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三井家のおひなさま 特集展示 三井家と能

毎年恒例となりました、日本橋に春の訪れを告げる「三井家のおひなさま」展。三井家の夫人や娘たちがこよなく愛した、ひな人形・ひな道具の華麗なる競演をお楽しみください。
展示室7では特集展示「三井家と能」と題し、三井家と能楽の関わりを作品と資料でご紹介します。

概要

日本橋に春の訪れを告げる「三井家のおひなさま」展。今年も三井家の夫人や娘が大切にしてきたひな人形やひな道具を、一堂に公開いたします。

北三井家十代・高棟(たかみね)夫人の苞子 (もとこ)(1869-1946)、十一代・高公(たかきみ)夫人の鋹子(としこ) (1901-1976)、高公の一人娘・浅野久子氏(1933年生まれ)、伊皿子三井家九代高長(たかひさ)夫人・興子(おきこ) (1900-1980)旧蔵の贅をつくした逸品が並びます。とくに京都の丸平大木人形店・ 五世大木平藏が特別に制作した、浅野久子氏の幅3メートル、高さ5段の豪華なひな段飾りは必見です。

また展示室7では特集展示「三井家と能」と題して、明治末期から昭和初期にかけて、三井家と能楽の関わりを作品と資料でご紹介します。

展示室1・2・3では、館蔵品の茶道具を展示します。

「三井家のおひなさま」 展示室4、5 主な出品予定作品

◆巴(ともえ)印のひな人形・ひな道具 (三井苞子(もとこ)<北三井家十代・高棟(たかみね)夫人>旧蔵品)

三井苞子
<北三井家十代・高棟夫人>
1869-1946

北三井家十代・三井高棟(たかみね)夫人の苞子(もとこ)(1869~1946)の旧蔵品であるおひなさまは、実家の旧富山藩主前田家から伝わったもの、結婚後(明治25年)三井家で新たに作られたもの、江戸時代から三井家に伝来したものなどがあり、さまざまな年代や種類のひな人形、ひな道具を含んでいます。苞子(もとこ)は、三井家夫人を代表する立場として多忙な日々を綴った日記や当時の財閥当主夫人の生活を記録する貴重な資料も残しています。

■「内裏雛」 三世大木平藏(1834-1895)製 明治28年(1895)

■「享保雛」 江戸時代・19世紀


■「梅鉢紋・違鷹羽紋蒔絵雛道具(鏡立・鏡箱)」 江戸時代・19世紀


■「立雛」 江戸時代・文化12年(1815)


  • 内裏雛は雲上人の姿になぞらえた男女一対の雛人形。
  • 享保雛は江戸時代中期、享保年間(1716~1736)頃を中心に流行した。面長で能面のような顔立ちと金襴や錦など上質な織物製の装束をつけ、男雛の袖が左右に跳ね上がっているのが特徴。比較的大型のものが多い。
  • ひな道具はおひな様が生活するのに必要な道具一式が揃っている。婚礼調度のミニチュア版で、黒棚・厨子棚・書棚の三棚をはじめ、化粧道具、茶道具、香道具、文房具などの数十件で一揃とされる。
  • 江戸後期・文化年間の紙製立雛で、愛らしい丸顔に、松に藤、撫子を岩絵具で描いた小袖、菊と亀甲紋を金泥で表した袴など美しく豪華な装飾の雛。

◆小蝶(こちょう)印のひな人形・ひな道具 (三井鋹子(としこ)<北三井家十一代・高公(たかきみ)夫人>旧蔵品)

三井鋹子
〈北三井家十一代・高公夫人〉
1901-1976

北三井家十一代・三井高公(たかきみ)夫人の鋹子(としこ)(1901~1976)は、大正9年(1920)に高公と結婚。翌年の3月には、実家の旧福井藩主・松平家より嫁入り道具として持参した雛の目録が作られています。鋹子(としこ)のひな人形は日本橋十軒店の名工・二代永德齋製のものが中心となっており、初節句、または嫁入りの際にあつらえられました。鋹子(としこ)は、手先が器用で、剪綵(せんさい)(北三井家八代・高福が考案した裂地を使った貼り絵の一種)を復活させ、三井家の婦人たちの中心となり作品を残しています。


■「次郎左衛門雛」 二代永德齋製 明治~大正時代・20世紀


■「内裏雛」 二代永德齋製 明治~大正時代・20世紀


■「犬筥」 明治~大正時代・20世紀


■「化粧道具」 明治~大正時代・20世紀


  • 東京日本橋に店を構えた人形師二代永德齋の作。永德齋は、明治から昭和戦後にかけて四代続いた名店であった。
  • 次郎左衛門雛は、丸顔に引目鉤鼻の面立ちが特徴。京の人形師で幕府御用も勤めた、雛屋次郎左衛門が創始した人形と伝えられる。
  • ひな道具に牡丹唐草蒔絵の装飾が施されておりいずれも精巧な作り。
  • 雌雄を一対としてこどもの枕元に飾られる犬筥(いぬばこ)は、幼児の無事息災を祈るという意味をもち、内部に守り札などを納める。

◆永(えい)印のひな人形・ひな道具 (浅野久子(ひさこ)氏<北三井家十一代・高公(たかきみ)長女>寄贈品)

浅野久子(ひさこ)氏は、北三井家十一代・三井高公(たかきみ)の一人娘として昭和8年に誕生しました。翌9年の初節句に際し、「丸平(まるへい)」で知られる京都の丸平大木人形店・五世大木平藏(1885~1941)に注文してあつらえたひな人形、ひな道具を、近年まで浅野家でおこなわれていた段飾りで再現して展示します。


■「内裏雛(女雛)」 五世大木平藏製 昭和9年(1934)※同右上


■「内裏雛」 五世大木平藏製 昭和9年(1934)


■「五人官女」 五世大木平藏製 昭和9年(1934)


■「紫宸殿雛人形」 五世大木平藏製 昭和9年(1934)


■「箪笥・挟箱・長持」 五世大木平藏製 昭和9年(1934)


  • 天息の御所である紫宸殿になぞられた御殿付きの雛人形。江戸時代終わりから昭和20年頃にかけて、西日本を中心に流行した。
  • 段飾りが始まったのは18世紀半ば頃といわれ、4~5段に増えたのは安永年間(1772~1781)頃とされる。祝い事は奇数という習慣から5段や7段になり、ひな祭りが盛んになるにつれて飾り人形の種類も増えた。
  • 男雛と女雛の並べ方には諸説あるが、三井家では近代以降に東京で定着した男雛が向かって左側、女雛が右側に座る並べ方をしている。

◆珠(たま)印のひな人形・ひな道具 (三井興子(おきこ) <伊皿子三井家九代・高長(たかひさ)夫人>旧蔵品)

三井興子
<伊皿子三井家九代・高長夫人>
1900-1980

伊皿子三井家は、家祖・三井高利の次男高富(たかとみ)(1654~1709)を初代とする家で、現当主の長生氏で十代を数えます。三井家は、江戸中期より六本家と五連家を合わせた十一家が固定されていますが、伊皿子家は六本家の一家です。

三井興子(おきこ)(1900~1980)は、北三井家十代・高棟(たかみね)と苞子(もとこ)の三女として、明治33年(1900)1月28日に誕生。大正8年(1919)に伊皿子家九代・高長(たかひさ)(1895~1959)と結婚しました。手先が器用であった興子(おきこ)は、鎌倉彫、刺繍、染物などを得意とし、北家の鋹子(としこ)らと共に剪綵の技術の研鑽を積み、昭和11年常盤会への皇后行啓に際しては、その実演をおこないました。


■「内裏雛」 四世大木平藏製 明治33年(1900)


■「子供人形 ことろ遊び」 明治時代・20世紀


■「三人官女」 四世大木平藏製 明治33年(1900)


■「女仕丁」 四世大木平藏製 明治33年(1900)


  • 「ことろ遊び」とは、ひとりが鬼、ひとりが親、他はすべて子供の役になり、鬼が子供を捕まえるのを防ぐ子供の遊び。
  • 男性の「仕丁」はよく見られますが、これはその女性版です。

特集展示 「三井家と能」 【展示室7】

展示室7の特集展示「三井家と能」では、資料や写真のほか、能面・能装束などの作品を通して、三井家と能の深い関わりをご紹介いたします。

三井家において、特に能が盛んとなったのは明治時代以降です。北家十代の三井高棟(たかみね)は、自ら謡や仕舞を習うなど能に親しんだことで知られ、麻布今井町に建てた自邸には、能舞台を設けました。今井町邸は賓客の招待所としても使用され、大正11年英国皇太子を招いた際には能の上演会を行ったり、大正15年スウェーデン皇太子を招いた際には、能面・能装束を含む美術品の展覧を行ったりしました。また明治20年代には、三井家の当主や成人同族などを中心に謡曲研修会「養和会」が発足し、定期的に謡の練習が行われることにより、能に対する三井家の関心が高まりました。


■麻布今井町邸 能舞台


■紅地網目蝶罌粟模様厚板唐織 明治時代


■翁(白色尉) 江戸時代


主催

三井記念美術館

東京駅周辺美術館特別企画

昨年の好評にお応えし、出光美術館、三井記念美術館、三菱一号館美術館東京ステーションギャラリーの東京駅周辺の4美術館では、2018年3月3日(土)から 3月18日(日)の期間、学生の方を対象に、無料で美術館に入館できる「学生無料ウィーク」を開催することになりました。「学生無料ウィーク」期間中は、東京駅周辺の4美術館の各館開館日であれば、学生の方はいつでも無料でご入館いただけます。
日本美術から西洋美術、さらには建築まで、若い世代の方に、本物のアートに触れていただくための春休み特別企画です。この機会を利用して、より多くの学生の方にご参加いただければ幸いです。

■期間

2018年3月3日(土)~3月18日(日) 各館開館日
※休館日、展示替え休館期間は除きます。

■対象

学生
※各館で学生割引の対象としている方。美術館によって「学生」の定義は異なります。
※詳しくはそれぞれの館にお問い合わせください。

■参加館および期間中の展覧会
出光美術館
・・・・「色絵 Japan CUTE!」(会期:1/12~3/25)
三井記念美術館
・・・・「三井家のおひなさま 特集展示三井家と能」(会期:2/10~4/8)
三菱一号館美術館
・・・・「ルドン - 秘密の花園」(会期:2/8~5/20)
東京ステーションギャラリー
・・・・「くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質」(会期:3/3~5/6)

※ブリヂストン美術館はビルの建て替えに伴う新築工事のため、長期休館中です。(2019年秋オープン予定)

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