2018年02月09日

ことあるごとに「ひどい話でしょう!さあ、怒って!!」と言われる世界を見ているような気がする

なんていうのかな。いや、全然大した話じゃない、単なる雑感なんですが。


多分、元来人間には、「憤りたい」「怒りたい」あるいは「怒ると気持ち良い」「激しく感情を揺さぶられると気持ち良い」という側面があるのだろう、と思います。「怒りたい」という欲求。

例えば、なんか倫理的にひどい話を観測して、それに対して舌鋒鋭くばっさり批判するとすかっとする、というのはよくわかるんです。嘘つきを発見して、その嘘つきを徹底的に責めると気持ちいいってのもまあ分かるんです。

特に、相手が無条件に倫理的否定の対象になる場合、言ってみれば「正しさ」という大義名分に基づいて怒れる訳で、それがまた怒りんぼ欲求を惹起するんですね。未だ、やれ怒れーーみたいな。

それ自体は今更の話ですし、別にそれが悪いってわけでもないんです。自分はそうじゃない、それに該当しない、なんていうつもりもありません。例えば、迷宮組曲でタイトル画面の連射機能しか記憶に残っていない人がいたとしたら、そりゃ私だって怒ります。


ただ、

「これちょっと、「読者に怒って欲しい」という書き手側の狙いが見え見え過ぎませんかね…?」
「いやそれ、そんなに怒るとちょっと注文通り過ぎませんかね…?」

みたいに感じることが結構多いんですよ。昔からそういうのはあったんですけど、肌感としては、最近とみに増えました。


たとえば、なんでしょ。気分的にあんまり具体的なリンクを貼りたくないんですが、相撲関係のああいうのとか。

あるいは、子どもの歌に関するそういうのとか。

学校の制服に関するアレなのとか。


いや、なにせ多くの人が怒っている点についてはそりゃ相応の理由がありまして、それ自体はもっともだと思うんです。そらまあそうですよね、という。正論だと思うんです。

そういった正論から、色んな状況が改善されることも当然あるわけで、別にそれが無意味だとは全然思わないんです。

ただ、あまりに話のもっていき方があからさまというかなんというか、「これひどいでしょ。理不尽でしょ。さあ怒れ」って言われているような気になることが多くって、なんつーか、まるでコーンを口に詰め込まれているガチョウみたいな気分になることがあるんですよね。


たとえば、議論としてはもうちょっと落ち着いた論建てにも出来そうなところ、「悪いヤツの悪い点」がこれでもかと明確に描かれていると、「ああ、これ「怒れ」っていうポイントなんだなー」と感じてしまうことが多いです。今に始まった話でもないんですけどね。

ひどい話があって、それに怒る人がいるのは、自然なことなんで仕方ないと思うんです。

ただ、ちょっとまずいことに、「怒りを誘える話」って受けるんですよね。バズりやすい。話題になりやすい。つまり収益になっちゃう、「怒らせる」ということに対してインセンティブが出来ちゃうんです。

で、あまりにも「さあ怒れ!」的な話がバズりまくっていると、本来そこまで怒るような話でなくても、無理やり「怒らせられる」話に仕立てようとする人が出てくるんですよね。私、そういうのはあんまり好きじゃないんです。

それが行き過ぎると、本来いなかった「分かりやすい悪役」を設定して、それに無理やり怒らせようとする人まで出てくると思うんですよ。

以前、下のような記事を書きました。

前者の理由については、皆様経験則としてご存知なのではないかと思う。分かりやすい悪役を見て、正義感を煽られてしまう人は非常に多い。彼らは、瞬間湯沸かし器の様に頭を沸騰させた上で、ソースの確認なく情報をがんがん広めてしまう。

それがデマなのかどうかは関係なく、「ソースの確認なく情報を広める」という行為は本来とても危険なのだが、ガードが下がった人はそんなことは気にしない。あたかもあしたのジョーのごときノーガード戦法である。カウンター狙いの戦術であるならまだしも、一般的には彼らのことを「猪突猛進」と呼ぶ。

これ、なんでこういうことが起きるのかっていうと、やっぱり「怒りを煽れば煽る程バズりやすいし受けるから」だと思うんですよね。「読者に怒ってもらう」ことによって得られる利益が凄く大きい。

そこから考えると、素直に怒りを誘われるのもちょっと考えものだなーと。「憤るにしても、もう少し冷静に話しませんかね…?」って思っちゃうんですよね。「優しい気持ちで話し合いましょう」っていうやつ。


トムとジェリーってあるじゃないですか。あれの歌詞で、「トムとジェリー 仲良く喧嘩しな」ってフレーズがあって、私アレ物凄い名言だと思ってるんですけど。

喧嘩するにしても、どっかで余裕を残しておくというか。「思わず憤りたくなるようなひどい話」を提示されても、ちょっと冷静に構えていた方が、多分いざ「そこにはいない分かりやすい悪役」を提示された時、「ん?これちょっとおかしいぞ?」と思えるし、結果的にお話を提示する側も「あ、これはちゃんと議論を作らないとな」となって、色々平和だと思うんですよ。


怒ることが気持ちいいにしても、ちょっと一呼吸、余裕をもって怒りませんか、と。


それだけの雑感でした。


今日書きたいことはそれくらいです。
posted by しんざき at 07:31 | Comment(0) | 雑文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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