量子機械学習

量子コンピュータ×機械学習

2017年12月 量子コンピュータベンチャーである Rigetti からキャッチーな研究成果が発表された。その題は、「ハイブリッド量子コンピュータによる教師なし機械学習」。(Unsupervised Machine Learning on a Hybrid Quantum Computer) この記事では、この研究がどのような内容で、量子コンピュータ×機械学習 = 量子機械学習 という大きな流れの中で、どのような位置づけにあるのかを解説する。 教師あり学習 vs. 教師なし学習 機械学習は大きく「教師あり学習」と「教師なし学習」に分けることができる。教師あり学習とは、ある入力データセット (例えば 1

量子コンピュータ

量子コンピュータの挑戦: スーパーコンピュータに勝てるだろうか?

Google、IBM、Intel、そして Microsoftといった巨大IT企業たちが量子コンピュータの開発に熱心になっている。それは量子コンピュータが従来のコンピュータよりも圧倒的な速度で計算を行うことができると期待されているからである。 特に最近では、さまざまな種類の"量子"コンピュータもしくは量子力学から着想を得た専用マシンが登場してきている。しばしば、スーパーコンピュータの〜〜倍速いという言葉でそれらのマシンの性能が謳われたりすることをよく耳にする。量子コンピュータは本当にスーパーコンピュータに勝つ事ができるのだろうか? 本稿では、量子コンピュータの速さとは何か、そして量子コンピュータが、現代のシリコン半導体技術の結晶とも言える従来型の古典コンピュータと繰り広げる戦いについて紹介したい。 量子コンピュータによる計算の高速化 量子コンピュータが計算を高速化すると期待されている理由は、最も基本的な物理法則である量子力学を最大限に利用して計算をするコンピュータだからだ。量子力学は、半導体、レーザー、MRIなどミクロな世界の現象を利用する身近な技術の基礎にもなっている。  私たちが普段使っているコンピュータのCPUも半導体で作られているので、その意味では量子力学が使われている。しかし、その半導体チップ上で行われる計算は、スイッチのオン「0」とオフ「