メチャクチャな履歴書。
十年以上ひきこもったあと、アルバイトをすることになったのだが、履歴書に関する不安はまったくなかった。長い期間ひきこもっていたのだから、当然、履歴書には空白の部分ができるのだが、そのへんに関しての心配は一切なかった。
履歴書はうそを書けばいいや。そう思っていたからである。
事実、私は面接に際して、うそで固めた履歴書を提出した。三週間でクビになった清掃のバイトを四年間続けたことにしたりしたのだ(しかも正社員として!)。もうメチャクチャである。「職歴はまとめたほうがいいだろう」ということで、三十以上ある職歴も三つほどにまとめた。ほとんどの仕事を短期間で放棄しているのに、履歴書ではどの仕事もそれなりに続いていることにした。うそだらけの履歴書である。
真実を履歴書に書こうと思ったら、書ききれない。職歴は三十以上あり、一日で辞めた引っ越し屋なども書いていたら、「職歴」の欄に収まらない。一枚の紙切れに書く以上、やむを得ない側面もあったのだ。
また、離職理由もうそを書いた。「上司に叱られて傷ついたから」とか、「同僚たちから村八分にされたから」というのが本当の離職理由だが、それを書くわけにもいかないので、ほとんどを「倒産」か「事業縮小のため」にした。そうなれば、私に責任があるのではなく、会社の責任にすることができるからだ。また、「倒産」にすれば、面接している会社が私の勤務態度を尋ねることもできなくなる。その会社はすでに「ない」のだから。
こうして、長年ひきこもったあと、私はうそだらけの履歴書を書いて面接に臨んだ。やましい気持ちはほとんどなかった。「うそがバレるかも」という心配もなかった。履歴書の文面などどうでもよく、会社側は応募者のやる気を見ようとしていることを、私は知っていたからだ。今まで数えきれないほど「うそまみれの履歴書」を出してきたが、その「うそ」がバレたことは、一回もなかった。履歴書など、その程度のものなのだ。
ひきこもりのなかには、「履歴書の空白をどうしよう」と悩んでいる人もいるかもしれない。そんな人には、うそを書くことを勧める。というより、うそを書くしかひきこもりには生きる術はないのだ。
私は、それ相応にずるかったのだと思う。正直で誠実な人なら、うそを書くことに強い抵抗があっただろう。その点、私はずるかった。胸を張ってうそだらけの履歴書を出すぐらいのずるさはあった。ずるさも、ある意味、ひきこもり脱出の要素なのだと思う。
このように、やや強気なことを書いているが、私だってまだひきこもりから脱出しきれていない。今日も明日も、ずっと家にいるのだ。
私がひきこもりから脱出できないのは、履歴書の空白に悩んでいるからではない。
純粋に、職場の人間関係が怖いからなのだ。
6月 5th, 2013 at 2:23 PM
私もそうでしたよ。十社以上あるので嘘の履歴書書いていました。
どう書くと採用されるというのが面接うけていくうちにわかってきたので。
でもそれは仕方のないことですよね。
正社員だけで通ってきた人にはその心理は分からないと思いますが、派遣の場合短期間で終わる
事も多いので、その嘘は会社の責任って考えています。
ただ金融、銀行系は調べるらしいので注意した方がいいですよ。
嘘が発覚した場合懲戒になるらしいです。
6月 6th, 2013 at 8:01 PM
あいさん
そうですね。仕方のないことですよね。ウソは会社の責任というのも納得できます。
ひきこもりの中年が銀行に就職って……なんか、楽しいですね(笑)。
7月 15th, 2016 at 5:12 AM
履歴書空白で悩んでいたところ、こちらにたどり着きました。
面接のときは前職場での仕事について根掘り葉掘り聞かれないものなのでしょうか?
雇用保険波保険者証、年金手帳、源泉徴収票なども提出するみたいですが、その辺はどうだったのでしょうか?
7月 15th, 2016 at 11:37 PM
あかさん
根掘り葉掘り聞かれたこともありますが……大体は適当にごまかしました。ごまかしがうまくいった場合は採用で、うまくいかなかったときは不採用でした。
雇用保険や年金、源泉などの提出を求められたことは一度もないですね。
7月 18th, 2016 at 3:37 AM
返信ありがとうございます。
そうですか、ごまかしがやはり大切なのですね。
今まで職歴ありませんものですから、ネットでいろいろ調べているうちに
雇用保険番号からばれると聞いて、どうしたものかと思っておりました。
何らかの筋道立てた説明ができるよう職探ししていきます。
ありがとうございました。
7月 22nd, 2016 at 1:47 PM
あかさん
どういたしまして。
案外、なんとかなるもんですよ。
1月 11th, 2018 at 1:21 PM
ハローワークの担当者は誤魔化すななんて綺麗事言いますが、この際仕方がないような気がします。例のカヌー選手程でもないのでこの際「良心の呵責」なんてこの際捨てさります。
1月 11th, 2018 at 7:56 PM
イーストさん
そうなんです。この際仕方なかったのです。一生懸命働けばいいのですよね。
1月 13th, 2018 at 4:39 AM
ご返事ありがとうございます。「正直者は馬鹿を見る」の典型的なパターンですね。実際正直に書いたら大概落とされます。ひきこもりやニートを甘えているや怠けているとか叩きますけど、抜ける機会すら与えてくれない訳ですから、世の中の矛盾を感じます。
1月 14th, 2018 at 8:13 PM
イーストさん
履歴書に関しては、入社のときしか見ないような書類なので、もうなんでもありのような気がします(笑)。
ひきこもりやニートで必死で生きている人は沢山いると思うんですよね。。。
1月 19th, 2018 at 6:42 AM
考えてみれば指名手配されて逃亡している犯罪者なんか、経歴だけでなく名前や年齢なども全てゴマかして働いていたりします。それに比べればカワイイものです。オウム真理教の菊池直子や市橋達也をもっと見習いたいと思います。
1月 19th, 2018 at 9:46 PM
イーストさん
偽名で働いている人、かなり多いみたいですね。ひきこもりに必要なのは図太さなのかもしれません。。。