沖縄県うるま市伊計島の大泊ビーチで9日午前9時ごろ、普天間飛行場所属MV22オスプレイのエンジンの空気取り入れ口が流れ着いているのが見つかった。在沖海兵隊は8日に海上飛行中、機体の一部を落下させたことを認めた。海兵隊は9日、防衛局からの問い合わせを受けて初めて機体の一部落下があったことを明らかにした。けが人はいない。伊計島では昨年1月と今年1月にも米軍ヘリの不時着があり、相次ぐ事故に住民の不安と怒りが高まっている。県は9日夕、在沖米海兵隊に事故原因究明と実効性ある再発防止策を執るまでの間、オスプレイの飛行停止を求めた。
翁長雄志知事は「いつしか人命に関わる重大な事故につながりかねない」と指摘した。
機体の一部は、縦約70センチ、横約100センチ、重さ約13キロの半円形。ビーチの従業員が海岸を清掃中、浅瀬に浮いていた機体の一部を発見し、砂浜に引き上げた。同日中に、沖縄防衛局の職員が現場から機体の一部を撤去し、米海兵隊に引き渡した。米海兵隊は、沖縄防衛局の問い合わせに対しオスプレイの右側エンジンの空気取り入れ口であることを認めた。
小野寺五典防衛相は9日夕、記者団に対し「地元が心配する案件に関して日本側に通知するのが基本。今回そのようなこと(通知)がなかったとすれば、なぜそうなのかしっかり問いたい」と日本側へ通知がなかったことに不快感を示した。
中嶋浩一郎沖縄防衛局長は9日午後、伊計公民館やうるま市役所、宜野湾市役所を訪れ、謝罪し経緯などについて説明した。同日、ニコルソン在沖米四軍調整官に遺憾の意を伝え、再発防止と原因究明を求めたことを明かした。
伊計島で相次いだ不時着事故の発生に伊計自治会は1月21日、島上空の飛行停止などを求める抗議集会を開いた。集会での決議を携え沖縄防衛局に抗議した直後のトラブルに、玉城正則伊計自治会長は「沖縄はまだ米軍の占領下じゃないか。日米両政府とも真剣に対応してほしい」と怒りをあらわにした。島袋俊夫うるま市長は、中嶋局長との面談で「我慢の限界。防衛大臣も現地を見ない限り、問題意識を共有できないんじゃないか」と政府の真剣な対応を求めた。
翁長知事は今回、米軍が部品落下、紛失の事実を沖縄防衛局に連絡しなかったことに「事故そのものを隠ぺいしようとする意図があったとすれば言語道断だ」と強く批判した。
海兵隊は9日、本紙取材に「8日の訓練後、普天間飛行場に帰還した際に右側の空気取り入れ口がなくなっており、乗員から部品は海上に落下したとの報告を受けた」と回答した。