しか喰らえないとなるとかなりの苦戦を強いられます。体力回復手段も存在はしますが、それがあっても足りないくらいです。
また、このゲームはステージ2からはステージに存在するノミを全滅させないとクリアできないのですが、そのノミが何処にいるのか分からなくなってしまうと広大なステージを彷徨い続けなければなりません。そのノミも不規則にジャンプを繰り返す動きの読みにくさと、1匹につき3回攻撃しないと死なないという妙なタフさであり、気を使わないとアッサリ死んだりします。要するに全く気が抜けません。
極めつけはコンテニューの仕様。このゲームにはセーブもパスワードもないので、残機がなくなったらオープニングからやり直しです。ラスボスまで通してプレイすると1時間以上掛かるのにやり直しです。私がクリアした時は慎重に慎重に進めたので1時間どころか3時間掛かったような気がします(勿論中断再開の機能がない作品なので、何日も練習した上でこれです)
勿論、途中からコンテニューすることはできます。各ステージで1度も残機を失わないままステージをクリアするか、特殊なアイテムを取得すると貯まる「PLOK」パネルを4つ集めるとプロコンテニューというものが獲得でき、残機を全て無くした場合でも一度だけそこからコンテニューができるようになります。そのまま再びプロコンテニューを取得できないまま全滅してしまうとオープニングからやり直しですが。
ただこのプロコンテニューの仕様がおかしく、特定のボスを倒すとせっかく取得していたプロコンテニューに強制リセットが掛かります。そして初見殺しの嵐なわけですから、ボス倒した後のステージで速攻全滅したらまた最初からやり直し……これが初見殺しの多さと合わさり最強の鬼畜難易度を実現してくれます。
一応救済手段としてワープが隠されており、それを使うことである程度のステージをスキップして一気に進むことができます。ただしワープは何故か「PLOKが特定の乗り物に乗った状態でタイムアタックを行い、指定タイムを切った場合だけワープできる」という仕様なので今度はワープのための練習が必要になります。
しかもこのタイムアタックの難易度がまた異常なほど高難易度であり、少しでも突っかかったらもうタイムを切ることが不可能というステージが大半。特に最後のワープはそもそも人間にクリアできるつもりで作っているのかさえ怪しいほど異常な難易度であり、ラスボス戦の方がまだマシなレベルです。
私は最初のステージと1-7のワープ以外はほとんどクリアできたことがありません。そもそも乗り物自体にも操作性に癖が強く慣れが必要です。なお、乗り物のチョイスも奇天烈極まりなく、一輪者に乗りながら消火用ホースを持ってタイムアタックしろなどと言われた日にゃどうして良いやら……。
そしてボス。どのボスも半端じゃない強さでプレイヤーを絶望の淵に叩き込みます。特にプレイした人の半数はここで諦めるであろうという過去ステージのボス、ボビンズ・ブラザーズ(3兄弟)は倒せるようになるまでの絶望感が半端じゃありません。
その後のペンキオス、ウォーマックスパイダー戦もまた酷過ぎて涙が出るのですが。地上最後のボスであるロッキーフェラーが意外とヌルいのが救いですね。
これだけ様々な困難を乗り越えて辿り着く最終ステージ、FLEAPIT。ここでは全てのステージでプレゼント(変身アイテム)で変身した状態で進みます。そう、ワープステージの使いにくい乗り物を強制的に使うことになるわけです。
中にはここに来て初登場(つまりそのステージ限定の乗り物)も存在しますが、とにかく大半の乗り物が「生身のPLOKの方がマシ」と言いたくなるほど操作に癖が強いのでえらい苦労を強いられます。しかもFLEAPITステージは隘路が非常に多いにも関わらずタイムアタック用の変身を使わなければならないため、スピードが速過ぎて制御が困難。結果的に瞬間最高速度だけが速い乗り物で、生身より牛歩で慎重に進むことになります。
特にぶっちぎりでクソ性能の戦車はあまりの操作性の悪さに驚愕します。歩いた方が早く、生身の方が攻撃力のある戦車ってどういうことだよ!
ラスボス戦は靴にバネが付いていて勝手にピョンピョン跳ねる、所謂中松シューズを使うハメになります。勿論操作性は最悪で、お陰でラスボスの攻撃の回避が困難になります。ラスボス戦では跳躍力が全く必要がないため、この変身は嫌がらせのためだけに用意されたようです。しかもこれ、ラスボス戦が初出の限定装備です。
さて、この作品はこれだけ意地悪く難易度が高いにも関わらず非常に丁寧に作られており、キーレスポンスも良くバグらしいバグはほとんどありません(一応あるっちゃある)
世の激難クソゲーの多くは「調整不足が原因でとんでもない難易度になった」ものや、「アーケードゲームであるが故にプレイヤーから搾取するために意図的に難易度を上げた結果やり過ぎちゃった」ことが原因です。
しかしこのゲームは家庭用、ましてやデザインから察するにどちらかというと子供向け、それでいてゲームとしては真っ当な完成度を誇りながらも大半のアーケードアクションを遥かに超える難易度であり、一体なんでここまで難易度を上げる必要があったのか全く不明です。ここまで丁寧に作られているならば意図的にやらないとこうも難しくなることはないはずなのですが……。
製作者はゲームというものが嫌になってしまったのでしょうか。ゲームばかりやる子にこれを与えたら暫くゲームやらなくなる気がするので、そういう目的で作られたのかもしれません。そんなわけないけど。
また、真偽の程は定かではありませんが、この作品日本版の方が何故か高難易度になっております。具体的にはこのゲームを鬼畜たらしめている最大の原因であるコンテニューの仕様が違います。
海外ではボスを倒した時にプロコンテニューが没収される代わりに、その地点からのコンテニューが無限にできるようになります。
要するにプロコンテニューの没収は本来その仕様のために存在していたのですが、日本は何故かその無限コンテニューがなくなりデメリットだけが残ってしまっています。一体どうしてそんな重要なところを削ってしまったのか理解に苦しみます。
他にも海外版は広大なステージで道に迷わないように、生き残っているノミが何処にいるか矢印が表示されるらしいのですが、日本版にはそんなものありません。道に迷ったらそれまでです。
そんなゲームとしてはとにかく鬼畜難易度でクソのレッテルを貼られてしまっておりますが、このゲームのBGMの出来は1993年の作品だというのにSFCのゲームの中でもトップクラスの素晴らしさ。 というかSFCの音源でどうやってこんな音出せるんだよと言いたくなるほど完成度が高く、もはや一種のオーパーツです。オープニング曲だけでも聴いてみれば分かりますが、いきなり生音なんじゃないかと思うほど精巧なハーモニカとギターの音色が飛び出して来ます。 音源だけでなくそもそも曲としての出来も最高。主にステージBGMはどことなくプログレッシブで、お陰で一曲一曲がゲームBGMとしては長過ぎる傾向にはありますが、そもそもステージ自体が異常に長いせいでちゃんと全部聞けるようになっています。というか多分そういう風にBGMを作ってくれたのでしょう。
PLOK!のBGMを手がけたのはジェフ・フォリン氏とティム・フォリン氏。この兄弟が手掛けた作品のBGMはとにかくほとんどが性能の限界を超越しているほど変態的な音源操作能力を発揮しており、この作品に限らずだいたいオーパーツ同然です。弟のティム氏のデビュー作品は音源が存在しないマシンでノイズだけで無理矢理BGMを作っていたというのだから、もはや人間業ではありません。
なお、彼らがBGMを担当する作品は何故かクソゲーになる傾向にあるようで……有名なのはファミコンの銀のクソという蔑称で有名なシルバーサーファーでしょう。こちらもBGMだけは素晴らしい出来です。
ゲーム自体は完成度が高いにも関わらずあまりに高難易度であるが故に全く普通の人にはお勧めできず、かと言ってその難易度の高さが意図的に作られたプレイヤーを陥れるための仕掛けばかりで、クリアしてもただひたすらにムカつくだけという爽快感の無さ。丁寧に作ってあるのにクソゲーというちょっと珍しい例です。 そういうわけで普通の方には全くお勧めはできないのですが、身の毛もよだつような高難易度ゲーを求める方にとってはこれ以上にない逸材の一つですので、是非とも挑戦してみて下さい。もっとも高難易度ゲーとしては比較的有名な作品なので、そういった方で今更知らないはあんまりいないと思いますが……。
また先述の通りBGMだけは本当に素晴らしいので、ゲームをやらずともサントラで聴いてみる価値はあると思います。普通の方にとってはこのゲームの価値の半分以上がBGMだと思って構いません。
ちなみにこのゲーム、SFCで五本の指に入るトップクラスの高難易度ではあるものの、最難関かと言われるとそうではないようです。最難関の作品は見ただけであまりにも酷過ぎて言葉も出なかったので私がプレイすることはないしょう。褒めるところが一つも無い作品はそもそもレビューしない方針ですし。
ここのところの当サイトのレビューは、なんだかクソ難しいアーケードシューティングゲームばかりレビューしているような気がするので、少し趣向を変えてクソ難しい家庭用アクションゲームをレビューしましょう。そうだね、あんまり方向性変わってないね!
このPLOK!というゲームをご存知の方は少ないかと思いますので一応ご説明致しますと、海外のゲーム会社「アクティビジョン」が販売したものです。当事、そして2008年頃一時期日本にも会社が存在していましたが今は撤退しております。 一応ゲーム会社としての規模は世界トップクラスなのですが日本では洋ゲーマー以外には有名ではないですね。何を隠そう私もPLOK!以外は「Call of Duty」みたいな有名タイトルの名前だけは知っているだけで、よく存じ上げません。
そんなわけで元々有名ではない会社の、有名ではないゲームということで大分マイナーな存在でありますが、この作品は主にクソゲーマーには大変有名な作品でございます。
一体何がクソゲーマーを惹きつけるのかと申しますと、数あるスーパーファミコンの作品の中でトップクラスの鬼畜難易度と、フォリン兄弟の手がけたスーパーファミコンの音源とは思えないほどの美麗なBGM。この2つに尽きます。
今回はそんな、日本製では味わえない理不尽さとオーパーツクラスの美しいサウンドの織り成す混沌の世界、PLOK!をご紹介致します。