7日、貴乃花親方(45)がテレビ朝日にVTR出演。昨年の日馬富士暴行事件から先日の理事候補選まで続く一連の騒動について、「独占緊急特報!!貴乃花親方105日沈黙破りすべてを語る」と題した番組で計3時間半のインタビューを受け、協会批判を繰り広げた。

 さらに8日発売の週刊文春にも「独占90分 貴乃花答える」と、自身の激白が掲載された。

 角界を揺るがすこの騒動にはさまざまな見方がある。しかし、ついに口を開いた貴乃花親方の主張には食い違いや事実と異なることも多い。

 まず、さる2日の理事候補選について、「1票でも出ると決めてからは、誰とも票の工面はしていない」という週刊文春でのくだりだ。

 貴乃花親方がいつ、それを決意したかはともかく、少なくとも1月場所中に貴乃花親方が、伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)と山響親方(元前頭巌雄)と接触しているのは、複数の親方に目撃されている。いずれも、2016年の理事長選では貴乃花親方を支持していたが、現在は決裂したといわれている関係だ。理事選直前に「元同志」と話し込むのは票に関することだろうし、日馬富士の師匠である伊勢ケ浜親方には「民事訴訟の取り下げを交換条件に、選挙協力を持ちかけたのでは」と、協会内でもウワサになっている。

■裏金顧問と蜜月

 14年に起こった春日野部屋暴行事件については、「春日野親方(元関脇栃乃和歌)は当時、危機管理部長だった私に報告したと言っていたが、何も聞いていません」と語った。自身に非はないというわけだが、春日野親方自身は「当時、危機管理顧問だった小林慶彦顧問、それ以外にも数人に、きちんと報告した」と本紙の取材に答えている。この問題の本質は誰に報告したかではなく、隠蔽の意図があったかどうか。いかにも春日野親方がウソをついているような言い方には、協会内から「問題のすり替えだ」という声が上がっている。

 この小林顧問とは、かつて代理店関係者から500万円の裏金を受け取った、いわゆる「裏金顧問」その人。協会に約1億6500万円の損害賠償を求める訴訟を起こされ、7日に第1回口頭弁論が行われたばかりだ。この裏金顧問との関係について、貴乃花親方は週刊文春誌上で以下のように話している。

「2年前にその方が解雇された時、協会内部のこともよく知っているし、(八角理事長に)『追い出していいんですか』と言ったのは事実です。その後、一門の激励会に出てもらったこともありましたが、今は連絡もありません。確か昨年、北の湖さんの三回忌の時に姿を見かけたのが最後です。知らない仲ではないので挨拶くらいしました。でも、それが攻撃材料にされてしまうんですよね」

 これは明らかに貴乃花親方のウソ。もともと、両者は蜜月の関係だ。八角理事長(元横綱北勝海)がまだ理事長代行だった15年、小林元顧問がある会社の債券70億円を協会に購入させようとした。この時、元顧問を援護射撃し、八角理事長に債券購入を迫ったのが貴乃花親方だ。

 元顧問が解雇されたときは、「なんで小林さんをクビにしたんだ!」と理事長室に怒鳴り込んでもいる。北の湖理事長の三回忌のくだりにしても、「挨拶」どころか、法要後の食事会で山響親方を交えて、1時間以上も3人で話し込んでいた。昨年の11月場所では福岡で2人が会っていたという目撃情報もある。その関係に、シンパの親方からも「失望した」との声が上がり、理事選の結末に大きく影響したのが事実だ。

■一門を乗っ取られ…

 テレビでは「あまりに事実とかけ離れた報道が多すぎる」と閉口していたが、貴乃花親方自身の主張も、それこそ「事実とかけ離れた」点が多い。