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HMBの効果と副作用。ステマではない正確な情報。
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最近、HMBサプリに関する情報を求めて、本サイトを訪れる人が増えています。
その中には、「HMB 効果なし」「HMB 副作用」なんていうワードも多いです。
HMBの効果について、不安を感じている人が増えているということでしょう。
しかし、実際にこれらのワードで検索してみると、上位の記事はほとんどがステマ記事です。
特にビルドマッスルHMBやメタルマッスルHMBを賞賛する内容の記事が多く、中には「プロテインでは全く筋肉が付かなかった私が、ビルドマッスルHMBで筋肉が付いた!」なんていう、出鱈目な記事もありました。
プロテインのアミノ酸は受け付けないけれど、HMBサプリのアミノ酸は受け付ける、一体どういう体質をしているのでしょうか。
これでは、本当に正確な情報を求めている人に、HMBに関する正しい情報が伝わりません。
そこで今回は、医学誌に掲載された論文から、HMBに関する信頼性の高い情報のみをピックアップで紹介します。
ステマではないHMBの本当の姿を明らかにしていきましょう。
Contents [hide]
HMBについての誤解
HMBの効果を説明する前に、HMBについて、よくある2つの誤解を紹介します。
この誤解を解決しないことには、正しいHMBの姿を理解することはできません。
通販系HMBはHMBではない
このサイトでは、何度も説明していますが、ビルドマッスルHMBやメタルマッスルHMBなどの通販系HMBサプリは、本来のHMBサプリではありません。
これらの商品には、HMB以外にもクレアチンやBCAAといった成分が配合されています。
正確に言うなら、HMBを主成分とした総合的な「筋トレサプリ」です。
ゴルフで例えると、ドライバー(HMB)、アイアン(クレアチン)、ウェッジ(BCAA)、パター(グルタミン)などが一つにまとまっているスターターセットのようなものです。
本来のHMBサプリは、純粋にHMBだけを配合しているサプリを指します。
ゴルフで言えば、ドライバー一本だけです。
当然、これだけでは効率よくゴルフができないので、自分で単品のアイアン(クレアチン)やウェッジ(BCAA)を購入する必要があります。
コストと手間はかかりますが、より自分の身体に合った、自分なりのカスタマイズをすることができるメリットがあります。
まずは自分が求めているHMBがどちらなのかを、はっきりと理解しましょう。
線引きとしては、ボディビルダーを本格的に目指すなら単品、一般的なアスリートや細マッチョを目指す方はセット、という考え方がおすすめです。
HMBだけでは筋肉はつかない
HMBをただ飲むだけで、筋肉が付くサプリだと考える人もいます。
これは、全くの間違いです。
HMBには、筋肉の合成を促進させる効果がありますが、摂取だけで筋肉が付く効果はありません。
ゴリラの場合、たんぱく質を合成する腸内細菌がいるため、植物や果物を食べるだけで、筋肉が合成されますが、人間は食事だけで、筋肉が付くようには設計されていません。
筋トレで筋肉に負荷をかけ、適切な栄養摂取をすることで、はじめて筋肉が発達します。
HMBは、ただ飲むだけで筋肉をつく魔法のサプリではありません。
多くのサイトでは、2017年2月放送のフジテレビ系列の人気番組「ホンマでっか!?TV」において、日本神経学会認定神経内科専門医の亀井 眞樹 医師がHMBの効果を紹介していたと書いています。
しかし、残念ながらこれも事実ではありません。
確かにその回では、筋トレサプリについての話題がありましたが、番組内で「HMB」という言葉は一度も出ていません。
特に、上の画像は多くのサイトで使用されています。
しかしこれは、番組を盛り上げるための演出、煽り文章です。
本編では、「飲むだけで筋肉が付くという物は存在しない」と、亀井 医師が明確に述べています。
ホンマでっか!?TVの番組名を使ってHMBの効果を紹介しているサイトは、悪質なステマサイトである可能性が高いでしょう。
HMBの実証されている効果
筋肉を合成する効果
筋肉の合成効果に関する最も有名な検証は「HMBの父」とも呼ばれる、Steven L. Nissen教授の主導で実施された、HMB摂取時の筋力の変動を調べた実験です。
論文は、1996年に医学誌「Journal of Applied Physiology」に掲載されてます。
実験では、3週間の筋トレにおける、3つのグループの筋力変動量を検証しています。
1.HMB 未摂取群(コントロール群)
2.HMB 1.5g/日摂取群
3.HMB 3.0g/日摂取群
その結果を、グラフ化したものがこちらです。
HMBの摂取量に応じて、筋力が比例して向上しています。
1日3g摂取した群の伸び率は、未摂取群の約2倍という、驚異的な伸び率です。
論文は、Journal of Applied Physiologyの公式Webサイトで全文を確認できますので、英語が得意な方は、読んでみるといいでしょう。
Effect of leucine metabolite b-hydroxy-b-methylbutyrate on muscle metabolism during resistance-exercise training ? Journal of Applied Physiology
筋肉の分解を抑制する効果
筋肉の分解を抑制する効果に関する検証は、アイオワ州立大学で実施された、HMB摂取時における、筋肉の損傷レベルに関する実験がわかりやすいです。
論文は、2000年に医学誌「Journal of Applied Physiology」に掲載されてます。
実験では、20㎞の長距離を走る13名の被験者に、HMBを3mg摂取した場合と、偽薬を3mg摂取した場合の、筋肉の損傷具合を比較しました。
その結果を、Blonyxというサプリメントメーカーがグラフ化したものがこちらです。
HMBを摂取した方が、明らかに筋肉の損傷レベルが低いことが分かります。
HMBには筋肉の合成を促す効果だけでなく、分解を抑制する効果もあるといえます。
論文は、National Center for Biotechnology Information(NCBI)から見ることができるので、英語が得意な方は、下のリンクを確認するといいでしょう。
Effects of HMB on muscle damage after a prolonged run
HMBの副作用
1日6,000mgのHMB摂取実験
HMBの副作用に関しては、Philip Gallagher博士による、ボールステイト大学で実施された実験が分かりやすいです。
論文は、2013年にスポーツ学術情報誌「Journal of the International Society of Sports Nutrition」に掲載されてます。
実験は、HMB未摂取群、毎日HMB38mg/kg摂取群、毎日HMB76mg/kg摂取群、3つのグループに分けて、1ヶ月にわたって実施されました。
体重1kgあたり76mgのHMBを毎日摂取する群において、1日の最大HMB摂取量は、なんと推奨摂取量の2倍にあたる約6,000mgでした。
その結果が次の通りです。
詳細な血液検査、尿検査が行われた結果、人体への悪影響は見られませんでした。
コレステロール、ヘモグロビン、白血球、血糖、肝臓機能、腎臓機能など、いずれのカテゴリーにおいても、すべて正常値内で収まっていました。
また、マウスを使用した別の実験では、体重81kgのヒトに換算して、1日あたり約50gのHMBを3ヶ月間投与しましたが、同様に健康に悪影響はありませんでした。
論文は、LWW Journalsで全文を見ることができるので、英語が得意な方は、下のリンクを確認するといいでしょう。
effects on hematology, hepatic and renal function
「ない」とは断言できない
上記の実験から、HMBの安全性は極めて高いことが分かります。
しかし、HMBが100%安全で副作用がないかといわれると、断言できません。
HMBは比較的新しいサプリメントのため、長期間服用したデータがまだ整っていないからです。
FDA(アメリカ食品医薬品局)が定める安全な成分の一覧「GRAS(Generally Recognized as Safe)」にも、実はまだ記載されていません。
そのため、HMBを副作用がない安全なサプリだと断定できるのは、GRASに記載されてからです。
とはいえ、日本の厚生労働省でも、高齢者に対して、1日2gまでのHMB摂取を推奨しています。
1日2gまでなら、まず副作用の心配はいらないでしょう。
HMBの効果がない人の特徴
大量摂取は効果が低減する
HMBの適正量に関する実験は、前述の最大6,000mgのHMB摂取実験を主導した、Philip Gallagher博士による、別の実験がわかりやすいです。
論文は、2000年に医学誌「Medicine & Science in Sports & Exercise」に掲載されてます。
実験では、異なる量のHMBを摂取した大学生(37人)の除脂肪体重(Fat Free Mass)が、8週間の筋トレ後、どれだけ変化したかを検証しています。
グループは次の3つに分けられました。
1.HMBを摂取しない
2.体重1kgあたり38mgのHMBを毎日摂取
3.体重1kgあたり76mgのHMBを毎日摂取
※多くのサイトでは、「3mgと6mgの摂取で実験」と記載されていますが、正確には、体重1kgあたりの摂取で実験しています。
その結果が、こちらです。
未摂取群、76mg摂取群と比べ、38mg摂取群の除脂肪体重が増加していることがわかります。
つまり、HMBは摂取し過ぎると、筋肉を合成する効果が低減してしまいます。
体重1kgあたり76mgというのは、60kgの人で4,560mg、70kgの人で5,320mgに相当します。
HMBの効果を実感できない人は、自分の摂取量が、この量を超過していないか確認が必要です。
論文は、Medicine & Science in Sports & Exerciseの公式Webサイトで全文を確認できますので、英語が得意な方は、下のリンクを確認するといいでしょう。
Beta-hydroxy-beta-methylbutyrate ingestion, Part I: effects on strength and fat free mass. – Medicine & Science in Sports & Exercise
クレアチンと併用で効果が上がる
HMBは、クレアチンと併用することで効果が上がります。
これは、Steven L. Nissen教授も参加した、ポーランドでの実験で判明しました。
論文は、2001年に医学誌「Nutrition」に掲載されてます。
実験では、次の4つのグループの除脂肪体重(LBM)と筋力の向上を計測しています。
・偽薬を摂取
・クレアチン(CR)のみ摂取
・HMBのみ摂取
・クレアチンとHMBを同時摂取
その結果、クレアチンとHMBを同時摂取したグループが、最も顕著に除脂肪体重が増加し、筋力も向上しました。
HMBとクレアチンだけを、それぞれ摂取したグループも、偽薬よりポジティブな結果となりましたが、どうせなら、同時摂取するのが一番です。
HMBだけで効果を実感できない人は、クレアチンも同時摂取してみるといいでしょう。
この論文は、$35.95 USDで有料公開されているので、興味がある方は確認するといいでしょう。
Creatine and beta-hydroxy-beta-methylbutyrate (HMB) additively increase lean body mass and muscle strength during a weight-training program. – Nutrition
おすすめのHMB(筋トレサプリ)
バルクアップ(BULKUP)
バルクアップHMBプロ
基本情報
メーカー:株式会社bonds
粒数(入数):150粒
粒数(1食):5粒
1食分のHMB量:2,000mg
配合成分数:6種類
注目のポイント
現役プロレスラーやフィジーク選手権のチャンピオンなど、プロアスリートにも愛用者が多い筋トレサプリ(HMB)です。
HMB、クレアチン、グルタミン、BCAAなど、筋肉の成長に効果がある代表的な成分が、複数配合されています。
主成分のHMBに関しては、数ある筋トレサプリ(HMB)の中でもトップの2,000mg配合です。
現在、初回500円キャンペーンに加えて、90日間の全額返金保証もついています。
そのため、はじめてHMBサプリを試したい人には、一番おすすめです。
詳細は公式サイトを確認してください。
国内14社のHMBサプリを比較したランキング
>>筋トレサプリ(HMB)おすすめランキング
おすすめの単品HMB
バルクスポーツ(BULK SPORTS)
HMB
基本情報
メーカー:バルクスポーツ
タイプ:パウダー
内容量:90g
1食分のHMB量:1,200mg
注目のポイント
Steven L. Nissen教授が設立した、Metabolic Technologies Inc.の最高品質のHMB「HMBeta」が使用されている、パウダータイプのHMBです。
禁止物質汚染検査を含む、TSP品質管理プログラムに登録してあるため、ドーピング検査対象のアスリートでも安心して使用することができます。
コストパフォーマンスが高く、単品のHMBを探しているボディビル志向の方には一番おすすめです。
バルクスポーツ HMBパウダー 90g ノンフレーバー
- 株式会社ボディプラスインターナショナル
- 参考価格¥ 4,063
価格¥ 3,048(2018/02/10 13:21時点) - 商品ランキング6,170位
HMBの効果に関する公式見解
厚生労働省
日本において、健康食品やサプリメントの安全性を管轄している省庁は、厚生労働省です。厚生労働省による各栄養成分に対する見解は、健康増進法に基づいて5年毎に更新される「日本人の食事摂取基準」を読むと分かります。
HMBについては、最新の「日本人の食事摂取基準(2015年度版)」の策定検討会報告書に書かれています。
次の一文が、HMBの効果に対する厚生労働省の見解を簡潔に表現しています。
HMBはロイシンの体内における代謝産物であり、筋肉におけるたんぱく質合成を誘導する重要な働きをすると想定されている。
あくまでも、2015年の基準作成時は「想定されている」という表現です。
この報告書では、台湾で行われたHMB2g/日を4週間補給した実験、アメリカで行われたHMB2g/日を12週間補給した実験結果が引用され、いずれも「サルコペニア(筋肉減少症)」の改善に効果が期待できる可能性がある、と結論付けられています。
2015年以降、HMBの研究は多くの研究機関で活発に進められています。
次回の日本人の摂取基準(2020年版)では、より詳細な研究結果がそろうため、HMBの効果について、より断定的に表現されるかもしれません。
詳細を知りたい方は、厚生労働省が公開している次の報告書を参照してください。
フレイルティ及びサルコペニアと栄養の関連 – 厚生労働省
国際スポーツ栄養学会(ISSN)
国際スポーツ栄養学会(ISSN)は、スポーツ栄養学に関する世界最大の国際非営利組織です。
会長は、ノバサウスイースタン大学スポーツ健康科学部のJose Antonio 教授が務めています。
ISSNでは、”The Journal of the International Society of Sports Nutrition”というオープンアクセスの学術誌を発表しており、その中で、HMBに対する見解をまとめています。
ISSNの報告は、HMBに関する80以上の研究を網羅しているため、HMBについての客観的な研究情報を知ることができます。
ここでは、結論の重要部分を抜粋で紹介します。
HMB appears to speed recovery from high intensity exercise.
(中略)
In addition to speeding recovery from high intensity exercise, HMB may assist athletes in preventing loss of lean body mass in catabolic situations such as caloric restriction.
直訳すると次の通りです。
HMBは高強度トレーニングからの回復を早めると想定される。
また、HMBは高強度トレーニングからの回復を早める以外にも、カロリー制限時のようなカタボリック(異化)状態において、除脂肪体重の減少を防ぐ手助けになるかもしれない。
いずれの文も”appears to” “may assist”という表現で、効果の断言は避けていますが、HMBの効果を評価していることが理解できます。
HMBのガイドラインは、オープンアクセスジャーナル「JISSN」で読むことができます。
ISSN Position Stand:HMB
まとめ
最近では、元格闘家の魔裟斗 選手や、芸人のレイザーラモンHGさんなど、芸能人とタイアップするHMBサプリも増えてきています。
HMB自体は、ボディメイクに効果的なサプリのため、一般のトレーニーにHMBが普及するのは大歓迎です。
しかし、「プロテインの時代は終わった」「BCAAの効果は嘘」など、HMBの効果を過剰に謳う明らかなステマサイトが増えているのは、問題でしょう。
本記事が、HMBの効果を正しく理解し、健全なHMBの普及に役立つことを願います。