「お客様の現在の努力では」―― 10年超続くメイドカフェの投稿が物議 担当者が語る「旧来型メイドカフェが淘汰されつつある秋葉原の今」 (1/2)
2004年にオープンした「ミアカフェ」東京店に取材しました。
2004年から営業が続くメイドカフェ「ミアカフェ」。秋葉原に店舗を構える東京店が、先日から「(同店は)会社にとってお荷物」「守りたいなら、これは義務だと思って、お客様に本当にお願い」などと経営難を訴えるツイートをするようになり、Twitter上で物議を醸しています。
同店に取材したところ、「現代的メイドカフェへの警告と提言」「“安くて質の高いサービス”の危険性について、少し立ち止まって考えてほしい」といった思いから投稿しはじめた、とTwitter担当者。メイドカフェ業界で何が起こっているのか話を伺いました。
「現代型」に淘汰されつつある「旧来型メイドカフェ」
普段、ミアカフェの公式Twitterアカウントが発信しているのは、出勤スタッフ、開催イベントなどの営業に関わる情報。しかし、2018年2月2日ごろから「ここ5年ほどはずっと大赤字」「お客様のご協力がないと、お店の運営は正直なところ、時間の問題です」など、店舗存続のための協力を求めるツイートをするようになりました。
一連の投稿には「お客様の現在の努力では、ミアカフェは会社にとってお荷物」といった強い口調の訴え、他店への批判なども含まれており、Twitter上では「客が来ない理由を他店や客の意識の問題にしていませんか?」「客商売の勉強したほうがいい」と批判する声も。
同アカウントは2月3日ごろ「世の中を騒がしてしまい、本当に申し訳ありません。勢い余って、非難してしまった同業他店様には本当に申し訳ない」と謝罪しましたが、その後も「かなり商業主義寄りにしないと、現在の秋葉原でお店を成立させるのは難しくなりつつあります」「業界全体をよくするために、それぞれの答えを出していきましょう」などと投稿を続けています。
なぜ、このような投稿を行っているのか取材したところ、Twitter運用を任されている男性アルバイト従業員が経緯を説明してくれました。
「ミアカフェはこのままだと閉店するほかない状況で、会社からは自由にやっていいといわれている。当社代表はミアカフェ部門に全く関知しておらず、全て当方の判断。現在、当店のような『旧来型メイドカフェ』はどこも、遅かれ早かれ店を畳まざるを得ない状態にあり、同業他社が思っていそうなことを書いてみた。平和だったころの秋葉原を取り戻せるなら、その人柱になっても構わない」(Twitter担当者)
同氏の言う「旧来型メイドカフェ」は明確な定義が難しいものの、基本的には喫茶店らしい雰囲気を重視した店舗を指すとのこと。具体的には、以下のような特徴があるといいます。
- メイド服を基本的な制服としている
- グッズ購入や、メニューの注文を不必要に勧めず、ファミレスや一般喫茶店と大差ない雰囲気
- 店舗内で、ショーなどの過剰な演出を行っていない
- 「愛込めにゃんにゃん」的な分かりやすい演出が少ない(※)
※ 愛込めとは、料理をおいしくするおまじない、儀式のこと。やり方は店舗によって異なり、指でハートマークを作って「萌え萌えきゅん」と言うなど
これに対して「現代型メイドカフェ」とは、これらの条件から外れる店舗の中で、ビラ配りなどによる過剰な客引き、キャバクラ、ガールズバーに近いサービス内容などの特徴があるもの、とTwitter担当者。「あえて言うなら、メイドカフェ風ガールズバー」と表現しています。
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